VRMMOのキメラさん~〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!? 【リメイク版】

水定ゆう

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3ー1:メダルハンターへの道

◇89 イベント二日目:釣り1

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「あーあ、結局昨日合流できなかったなー」
「うん。惜しかったよね」
「全然。結局私、谷底から出られなかったよー」

 私と烈火は通学路を歩いていた。
 頭の上で腕を組みボヤく烈火だったが、あれから谷底を探索して回り、結果一日目はそこで終了になった。

 一方の私は蒼伊と合流できた。
 メダルもちょっとずつだけと集まってはいる。
 だけど、まさかあんな形で一日目が終わるとは思わなかった。

「そう言えばさっき言ってた、魚の話は?」
「うん。実は、メダルを見つけたんだけど、魚に食べられちゃったんだ」
「あはは、漫画みたいだねー」

 確かに漫画みたいな展開だった。
 メダルがキラリ光ると、せっかく取れそうだったメダルを魚に食べられちゃった。
 きっと今も魚の胃袋の中。惜しいことをしたと思った私だけど、如何したらいいんだろう。

「取り返せるのかな?」
「えっ、凄いことするねー」
「そうかな?」
「そうだよー。だって魚が食べたメダルを取り返すの、絶対時間掛かるよ。止めた方がいいって」

 確かに止めた方がいいのは分かる。だけどせっかく見つけた星付きだ。
 しかも二つも星が刻まれていたから、珍しいに違いない。
 私はともかくとして、蒼伊が如何するのか。ちょっとだけ気になる。

「まあ流石に諦めるかな?」
「それがいいってー。あーあ、今日こそ合流しないとなー」
「そうだね。私もメダル集め頑張るよ」

 イベントは今日で二日目。まだまだ序盤だ。
 メダルをたくさん集めて、できる限り優位に立ちたい。
 そう思った私は、ちゃんとゲームを楽しんでいるんだと痛感した。


「えっと……」

 私はゲームにログインしていた。するとその場所は昨日と同じだ。
 もしかして、イベント終了時点の場所でセーブされる?
 面白い仕様だと思ったけれど、目の前に現れたNightの様子が何処かおかしかった。

「それじゃあ釣るぞ」
「つ、釣る?」

 Nightが目の前にいるのは多分普通。
 昨日の状態で維持されているからに違いない。
 けれどNightにしてはあまりにもバカっぽいというか、シンプル過ぎる作戦だった。

「ちょっと待って、Night。釣るってどういうこと?」
「そのままの意味だ。お前の分も用意してあるから、ちゃんと釣れよ」
「そう言うことじゃなくて……ありがとう」

 私はNightに釣竿を手渡された。
 しかも竹製でも無ければ、電動とかじゃない。普通にカーボン製の良い奴だった。
 一瞬にしてファンタジー感が損なわれた気分になるも、如何して釣りなのか、イマイチピンと来ていない。

「それじゃあ早速やるぞ」
「やるぞの前に、どうして釣りなの?」
「決まっているだろ。昨日私達が取り逃したメダルを回収する。あの魚、フラッシュカープは釣り以外に捕まえる手段が無いからな」

 フラッシュカープと呼ばれたのは、きっとあの大きな魚だ。
 確かに今になって頭の中で思い浮かべると、鯉にも似ていた気がする。
 だけど全然鯉っぽくない色をしていて、なんって言うか、ギラギラしていた。

「フラッシュカープは、光るものに反応する習性がある。それ以外では基本草食類で、川底に潜んでいる情報がある。こんな浅瀬でも、深い部分には石がゴロゴロしているからな。投網じゃ掛からない。罠を張っても警戒心が強いから無駄。そもそも浮上しないから、銛も使えない。捕獲するには釣りあげるしかないんだ」

 Nightは得意げに説明してくれた。もしかして、いや、もしかしなくても一日で調べ上げたに違いない。
 その上で釣竿を前以って用意しておいて、少しでも質を向上させた。
 あまりの執念に私は気圧されてしまう。

「そんなに欲しいの?」
「星二つのメダルは貴重だ」
「そうなんだ。えっ、メダルならその辺に落ちているんじゃないの?」
「バカか。大抵のメダルには、星が刻まれていないスカばかりだぞ」
「そうだったの!?」

 ここに来て新情報が私に降って来る。
 それじゃあここまで集めたメダルに星が刻まれていたのは超奇跡かも。
 私は身震いすると、是が非でも取り返そうと決めた。

「分かった。私も協力するね」
「当り前だろ」
「あ、当たり前って……あれ、餌が付いてないよ?」

 釣竿の先、釣針と一緒に餌が付いていると思っていた。
 だけど餌らしきものは無く、ルアーっぽいものも……ギラギラしている。
 全然魚っぽくなく、私はポカンとしてしまうが、如何やらこれでいいらしい。むしろこれじゃないとダメらしい。変わった魚だ。

「いいか、あの辺りは意思が多いからな。それと同時に流れが急な場所でもフラッシュカープは平気で泳ぐ。つまり……そこだ!」

 Nightは慣れた手付きで釣竿を放る。
 糸がスルリと伸び、ポチャンと小さな波紋と飛沫を上げる。
 透明な糸が見えなくなると、ブイっぽいものが水面に揺蕩っていた。

「上手いね、Night!」
「そうでもない。それよりお前の番だ」
「うん。あの辺を狙って……それっ!」
「……上手いな」

 私も釣りは経験したことがある。だから感覚で投げ入れると、Nightとは反対側にビタッと落ちた。
 おかげで綺麗に二つのブイが浮かび上がると、並行線上を移動する。
 プヨプヨポカポカ……気持ちよさそう。

「後は待つんだよね」
「そうだな。適宜ルアーを疑似餌として動かして……」
「こんな感じだよね。やったことがあるから分かる……よぉ!?」

 私はNightに教えてもらわなくてもある程度で来た。
 前よりも断然上手くなっているのは私の気のせいかな?
 ほぼ完璧なルアー捌きを見せると、速攻で何かが掛かる。

「ん? 根掛かりか?」
「う、うん。そうかも……うわぁ!」
「違うのか。クソッ、早すぎるだろ!」

 私は橋の上から釣りを始めたのに、もう掛かってしまった。
 橋の上から落っこちてしまうそうで、私は何とか耐えたつもりだけど、それでもジリジリ引き寄せられる。もう合わせるとかそんなこと言っていられない。今にも糸が切れ、私が川に落っこちてしまいそうな脅威にさらされながら、Nightと一緒に全力で耐えた。
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