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◇18 ヴァンパイア・ガール1
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そこに広がっていたのは、巨大な黒いお城。
その眼下には、大量の墓石が詰まれた墓地。それこそ、最悪の世界だった。
「うわー。な、なにこれ? 普通にお化け屋敷?」
めちゃ凄いお化け屋敷。これぞ完璧なセットのお化け屋敷。それこそ、市の許可を得て特設のお化け屋敷を作った的な印象だった。
うん。これは、かなり気合の入った景色だ。
「よし。早速肝試しに行ってみよう」
これこそガチの普通テンション。
別に気合を入れるでも、そうでもなく、淡々としていた。アキラは、瞬きを繰り返して、目をごしごし擦って、夢じゃないことを確認してから、聖水の入った瓶を片手に、いざ斜面を下った。そんな中、
「あれ? 誰かいるのかな?」
錯覚かな? 誰かの気配がした。
けれど、そこには誰もいない。振り返ってもいない。おかしいなと思いつつ、アキラはただ進んだ。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
墓地は静かだった。それもそうだ。墓地って言うか、お墓は夜行くことはない。そもそも肝試しぐらいでしか、行かないし、多分行っちゃ駄目なんだよね。
完全に部外者が侵入してきて、何か出て来るかと思いきや、なにも出てこない。
舐められているのかな? それともタイミングの問題? 別にどっちでもいいし怒らないけどさ。
拍子抜けしてしまった。うーん。
「もしかして、今日は駄目なのかな?」
万が一に備えて、剣を構えてみる。
でも何も出てこないまま先に進むと、そこには、十字路ができていた。まるで迷路。そう思ったところ、
ガラガラガラガラ!——
何かが開いた音。
急に冷や汗が出てきて、体が硬直する。
すると後ろから、ピタピタと音を奏でると、瞬きが高速化した。
「な、なんかいる。なんかいる。だけど振り向いていいのかな? 気配的に勝てなそう」
胸の鼓動が爆速化する。
アキラは冷や汗の連続に悩まされるも、一応冷静ではいた。
無理矢理にでも、硬直化を解くと、アキラは聖水の入った瓶を振り返りざまに投げつけた。
スパァ!——
パリィィィン!——
すると、二つの音が絡み合った。
片方は瓶が割れる音。簡単に割れて、プレイヤーやNPCには無害な性質だ。しかし、そこにあったのは、砕け散った瓶の破片。けれど、もう一つは違うみたいだ。
(今のスパァってなに? もしかして、剣で切った音的な感じかな?)
そこにいたのはモンスターではなかった。いや、惜しい。モンスターだったものがいる。
それこそ、全身を包帯でぐるぐる巻きにしていたから、ミイラかな?
けれどHPはレッドバー。そしてすぐなくなる。0になった。それを確認し終えたところ、
「な、なんで!」
アキラは素直に驚きつつ、何が起きたのか、思考する。すると、
「ふん」
「鼻息!?」
聞こえてきたのは、鼻息だった。
それからパリパリと剥がす音。私の目の前にいたのはミイラ。だけど、光に変わった時、そこにいたのは、別の人影。
手には細くて長い剣を持ち、銀色の長い髪と赤と青の瞳がお目見えする。綺麗で可愛い。不意にそう思い、目の前にいる相手に敵意がないこと、そしてさっき感じた気配みたいなのが、この子だってわかった。でも、理由は特にない。
「だ、誰?」
「誰って。人にものを投げつけ、挙句には間接的に助けてもらったのに、その謂れはないと思うが」
かける言葉もない。
間髪入れずに、
「ご、ごめんなさい。それからありがとう。私、気が付かなくて」
「まあいいが、それより気を付けるんだな。ここは、低レベルで来るところじゃない」
そうだったんだ。
アキラは、しゅんとなって、言葉に詰まる。それから目の前にいる少女。私と同じでプレイヤーで、雲の合間から月明かりが差し込むと、そこにいたのは、可愛らしい女の子だった。そう、可愛かった。
「綺麗な目だね。可愛いよ」
「!?」
なに言ってるんだろ。アキラは、そう思った。
それだけじゃない。自分の言ってことに恥ずかしくなるとともに、顔が火照る。
だけど、すぐに冷静になって息を整えると、少女の顔は固まっていて、目が一点を見つめていた。まるで、「この目が可愛い?」と頭の中で、処理ができていなかった。
その眼下には、大量の墓石が詰まれた墓地。それこそ、最悪の世界だった。
「うわー。な、なにこれ? 普通にお化け屋敷?」
めちゃ凄いお化け屋敷。これぞ完璧なセットのお化け屋敷。それこそ、市の許可を得て特設のお化け屋敷を作った的な印象だった。
うん。これは、かなり気合の入った景色だ。
「よし。早速肝試しに行ってみよう」
これこそガチの普通テンション。
別に気合を入れるでも、そうでもなく、淡々としていた。アキラは、瞬きを繰り返して、目をごしごし擦って、夢じゃないことを確認してから、聖水の入った瓶を片手に、いざ斜面を下った。そんな中、
「あれ? 誰かいるのかな?」
錯覚かな? 誰かの気配がした。
けれど、そこには誰もいない。振り返ってもいない。おかしいなと思いつつ、アキラはただ進んだ。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
墓地は静かだった。それもそうだ。墓地って言うか、お墓は夜行くことはない。そもそも肝試しぐらいでしか、行かないし、多分行っちゃ駄目なんだよね。
完全に部外者が侵入してきて、何か出て来るかと思いきや、なにも出てこない。
舐められているのかな? それともタイミングの問題? 別にどっちでもいいし怒らないけどさ。
拍子抜けしてしまった。うーん。
「もしかして、今日は駄目なのかな?」
万が一に備えて、剣を構えてみる。
でも何も出てこないまま先に進むと、そこには、十字路ができていた。まるで迷路。そう思ったところ、
ガラガラガラガラ!——
何かが開いた音。
急に冷や汗が出てきて、体が硬直する。
すると後ろから、ピタピタと音を奏でると、瞬きが高速化した。
「な、なんかいる。なんかいる。だけど振り向いていいのかな? 気配的に勝てなそう」
胸の鼓動が爆速化する。
アキラは冷や汗の連続に悩まされるも、一応冷静ではいた。
無理矢理にでも、硬直化を解くと、アキラは聖水の入った瓶を振り返りざまに投げつけた。
スパァ!——
パリィィィン!——
すると、二つの音が絡み合った。
片方は瓶が割れる音。簡単に割れて、プレイヤーやNPCには無害な性質だ。しかし、そこにあったのは、砕け散った瓶の破片。けれど、もう一つは違うみたいだ。
(今のスパァってなに? もしかして、剣で切った音的な感じかな?)
そこにいたのはモンスターではなかった。いや、惜しい。モンスターだったものがいる。
それこそ、全身を包帯でぐるぐる巻きにしていたから、ミイラかな?
けれどHPはレッドバー。そしてすぐなくなる。0になった。それを確認し終えたところ、
「な、なんで!」
アキラは素直に驚きつつ、何が起きたのか、思考する。すると、
「ふん」
「鼻息!?」
聞こえてきたのは、鼻息だった。
それからパリパリと剥がす音。私の目の前にいたのはミイラ。だけど、光に変わった時、そこにいたのは、別の人影。
手には細くて長い剣を持ち、銀色の長い髪と赤と青の瞳がお目見えする。綺麗で可愛い。不意にそう思い、目の前にいる相手に敵意がないこと、そしてさっき感じた気配みたいなのが、この子だってわかった。でも、理由は特にない。
「だ、誰?」
「誰って。人にものを投げつけ、挙句には間接的に助けてもらったのに、その謂れはないと思うが」
かける言葉もない。
間髪入れずに、
「ご、ごめんなさい。それからありがとう。私、気が付かなくて」
「まあいいが、それより気を付けるんだな。ここは、低レベルで来るところじゃない」
そうだったんだ。
アキラは、しゅんとなって、言葉に詰まる。それから目の前にいる少女。私と同じでプレイヤーで、雲の合間から月明かりが差し込むと、そこにいたのは、可愛らしい女の子だった。そう、可愛かった。
「綺麗な目だね。可愛いよ」
「!?」
なに言ってるんだろ。アキラは、そう思った。
それだけじゃない。自分の言ってことに恥ずかしくなるとともに、顔が火照る。
だけど、すぐに冷静になって息を整えると、少女の顔は固まっていて、目が一点を見つめていた。まるで、「この目が可愛い?」と頭の中で、処理ができていなかった。
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