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◇25 草原のカエル

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 草原にやって来たのは、決して当てがないからではない。
 それを理解しているのは、Nightだけで、アキラはただ歩いているだけだった。
 そんな中、ついに草原に辿り着いた。そこは、アキラは初めての場所で、とっても風が気持ちよい。

 心地よい風が吹き抜けて、ピンクの髪がたなびく。
 それからNightは右手で髪を抑えながら、長い銀の髪が揺れていた。

「綺麗な草原だね」
「そうか? 私にはその発想はないが」

 それこそ、アキラとNightの考えは相違していた。
 アキラはこの綺麗な空気と草原の若葉模様に、心を静めるが、Nightは常に冷めている。心がではない。感情の振り幅が狭かった。

「もう、Nightって冷めてるね」
「嫌いか?」
「ううん。私はそう人もいるって割り切れるよ」

 意識の差。それこそがアキラをアキラたら占める所以。しかし、アキラはその思考の回転率と言うか、意識の判断が凄くうまいからこそ、相手の顔色を見れば、それこそ一発で意識を切り替え思考を読み取る。その使い勝手のよさが、アキラの表情を笑顔にさせていたんだ。しかし、

「ん? あれ何かな?」
「おう、いたな。よし、あれを狩るぞ」
「で、でもあれって……」

 アキラは動揺していた。それはこれまでの相手とはわけが違うからだ。何せそこにいたのは、

「あんな大きなカエル、私見たことないよ!」
「あのモンスターはジャイアントフロッグ。体液は酸に包まれていて、打撃はほぼ効かない。だからこそ、初心者には厄介な代物だが、お前は行けるだろ、アキラ」
「う、うん。でも私戦ったことない」

 アキラは落ち込み出す。しかしNightは剣を抜いた。十字架のようなガードの綺麗な鉛色の剣だった。その剣を手にしたNightはカッコいい。まるで絵画に出てくるような、騎士の立ち振る舞い。
 姿勢が下がり、腰も落としてマントがたゆたう。

「先に行く。遅れるなよ、スキルも使って対処しろ」
「ちょ、ちょっと待ってよ。なんだか、烈火とは違うタイプで面白いな」

 アキラは妙にはにかんでいた。それこそ、この急かされている感じすら楽しんでいるような、まるで義務と感じていない。それこそ、純粋だった。
 だからこそ、アキラはNightの考えを、軽く飛び抜けていた。アキラのそれは意識の切り替えでは、成しえない、アキラでなければ成しえないような発展した思考回路だったからだ。まさかの事かと思うけど、それはアキラの母親の性格が所以していることは、知らないんだ。
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