VRMMOのキメラさん~〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!? 【リメイク版】

水定ゆう

文字の大きさ
111 / 199
3ー2:謎が未知満る島

◇111 満島の怪しい人工物

しおりを挟む
 私達は森の中を歩いていた。
 正直、何が出て来るか分からない恐怖と戦っている。
 けれどモンスターが出てくる様子も無く、森を切り拓いて進むと、Nightはポツリと呟く。

「なにもいないな」
「そうだね。ちょっと安心したかも」
「えー、どうせならモンスターがいた方が面白いよー」
「「面白くない」」

 私もNightも表情を顰める。
 そんな悠長なことを言っていられる様子は無い。
 何せ、海岸沿いから歩いて早三十分。道を切り拓くだけで大変だ。

「フェスタは疲れないの?」
「うん、全然疲れないよー」
「バカな。渡しはとうに限界だぞ」
「それはNightが軟弱すぎなだけ」

 フェスタが先頭を切ってくれるおかげか、道はドンドン切り拓かれる。
 開拓者として凄い才能があるのに対して、Nightは地獄を見ている。
 全身から汗を流し、着こなすマントがビシャビシャだ。

「大丈夫、Night?」
「コレを見て、大丈夫に見えるか?」
「見えないけど」

 即答で返すと、Nightは蹴りを飛ばそうとする。
 癇癪を起されても困るから、私は速やかに躱した。

「避けるな」
「避けるよ」
「あはは、超インテリだもんねー、Nightは」
「お前は体力バカだがな」
「イェイ、私は体力があるよー」

 絶対に褒められていないけど、フェルノはポジティブに捉える。
 私は苦笑いを浮かべると、Nightに訊ねる。

「それにしてもNight、この島はどうなってるのかな?」
「どういう意味だ?」
「えっと、どうして満島なのかなって?」
「知るか、そんなもの自分で考えろ」

 Nightはぶっきら棒になって私を突っぱねる。
 グサリと突き刺さった痛みに、胸を襲われた。
 けれどNightはそこまで厳しくないから、私はソッと受け流す。

「でも満島ってことは」
「なにかが“満ちるのか”それとも“満ちているのか”だな」
「満ちてるって?」
「それはまだ分からない。とは言え、この先に答えがある筈だ」

 Nightはそれっぽいことを言ってくれた。
 確かに森を抜ければ何かが待っているかもしれない。
 私達は期待をしながら森の中を切り拓いていくと、先頭を切るフェルノが声を上げた。

「おっ!」
「どうしたの、フェルノ?」
「アレ見てよ。なにかあるよ」

 フェルノが指を指すと、丁度草木が開いていた。
 先の道が丸分かりで、確かに何かある。

「なにかあるね」
「そうだな。しかも絶対に合ってはいけない物だろ」
「確かにー。なんだろ、アレ?」

 私達が見つけたものはヘンテコなものだった。
 とんでもなく怪しげな建物が薄っすらと見える。
 私達は気持ち悪いとは思いつつも、好奇心に負けちゃって、ソッと近付いた。

「二人共、気を付けようね」
「うんうん。流石に私も気を付けるよー」
「先走るなよ。先行して痛い目を見るのは後れた奴なんだぞ」
「それくらい分かってるよーだ。んでと、建物の正体は……はにゃぁ!?」

 フェルノは変な声を上げてしまった。
 だけど私もNightも同じことを思う。
 瞬きをしてしまい、目の前の建物を見つめると、顔色が悪くなった。

「これ、大丈夫なの? 世界観が壊れちゃうよ!」
「そうだな。まさかここに来て」
「人工物だ。人工物だよ、しかも研究施設っぽいよー!」

 私達の目の前にあるのは、巨大な人工物。
 真っ白な建物が聳え立っているが、何よりも研究施設っぽいのがおかしい。
 世界観が完全にぶっ壊れていて、慄く所か呆れてしまった。

「どういうこと? なんでこんなものがこんな場所にあるの?」
「落ち着け。なにかの演出かもしれないだろ」
「演出にしては世界観が……」
「近未来だよねー。あはは、でも小島の森の中にひっそりと佇む謎の建物。しかも真っ白。如何にも!」
「宗教団体の秘密工場、とか腑抜けたことを言うんじゃないだろうな?」
「うっ、バレてたー?」
「当り前だ。大体、そんな場所の鍵を渡すと思うか? しかも公式が、イベントの報酬として」

 正直そんなバカなことは無いと思う。
 ってことは、この建物はなに? 中に入れればいいんだけど。
 私達はグルリと見回すと、明らかに出入り口だって分かる場所があった。
 何せ、そこだけバリアフリーのスロープがあって、手すりもあって、天井もご丁寧に用意されていた。その先には四角い自動ドアっぽい物が設置されていて、ここから入ってくださいって教えてくれている。

「ここだよね?」
「そうだな。という訳だ、フェルノ行け」
「私―? アキラの方がよくない?」
「どうして私なの!?」
「「ギルマスだから」だな」

 こんな時だけ都合のいいこと言わないで欲しい。
 私は正直スルーしたい。だけどスルーは強要させてくれない。
 私は意を決してスロープを上がり、悪かも分からない扉に手を差し出す。

「開けばいいけど」

 ウィーン!

「開いちゃった!?」
「しかも自動ドアだな」
「うーん、最新仕様!」

 自動ドアが最新仕様なのかは置いておく。
 だけど世界観は完全に崩壊。
 満島。あまりにも”技術が未知る島”過ぎて、私達は呆気にとられた。というか、バカ正直に考えるのを止めてしまった。

「も、もういいよ」
「そうだな。せっかく開いたんだ、中に入るぞ」

 こうなったらとことんまで追求しよう。
 そんなNightの探求心が爆発すると、私も乗っかる。
 フェルノも腕を振り上げると、謎の建物の中に乗り込んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

【完結】VRMMOでスライム100万匹倒して最強になった僕は経験値で殴るゲームやってます

鳥山正人
ファンタジー
検証が大好きな主人公、三上ハヤト。 このゲームではブロンズ称号、シルバー称号、ゴールド称号が確認されている。 それ以上の称号があるかもしれないと思い、スライムを100万匹倒したらプラチナ称号を手に入れた主人公。 その称号効果はスライム種族特効効果。 そこからは定番の経験値スライムを倒して最強への道かと思ったら・・・ このゲームは経験値を分け与える事が出来て、売買出来るゲーム。 主人公は経験値でモンスターを殴ります。 ────── 自筆です。

癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。

branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位> <カクヨム週間総合ランキング最高3位> <小説家になろうVRゲーム日間・週間1位> 現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。 目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。 モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。 ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。 テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。 そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が―― 「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!? 癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中! 本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ! ▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。 ▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕! カクヨムで先行配信してます!

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー

びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。 理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。 今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。 ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』 計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る! この物語はフィクションです。 ※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした

水の入ったペットボトル
SF
 これまであらゆるMMOを最前線攻略してきたが、もう俺(大川優磨)はこの遊び方に満足してしまった。いや、もう楽しいとすら思えない。 ゲームは楽しむためにするものだと思い出した俺は、新作VRMMOを最弱職業『テイマー』で始めることに。 βテストでは最弱職業だと言われていたテイマーだが、主人公の活躍によって評価が上がっていく?  そんな周りの評価など関係なしに、今日も主人公は楽しむことに全力を出す。  この作品は「カクヨム」様、「小説家になろう」様にも掲載しています。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

処理中です...