VRMMOのキメラさん~〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!? 【リメイク版】

水定ゆう

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2ー3:ユニゾンハートは止まらない

◇67 狩人の粛清者

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「クソがっ! 待ちやがれ!」
「待たないよ。それっ」

 ボレオさん達から私は上手く逃げ延びる。
 人混みの中に混ざってしまったら流石にお手上げ。
 絶対に追って来れなくて、ボレオさん達も諦めた。

「アキラ様」
「ごめんね、モノクロちゃん。でも喧嘩腰になっても、よくないんだよ」

 私はカッコ悪かった。
 普通なら戦って圧倒するのが主人公。
 だけど私は主人公じゃない。こう言ったらしくないことからは、全力で逃げてしまえばいい。そんなダサさが目立つけど、モノクロちゃんは、私の手を強く握り返した。

「私は、アキラ様は主人公だと思います」
「えっ?」

 私はポカンとしてしまう。
 人混みから少しだけ外れ、立ち止まると、モノクロちゃんの顔がある。
 自信に満ちている様子で、私のことを主人公なんて言ってくれる。

 嬉しいけど、ちょっと照れるな。
 後、なんだか心を読まれたみたいで気味が悪い。
 なんて気持ちになるのが普通だけど、私はモノクロちゃんを見つめる。

「どうしましたか、アキラ様?」
「ううん、モノクロちゃんって優しいね」
「えっ?」

 モノクロちゃんは驚いた。
 あまりにも突飛で、モノクロちゃんに積まれた、超高性能AIが混乱してしまう。
 目をグルグル回し、私にもたれかかる。

「ひゅ~」

 モノクロちゃんは変な声を出した。
 私の胸の中に収まると、そのまま動かなくなる。

「モノクロちゃん? モノクロちゃん!」
「すみません、アキラ様。私は、やっぱり……」

 モノクロちゃんはブツブツと呟いた。
 私はモノクロちゃんの意識があるので安心するも、軽く揺する。
 するとモノクロちゃんはブツブツ呟いた。

「アキラ様、少しの間、こうしてもいいですか?」
「いいけど……もうちょっと人目が無い所に行こうかな?」
「分かりました」

 何故だかモノクロちゃんに、急に甘えられてしまった。
 しかも目を閉じていて、私の胸に、多分心臓の辺りに額を押し当てている。
 変なの? と思いつつも、流石に人目が気になったので、私は路地裏にそそくさと逃げ込むと、とりあえず広場を目指して歩き始めた。

「やはり他の人とは……」
「どうしたの、モノクロちゃん?」

 途中モノクロちゃんが呟いた。
 だけどそれ以上は何も言ってくれない。
 だけどなんでかな? 私の心が温かくなると、気持ちはとても調子が良かった。



「クソがっ!」

 俺はゴリラの拳で地面を叩く。
 簡単に凹ませると、鬱憤を晴らしたくて仕方が無い。

「落ち着けよ、ボレオ」
「落ち着けだと? 簡単に逃げられて、落ち着いていられんのか!?」

 そんな俺に抗議してきやがった釘抜きを威圧する。
 すると釘抜きもジリジリと歯ぎしりをする。
 トカゲの顔で舌を出すと、とてつもない怒りに襲われる。

「落ち着ける訳がねぇだろ、ボレオ」
「そうだぜ、ボレオ。俺達全員同じ気持ちだ!」

 ペッパーも同意すると、ボレオは怒りの矛先を剥き出しにする。
 釘抜きもペッパーもこのままではいられない。
 なんでも言い、誰でもいい。とにかく当たり散らせるおもちゃが欲しかった。

「クソッ、誰か来ねぇのか?」
「まあ、そう都合よくはな……」
「……本当に来ないじゃんかよ」

 俺達はフラグを立てたが、回収することはできなかった。
 結局何も起きない。
 そのせいか、怒りの矛先は、地面や壁に向けられた。

「クソがっ!」

 俺は壁に拳を叩き込もうとした。
 けれどそんな俺達を邪魔するなにかがあった。
 俺が拳を叩き込もうとした瞬間、鋭い何かが俺の拳を封じ込めると、壁を叩こうとした腕を引っ込めさせた。

「な、なんだ!?」
「なんだじゃねえよ。おい、お前ら、噂になってる奴らだな?」
「あんっ?」

 誰だ急に。俺達は嫌悪感をバシバシ立てると、面倒臭いが首を向けた。
 すると路地裏の入口に三人と一人、男性が立っている。
 そのうちの一人は、俺達に対して偉そうに言い付けると、ジリジリと詰め寄る。

「なんだ、お前?」
「それは俺のセリフだ。勝手な真似してんじゃねぇよ」
「はっ? なんだコイツ、おい!」

 俺は睨みを利かせ、威圧的に態度をデカくする。
 けれど男性は俺達に近付いて来た。
 完全に舐められているせいか、俺達は。拳を構え武器にする。

「それ以上近付くんじゃねぇよ」
「ああ、近付いてやるよ。俺達とPvPでもするんならな」
「PvPだー! お前ら、完全に舐めてんな」
「ああ、そうだぜ。コイツら舐めてやがる。ん野郎、そんなもん受る訳がねぇだろ! 怠慢だ、怠慢!」

 PvPの誘いなんかしてきやがった。
 流石に呆れる、そんなもの受ける気も無い。
 単なる怠慢には興味も無く、俺達は威嚇した。

「怠慢か。んじゃ、どうすんだ?」
「はぁ、実力行使に決まってんだろ!」

 俺は拳を叩き込む。
 種族スキル:【コング】はSTRを極限まで高める。
 そのせいか、フルスイングで突き付けるも、男性は俺の攻撃を躱した。

「な、なにっ!?」

 俺は驚いてしまった。
 けれど男性はニヤリと笑みを浮かべる。

「先に手を出したな。じゃ、こっからは実力行使だな。俺達も行くぜ」
「な、舐めるなよ!」
「舐めてねぇよ。粛清開始だ」

 男性は俺にそう言った。
 すると俺の【コング】で武装した拳を、男性は軽やかに腕で巻く。

「はっ!?」
「遅いな。そんなんじゃ、俺に一発当てられねぇからな」
「な、なんだよ、お前はよ!」

 完全に舐められている。だけど舐められるくらい強い。
 男性の腕が獣に変わり、鋭い黒い爪を剥きだす。
 俺の拳を受け止めると、逆に圧倒してしまい、そのまま引き裂かれた。

「ぐはっ!」
「遅い」

 一体何が起きたんだ。
 まるで見えなかったぞ。

「よそ見なんかしてる暇があるのか?」
「ぶへっ!」

 口から痰が吐き出される。
 暗がりの地面に俺の吐き出したものがばら撒かれると、今度は顎に向かって蹴りが飛ぶ。

「なんなんだよ、お前も、お前らも、誰なんだよ!」
「さぁな。けどよ、これだけは言っとくぜ。もっと楽しもうか!」
「ぐへっ!」

 もはや手も足も出ない。
 圧倒的なスピードに俺は気圧される。
 もはや攻撃の手も出ず、俺はただ痛めつけられてしまった。
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