98 / 478
◇97 不思議な馴染み方
しおりを挟む
アキラはリスが目覚めるのを待っていた。
仰向けのまま動かないニードル・スクオロルをじっと観察していると、尻尾がへなっていた。
何だか触りたくなってしまい、右手を近づけると急に目を開けた。
「あっ、起きた」
スッと手を引いた。
リスは周囲を見回しながらキョロキョロしている。可愛い。
アキラはしゃがみ込んだまま目線を下げると、ニードル・スクオロルは敵意を示さなかった。
「大丈夫? 疲れてるみたいだったけど」
アキラは声をかけてみた。
しかし何も反応はない。
それもそうだよね。野生のモンスターに声をかけても何も返ってくるはずがない。
動物と仲良くなったら意思疎通ができると思ったんだ。
だけど……
「あれ?」
キョロキョロと周囲を見回すリス。
するとアキラにすり寄って来た。
もしかしたら針で刺されるかもしれないと思い一瞬身構えるが、針が飛び出てくることはなかった。
「あれ? もしかして仲良くなったのかな?」
すり寄っては来てくれた。
肩に乗ったりしてくれる。
ちょっと重たいなと思ったが嬉しかった。だけどこれもプログラムと考えると少し冷めてしまうが、リスは急に声を上げて走り出した。
「えっ!? ちょっと待ってよ」
何が起きているんだ。
アキラは驚きつつも、リスを追いかけて走り出した。
アキラはリスを追いかけた。
小さいから途中で見失ってしまうけど、その度に声を上げて教えてくれる。
まるでアキラを導いてくれているようだった。
「何処に行こうとしているんだろう。それになんで私に……」
アキラは少し怖くなった。疑問に思う前に考えるのはやめる。
意識を切り替えようにも、何故か不思議な空気が流れてしまいそれが出来ない。
ポワポワした気分になる中、私はふと意識を切り替えるのを止めてみた。
「すぅーはぁーすぅーはぁー」
呼吸を整える。
すると頭がすっきりしてくる。
先程までの重苦しさが抜けていき、ポワポワ感がまとまった空気に変わる。
「あれ? いつもより体が軽い? と言うよりも馴染むのかな」
不思議な感覚に襲われる。
襲われるというよりも、肌に馴染んで纏まった。
アキラは澄んだ空気に包まれて何かこう、一歩先に行った気がする。
悪い感覚はなく、むしろ好意的な馴染み方だ。
「ごめんね、それで何処に行くの?」
リスが待っていてくれた。
クリクリの可愛いお目目でアキラを凝視し、アキラも腰を低くして話しかけた。
するとリスが首を左に捻る。アキラも反射的に首を向けると、何故か茨でできた道が広がっていた。
「嘘でしょ! さっきまでなかったよね」
アキラは叫んでしまった。
声が虚空の何処かに消えてしまう。
けれどリスは反応することもなく、モンスターが寄ってくることもない。
かと思えばニードル・スクオロルは茨の道の中に向かっていた。
「今度はこっちなの? うわぁ、痛そう」
ツンツンしている棘に触ってみると普通に痛い。
HPは削れていないが、痛みだけははっきりと伝わった。
「あっ、ごめんごめん。ちょっと待ってね」
リスはずっと待っていてくれた。
アキラは注意しながら茨の道を進んでいく。
少しでも広く取ろうとすれば、体が茨に触れて痛い。ゆっくり慎重に進んでいく。
「今度はこっちなの?」
どんどん茨の道が狭くなる。
トンネル状になっているので、天井の高さも低くなるんだ。
腰を曲げてゆっくり慎重に進むけど、リスはどんどんと先に行ってしまう。
「ちょっと待ってよ。本当何処に連れて行ってくれるんだろう」
アキラは少しだけ不安になった。
もしかしたら騙されているんじゃないかと思ってしまう。
しかし考えても仕方ない。ここまで付いて来てしまった以上、何の成果もなしに振り返って帰るなんてできない。そもそも物理的にできない。
「ほんと、この森ってどうなってるの。生態系が不思議だよ」
ちょっと頭いいふりをして口にする。
正直アキラの頭の中は空っぽだった。
仰向けのまま動かないニードル・スクオロルをじっと観察していると、尻尾がへなっていた。
何だか触りたくなってしまい、右手を近づけると急に目を開けた。
「あっ、起きた」
スッと手を引いた。
リスは周囲を見回しながらキョロキョロしている。可愛い。
アキラはしゃがみ込んだまま目線を下げると、ニードル・スクオロルは敵意を示さなかった。
「大丈夫? 疲れてるみたいだったけど」
アキラは声をかけてみた。
しかし何も反応はない。
それもそうだよね。野生のモンスターに声をかけても何も返ってくるはずがない。
動物と仲良くなったら意思疎通ができると思ったんだ。
だけど……
「あれ?」
キョロキョロと周囲を見回すリス。
するとアキラにすり寄って来た。
もしかしたら針で刺されるかもしれないと思い一瞬身構えるが、針が飛び出てくることはなかった。
「あれ? もしかして仲良くなったのかな?」
すり寄っては来てくれた。
肩に乗ったりしてくれる。
ちょっと重たいなと思ったが嬉しかった。だけどこれもプログラムと考えると少し冷めてしまうが、リスは急に声を上げて走り出した。
「えっ!? ちょっと待ってよ」
何が起きているんだ。
アキラは驚きつつも、リスを追いかけて走り出した。
アキラはリスを追いかけた。
小さいから途中で見失ってしまうけど、その度に声を上げて教えてくれる。
まるでアキラを導いてくれているようだった。
「何処に行こうとしているんだろう。それになんで私に……」
アキラは少し怖くなった。疑問に思う前に考えるのはやめる。
意識を切り替えようにも、何故か不思議な空気が流れてしまいそれが出来ない。
ポワポワした気分になる中、私はふと意識を切り替えるのを止めてみた。
「すぅーはぁーすぅーはぁー」
呼吸を整える。
すると頭がすっきりしてくる。
先程までの重苦しさが抜けていき、ポワポワ感がまとまった空気に変わる。
「あれ? いつもより体が軽い? と言うよりも馴染むのかな」
不思議な感覚に襲われる。
襲われるというよりも、肌に馴染んで纏まった。
アキラは澄んだ空気に包まれて何かこう、一歩先に行った気がする。
悪い感覚はなく、むしろ好意的な馴染み方だ。
「ごめんね、それで何処に行くの?」
リスが待っていてくれた。
クリクリの可愛いお目目でアキラを凝視し、アキラも腰を低くして話しかけた。
するとリスが首を左に捻る。アキラも反射的に首を向けると、何故か茨でできた道が広がっていた。
「嘘でしょ! さっきまでなかったよね」
アキラは叫んでしまった。
声が虚空の何処かに消えてしまう。
けれどリスは反応することもなく、モンスターが寄ってくることもない。
かと思えばニードル・スクオロルは茨の道の中に向かっていた。
「今度はこっちなの? うわぁ、痛そう」
ツンツンしている棘に触ってみると普通に痛い。
HPは削れていないが、痛みだけははっきりと伝わった。
「あっ、ごめんごめん。ちょっと待ってね」
リスはずっと待っていてくれた。
アキラは注意しながら茨の道を進んでいく。
少しでも広く取ろうとすれば、体が茨に触れて痛い。ゆっくり慎重に進んでいく。
「今度はこっちなの?」
どんどん茨の道が狭くなる。
トンネル状になっているので、天井の高さも低くなるんだ。
腰を曲げてゆっくり慎重に進むけど、リスはどんどんと先に行ってしまう。
「ちょっと待ってよ。本当何処に連れて行ってくれるんだろう」
アキラは少しだけ不安になった。
もしかしたら騙されているんじゃないかと思ってしまう。
しかし考えても仕方ない。ここまで付いて来てしまった以上、何の成果もなしに振り返って帰るなんてできない。そもそも物理的にできない。
「ほんと、この森ってどうなってるの。生態系が不思議だよ」
ちょっと頭いいふりをして口にする。
正直アキラの頭の中は空っぽだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
175
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる