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◇30 青いゴースト1

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 青白い靄。階段のフロアに佇んで、アキラたちを見ている。
 見下ろしているのが正しい、しかし姿形はなく、何にもしてこない。それも、攻撃をしてこないんだ。こんな不思議なことあるのかな? だって相手は敵対反応すら示していないのに、モンスター? の表記が出ている。

「Night? あれ、なにかな」
「知らないな。前に来たときは、あんなものはいなかった」

 アキラにNightは答えた。不安になることだ。
 普通に考えれば、同じダンジョンには、同じようなモンスターが現れるのが定石のはず。Nightが話したのは、そんな当たり前なシステムだった。でもこんなことがあるなんて、二人は硬直してその場から動けなかった。これもパターンの模索だと、Nightはアキラに伝えていた。

「いいか、アキラ。動くなよ」
「如何して? 動かないと、やられちゃうよ」
「向こうは何もしてこないんだ。動かないのが、吉と見た。それに動く行為が、向こうのパターンの可能性だってある」

 Nightの見立てはそんなところだった。
 けれどまだ確証はない。そこでNightは、落ちていたタイルの破片を取り上げると、投げつけた。タイルは、青白いものをすり抜ける。

「すり抜けたな」
「すり抜けたね」

 アキラとNightは淡々としていた。
 青白いものは、すり抜けただけで攻撃してこない。もしかして大丈夫なのかな? アキラは首を傾げつつ、Nightをチラ見し、一歩を踏み出そうとした。すると、

「うわぁ!」

 青白い何かが飛んできた。
 鋭い光弾となってアキラの歩いたタイルを焼いた。これは敵対行為だ。本当に、攻撃してくるなんて、まさかこんなことになるなんて。アキラはこめかみから、汗を流した。ちょっと怖い。

「ま、まさか本当に攻撃してきちゃった」
「大丈夫だ」
「Night!」

 すぐ隣にいるNightがいつも以上に頼もしい。
 彼女の手の中には、十字架のような剣がある。完全に敵対意識を向けていた。剣を抜くのはNightだけじゃない、私も剣を抜き、アキラは戦う意識を定めた。

「Night、どうするの?」
「問題ない。互いに左右から行くぞ、聖水は塗っておけ」
「わ、わかった」

 聖水を使う時が来た。インベントリの中から取り出すと、アキラは剣の刀身に浸した。
 ぽたぽたと零れだす。だけどモンスターは、聖水を見ているうちに何かを悟ったのか、足っぽいものが、後退した。もしかして、びびってるのかな? アキラは、一人で試行錯誤していたけど、すぐに前に出ることにしたんだ。

「私は右だ。お前は左から行け」
「オッケー」

 ロングソードには、聖水が。十字架の剣には、何も塗っていない。
 私とNightは距離を詰めながら、階段の一段目に足先を駆けると、モンスターは体を変に歪ませて、アキラたちを襲ったんだ。

 

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