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◇17 暗いお墓《シャンベリー》

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 それからしばらく歩いていた。
 薄暗い森の中。人魂のようなものが、火の玉となって、踊っている。
 だけど、まるで気にしない少女。つまり、私だ。と、アキラは思っていた。

「多分この変だよね。でも、もう三百メートルぐらいは歩いたと思うんだけど」

 森の入り口。そこには、木の看板ができていた。
 いや立っていた。

 とっても親切で、『この先、墓城シャンベリー』と書いてあった。
 とってもわかりやすい。いや、とってもとっても。アキラは、同じ言葉をループする。
 そんなまま、しばらく歩いておよそ三百。薄暗い森が続いているだけで、一向に変化はない。それこそ、このまま先がないんじゃないかと思っちゃう。

「まあいいや。私歩くの嫌いじゃないし、そのうち見えてくるよね」

 超楽観。スーパーお気楽モードだった。
 こんな感じになれたのは、中学時代から付き合って来た親友の影響だ。
 あの超お気楽親友さんには、これぐらいのテンションの方が、合わせやすいからだ。

「でも、シャンベリーってなんだろ。墓城って言ってたけど、もしかしてお城なのかな?」

 もしそうなら、かなり大きいはずだ。
 けれど、森の外からは見えなかった。この森は、葉っぱの大きさを含めてかなり大きい。だからもしかして、隠れてしまっているのでは? と、思考を無限に広げられたが、アキラは結局何にもわからないんだよね。

「でも行けばわかるよね。はあー、もうこの火の玉、消した方が早いのかな?」

 そう思った瞬間、火の玉が逃げ出す。
 何故って、ついつい余っているからと適当に持たされた聖水の瓶を握り、少し力を込めた瞬間に割れてしまったからだ。
 すると、火の玉は消えてしまいアキラはランタンを付ける羽目になった。
 その足元には、奇妙な青い勾玉が落ちていた。

「なにこれ?」

 何の気なしに、拾い上げると、青白く発光。
 月の光を吸収したみたいで、説明が出た。

青魂の勾玉ブルーソウル
レア度:☆☆☆
・青白い勾玉。月の光を浴びることで、淡く輝く。

 なるほど。かなり良いもの見たい。
 アキラはニコッと笑っていた。正直に言おう。何に使うのかわからない、綺麗なお土産みたいな感じだった。

 でもちょっと重たい。しかしアキラからすれば、おそらく烈火も、「なにこのサービスエリアで売ってるようなお土産品」とか言っちゃいそうだ。
 でもここはぐっと我慢した。いや、普通に見惚れていた。

「よし、なんかいいものゲット。って、あれれ?」

 何の気なしに視線を先に向けると、広がっていた。
 森の先が見える。
 暗いけど、何か建物があって、影みたいになっていた。

 もしかして出口!
 真っ直ぐな気持ちで、一心になって、走っていた。

 するとそこにあったのは、なんとお城。
 しかもかなり大きい。

「うわぁ! 本当にお城だったんだ。でもその下は墓地……」

 複雑化した。
 理想と現実が複雑に絡み合って、ぶつかり合った結果、へんてこになったみたいだった。

 だがしかし、アキラは気づいていない。
 ここまで森を抜けること、火の玉のこと、アイテムのことで頭がいっぱいで、なんとステータスが、幸運のパラメータがアップしていることに。そう、爆上がりしていたことに。
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