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◇47 燃える竜魂
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そこにいたのは、毒液を弾き完全に戻って来たアキラだった。
その手は、グレーウルフの爪に覆われていて、見れば灰色の毛も生えている。
しかし、Nightとフェルノは、目を丸くした。
「アキラ!」
「もう、立てるのか?」
「うん。二人の声、聞こえてたよ。ありがと、ここからは全力で行くよ!」
そう言って、アキラは拳を振るった。
いつの間にか、その拳は籠手のようなもので覆われていて、硬い緑色の籠手が、オロチコンダの顔をぶん殴る。
しかしそれだけでは終わらない。
【半液状化】でスライム化し、オロチコンダの頭の上に乗り、体を戻して、拳を振り下ろした。
「なんだ、あの動き!」
「あれがアキラの本来の動きだよ。堅い考え全部捨てて、スタイルを変えたんだ」
「スタイルを変える?」
「アキラは切り替えで変わるんだよー。今のは、多分アキラのお母さんの動きを取り入れてるのかな? 変幻自在の体術が決まってるよ!」
「アキラはそんなことまでできるのか? アベレージな気がするが……」
「それはそうだけど、そこがポイントなの。苦手要素はないけど、得意要素もない。でも取り入れる力は誰よりも過ぎれているから、結果的に成長するんだよ」
「主人公か」
「主人公かもね。とか言ってる場合じゃないでしょ。私達も、主人公を支えるために、ほらやるよ!」
フェルノは闘志を燃やした。
すると拳が盛り上がり、竜の爪が鋭くなる。
まるで共鳴しているみたいで、炎が燃え広がり、オロチコンダのぬめりを飛ばした。
「うわぁ、ちょっとフェルノ!」
「ほらほら、行くよ! 私の炎を止められるもんなら、止めてみてよねー!」
無数の陽炎のように、拳が分裂して見えた。
すると一つ一つ、丁寧に拳がオロチコンダにヒットして、HPを確実に削り取る。
ぬめり成分がなくなり、アキラはオロチコンダから落ちそうになるが、持ち前の体幹でそれを難なく凌ぐと、一旦Nightの元に戻った。
「うわぁ、フェルノ燃えてるね」
「燃えているというより、本来の性格なんじゃないのか?」
「それもそうかも。にしても熱いね。ぬめりも全部とれちゃった」
「ぬめりが取れた? ってことは、やっぱり炎に弱い成分か。酸性の液体で、炎に弱い。しかし、この壁から染み出す液体も、アキラの髪についたものも、一向に落ちない。どういうことだ。まさか!」
「ねえNight」
「なんだ。こんな時に」
「ありがとね、守ってくれて」
急にそんなことを言いだした。
Nightは剣を握っていたが、一瞬落としそうになり、アキラの顔を見る。
すると、Nightは真顔になった。
「そんなことを言っている場合か。それに私だってお前に助けられた。これでお相子だ」
「お相子ね。じゃあそれでいいや」
「何が言いたい」
「別に何でもないよ、それより、Night。何か見えたの?」
アキラは急に切り返した。
するとNightはアキラに考えを耳打ちする。
そのことを聞いて、飛び跳ねそうになったが、オロチコンダはフェルノの絶え間ない熱量に目を奪われて、こちらを気にも留めないでいた。
「そんなことがあるの!」
「わからない。だが確証は生まれた。後はそれを成すだけだ。流石に余力もないからだ」
「た、確かに」
もう疲れていた。
そんなことで、二人はフェルノに軽く合図を出す。
何かを悟ったのか、親指を立てた。
「よし、ここからは時間との勝負だ。奴の耐性を信じてみよう」
「賭けってやつだね。あんまり乗り気しないな」
「私もだ、だが今なら、負ける気は全くしないな」
「じゃないと、勝てないもんね。それじゃあ、行ってみよう!」
アキラは拳を突き上げた。
まるでフェルノのようだった。
それに合わせ、拳を突き出しかけたNightだったが、気恥ずかしくて、上げられなかった。
その手は、グレーウルフの爪に覆われていて、見れば灰色の毛も生えている。
しかし、Nightとフェルノは、目を丸くした。
「アキラ!」
「もう、立てるのか?」
「うん。二人の声、聞こえてたよ。ありがと、ここからは全力で行くよ!」
そう言って、アキラは拳を振るった。
いつの間にか、その拳は籠手のようなもので覆われていて、硬い緑色の籠手が、オロチコンダの顔をぶん殴る。
しかしそれだけでは終わらない。
【半液状化】でスライム化し、オロチコンダの頭の上に乗り、体を戻して、拳を振り下ろした。
「なんだ、あの動き!」
「あれがアキラの本来の動きだよ。堅い考え全部捨てて、スタイルを変えたんだ」
「スタイルを変える?」
「アキラは切り替えで変わるんだよー。今のは、多分アキラのお母さんの動きを取り入れてるのかな? 変幻自在の体術が決まってるよ!」
「アキラはそんなことまでできるのか? アベレージな気がするが……」
「それはそうだけど、そこがポイントなの。苦手要素はないけど、得意要素もない。でも取り入れる力は誰よりも過ぎれているから、結果的に成長するんだよ」
「主人公か」
「主人公かもね。とか言ってる場合じゃないでしょ。私達も、主人公を支えるために、ほらやるよ!」
フェルノは闘志を燃やした。
すると拳が盛り上がり、竜の爪が鋭くなる。
まるで共鳴しているみたいで、炎が燃え広がり、オロチコンダのぬめりを飛ばした。
「うわぁ、ちょっとフェルノ!」
「ほらほら、行くよ! 私の炎を止められるもんなら、止めてみてよねー!」
無数の陽炎のように、拳が分裂して見えた。
すると一つ一つ、丁寧に拳がオロチコンダにヒットして、HPを確実に削り取る。
ぬめり成分がなくなり、アキラはオロチコンダから落ちそうになるが、持ち前の体幹でそれを難なく凌ぐと、一旦Nightの元に戻った。
「うわぁ、フェルノ燃えてるね」
「燃えているというより、本来の性格なんじゃないのか?」
「それもそうかも。にしても熱いね。ぬめりも全部とれちゃった」
「ぬめりが取れた? ってことは、やっぱり炎に弱い成分か。酸性の液体で、炎に弱い。しかし、この壁から染み出す液体も、アキラの髪についたものも、一向に落ちない。どういうことだ。まさか!」
「ねえNight」
「なんだ。こんな時に」
「ありがとね、守ってくれて」
急にそんなことを言いだした。
Nightは剣を握っていたが、一瞬落としそうになり、アキラの顔を見る。
すると、Nightは真顔になった。
「そんなことを言っている場合か。それに私だってお前に助けられた。これでお相子だ」
「お相子ね。じゃあそれでいいや」
「何が言いたい」
「別に何でもないよ、それより、Night。何か見えたの?」
アキラは急に切り返した。
するとNightはアキラに考えを耳打ちする。
そのことを聞いて、飛び跳ねそうになったが、オロチコンダはフェルノの絶え間ない熱量に目を奪われて、こちらを気にも留めないでいた。
「そんなことがあるの!」
「わからない。だが確証は生まれた。後はそれを成すだけだ。流石に余力もないからだ」
「た、確かに」
もう疲れていた。
そんなことで、二人はフェルノに軽く合図を出す。
何かを悟ったのか、親指を立てた。
「よし、ここからは時間との勝負だ。奴の耐性を信じてみよう」
「賭けってやつだね。あんまり乗り気しないな」
「私もだ、だが今なら、負ける気は全くしないな」
「じゃないと、勝てないもんね。それじゃあ、行ってみよう!」
アキラは拳を突き上げた。
まるでフェルノのようだった。
それに合わせ、拳を突き出しかけたNightだったが、気恥ずかしくて、上げられなかった。
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