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◇113 イエロー・サーペント
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アキラとフェルノは海に入っていた。
今年初めての海だ。ゲームの中だけど……
青く透き通る塩水に浸かり、アキラとフェルノは水を掛け合う。
ここはまだ浅瀬で膝丈ぐらいしかない。
それでもお互いはしゃいでいた。なんたってアキラは2年ぶりの海だった。ゲームだけどね。
「それっ!」
「うえっ、しょっぱい……やったな!」
フェルノは不意打ちで水を掛けてきた。
顔に直撃して海の水が口の中に入る。
かなりしょっぱくてアキラはついつい吐き出してしまうが、お返しに水を掛けた。
しかしフェルノは軽い身のこなしで駆けられそうになる瞬間に右に避けてかわす。海の中であろうと、その体感と反射神経は健在らしい。
「フェルノ避けないでよ!」
「ごめんごめーん。でもさ、避けるでしょ普通」
「普通避けるって、ただ楽しく遊んでいるだけなのにそこまでする?」
「いいじゃんかー、ここゲームなんだし」
アキラは反則だと思った。
だって《ファイアドレイク》の能力で腕が竜の手に変わっている。
あんなに大きい手のひらで押し出された水は相当な水圧が掛かるはずだ。
つまりしょっぱいよりも、本当は痛いの方が先に出るはずだった。
「スキル使うのは反則だよね。ゲームだからと言っても」
「そう?」
「うん……だからそれっ!」
アキラは本気のお返しを放った。
【灰爪】で爪をコーティングし、水を掻き出す。
すると3本の衝撃波が波立、フェルノを襲った。
「ちょっと、それは流石にダメでしょ!」
身の危険を感じ取り、炎を使い海水を蒸発させる。
白い煙が出てくるが、その隙をついたのはもちろんアキラだ。
身を屈めて近づくと、今度は普通の普通に水を掛ける。
「それっ!」
「うわぁっ!」
完全に油断した。
フェルノはあっさり水を掛けられてしまい、尻餅をつく。
「いたたぁ……それは本気すぎるでしょ」
「だって先にやり始めたのはフェルノでしょ? これでおあいこ。ここからはいつも通り普通に遊ぼうよ」
アキラは提案し、フェルノはすんなり了承する。
お互いあったまってきたみたいで、満足していた。
しかし砂浜で見ていたNightはこう思う。
「あいつら何馬鹿なことをしているんだ」
憐れむような目をしていた
アキラとフェルノはもう少し沖に出ることにした。
2人とも泳ぎは得意な方で、フェルノは学校でも群を抜いている。
先を泳ぐフェルノの後を追いながら、アキラもすぐ後ろを泳いでいる。
「そろそろ戻ろうよ。これ以上はモンスターの海域だよ」
「そうだねー。でもどうせならレベル上げがしたいなー……なんて」
今一番レベルが低いのはフェルノだ。
だから思うところがあるのかもしれない。そう思ったのも束の間。
アキラの視界に異様なものが入り込んだ。
海の中を泳ぐ黄色い紐だ。
(あれ何かな?)
フェルノと一緒に浅瀬まで戻ってきた。
しかし黄色い紐は追って来る。流されているんじゃない。水の中を這うようにして近づいて来ていた。
「フェルノ危ないから、少しこっちに来て」
「危ない? うん、わかった」
フェルノをアキラの方に呼んだ。
すると急に水面が光ると、もの凄い速さで黄色い紐が走った。
フェルノは気が付けず、アキラだけがそのことに気が付く。もしかしたらダツみたいな生き物かもしれないと、危険警報が鳴り出しアキラはフェルノを庇った。
「フェルノ避けて!」
アキラはフェルノをかわして黄色い紐の前に腕を出した。
咄嗟のことでスキルが使えない。しかし貫かれたような痛みはない。
むしろ感じたのは噛みつかれたようなズキズキするもので、海の中にいた紐が腕に食らいついていた。
急展開すぎる。何たってそこにいたのは黄色い蛇だったから。
今年初めての海だ。ゲームの中だけど……
青く透き通る塩水に浸かり、アキラとフェルノは水を掛け合う。
ここはまだ浅瀬で膝丈ぐらいしかない。
それでもお互いはしゃいでいた。なんたってアキラは2年ぶりの海だった。ゲームだけどね。
「それっ!」
「うえっ、しょっぱい……やったな!」
フェルノは不意打ちで水を掛けてきた。
顔に直撃して海の水が口の中に入る。
かなりしょっぱくてアキラはついつい吐き出してしまうが、お返しに水を掛けた。
しかしフェルノは軽い身のこなしで駆けられそうになる瞬間に右に避けてかわす。海の中であろうと、その体感と反射神経は健在らしい。
「フェルノ避けないでよ!」
「ごめんごめーん。でもさ、避けるでしょ普通」
「普通避けるって、ただ楽しく遊んでいるだけなのにそこまでする?」
「いいじゃんかー、ここゲームなんだし」
アキラは反則だと思った。
だって《ファイアドレイク》の能力で腕が竜の手に変わっている。
あんなに大きい手のひらで押し出された水は相当な水圧が掛かるはずだ。
つまりしょっぱいよりも、本当は痛いの方が先に出るはずだった。
「スキル使うのは反則だよね。ゲームだからと言っても」
「そう?」
「うん……だからそれっ!」
アキラは本気のお返しを放った。
【灰爪】で爪をコーティングし、水を掻き出す。
すると3本の衝撃波が波立、フェルノを襲った。
「ちょっと、それは流石にダメでしょ!」
身の危険を感じ取り、炎を使い海水を蒸発させる。
白い煙が出てくるが、その隙をついたのはもちろんアキラだ。
身を屈めて近づくと、今度は普通の普通に水を掛ける。
「それっ!」
「うわぁっ!」
完全に油断した。
フェルノはあっさり水を掛けられてしまい、尻餅をつく。
「いたたぁ……それは本気すぎるでしょ」
「だって先にやり始めたのはフェルノでしょ? これでおあいこ。ここからはいつも通り普通に遊ぼうよ」
アキラは提案し、フェルノはすんなり了承する。
お互いあったまってきたみたいで、満足していた。
しかし砂浜で見ていたNightはこう思う。
「あいつら何馬鹿なことをしているんだ」
憐れむような目をしていた
アキラとフェルノはもう少し沖に出ることにした。
2人とも泳ぎは得意な方で、フェルノは学校でも群を抜いている。
先を泳ぐフェルノの後を追いながら、アキラもすぐ後ろを泳いでいる。
「そろそろ戻ろうよ。これ以上はモンスターの海域だよ」
「そうだねー。でもどうせならレベル上げがしたいなー……なんて」
今一番レベルが低いのはフェルノだ。
だから思うところがあるのかもしれない。そう思ったのも束の間。
アキラの視界に異様なものが入り込んだ。
海の中を泳ぐ黄色い紐だ。
(あれ何かな?)
フェルノと一緒に浅瀬まで戻ってきた。
しかし黄色い紐は追って来る。流されているんじゃない。水の中を這うようにして近づいて来ていた。
「フェルノ危ないから、少しこっちに来て」
「危ない? うん、わかった」
フェルノをアキラの方に呼んだ。
すると急に水面が光ると、もの凄い速さで黄色い紐が走った。
フェルノは気が付けず、アキラだけがそのことに気が付く。もしかしたらダツみたいな生き物かもしれないと、危険警報が鳴り出しアキラはフェルノを庇った。
「フェルノ避けて!」
アキラはフェルノをかわして黄色い紐の前に腕を出した。
咄嗟のことでスキルが使えない。しかし貫かれたような痛みはない。
むしろ感じたのは噛みつかれたようなズキズキするもので、海の中にいた紐が腕に食らいついていた。
急展開すぎる。何たってそこにいたのは黄色い蛇だったから。
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