159 / 478
◇158 スライド式の扉
しおりを挟む
アキラは扉が開くと、反動で倒れてしまった。
全身の力が抜けて、空洞となっている通路に出る。
「うわあぁ! い、痛たたたぁ……」
顔を思いっきりぶつけた。
アキラは鼻の先を抑えているが、真っ赤になっている。
通路の床に顔を叩きつけてしまったからこうなったんだ。
「大丈夫、アキラ?」
「う、うん。大丈夫だよ」
「よかったぁー。でもまさか開いちゃったね」
「うん。しかも引き戸になってるなんて思わなかったよ」
アキラとフェルノは驚いていた。
目の前で扉が開く瞬間を目の当たりにしたからだが、こんな簡単な手順で開くなんて思ってもみなかった。
何か見落としでもあるのかと考えていたのに、咄嗟に思いついた考えが答えだったので未だに納得がいかない。
特に、突然アキラが叫び声を上げ、様子を見に来たNightたちは扉が開いている現状を見て茫然としていた。
「これはどういうことだ」
「扉が開いていますね。あれだけ苦戦していたはずの片側の扉が」
「どうやって開けたんだ、アキラ、フェルノ!」
「えっ、えーっと……何って言おう」
アキラは困り果てたが、自分が何をしたのかNightたちに伝えた。
すると驚くというよりも呆れられてしまった。
特にNightは愕然として、肩を落としている。
「そんなことで開いちゃったのね」
「そんなことでね。北極星の位置って言うのは、結局合ってたんだよ」
「それではNightさんの考えは間違っていなかったみたいですね」
「苦労が報われてよかったわね、Night」
「慰めは要らない。とにかく扉は開いたのか……よかった」
あまりに覇気を感じられない。
Nightは空気が抜けた風船のようだった。
けれど足だけはしっかりと先に行こうとして、アキラ達を連れて通路の先に向かう。
漂っていた納得のいかない感情をどこに吐き出せばいいのかわからないので、Nightは首を傾げその様子を見ていたアキラは、やっぱり慰めようと思いNightの横を歩く。
「まさかここまで安い仕掛けだったとは。本当に考えることを無碍にする遺跡だな」
「もしかして落ち込んでいるの、Night? らしくないよ」
「らしくないは余計だ。とは言え落ち込むか、普通なら愕然として意気消沈してしまうんだろうな」
「じゃあNightは違うの?」
「当たり前だ。開いたならそれでいい、結果オーライと言うだろ」
「Nightらしい……かな?」
「ここでは考えないこと、咄嗟の閃きと子供に戻ったような遊び心が鍵になっている。私はそう考えているんだが、どう思う?」
「どう思う! うーん、確かのそうだよね。私も納得かな」
Nightが疲れ果てていた。ただし落ち込んではいないようで、ホッと胸を撫で下ろす。
言葉や表情からもわかる。かなり披露していて、幼児退行しているようだ。
この遺跡は確かにNightの言う通り、考えることを無にする。
もしかしたらそのせいで1人だけ疲れているのかな?
「なんか、いいねいいね! 調子上がってきたねー」
「そうね。ほとんど閃きだから何も考えなくてもいいのが楽ね」
「ですがNightさんには分が悪いですね。【ライフ・オブ・メイク】も記憶力も知性も全部無意味みたいですから」
「そんなことはないと思うよー。たださー、発想を逆にしてみるんだよー」
発想を逆にする。アキラの意識の変化と同じようなものだ。
とは言えNightは今更発想を変える気はない。
そこで心を無にすることで状況に対応できるよう心構えを固める。
「とりあえず宝玉は回収するとして、問題は次だな」
「次って?」
「まだあの傾斜のことが説明できないだろ。考えないようにすればヒントになるかもしれない」
「傾斜って滑り台のことだよね? そう言えば滑り台も溝も何に使うのかな?」
アキラは鼻っから考えていなかった。
何かわかるかと思って聞いてみたNightは自分が馬鹿だったと悟る。
ただあの傾斜や溝は間違いなく謎解きだ。そうとだけは確信がある。
「おそらくまた発想が鍵になってくる。アキラ、フェルノ頼んだぞ」
「「何で私たちだけ!」」
「決まっているだろ。馬鹿っぽいからだ」
「酷い! こう見えて成績はいいんだよ」
「進学校じゃないだけなんだけよー!」
「冗談だ。お前たちが頭が悪いとは思っていない。むしろその発想力に期待しているんだ。存分に勘を働かせてくれ」
「「褒められてるのかな?」」
2人は納得がいかなかったが、丸め込んで飲み込むことにした。
とは言えNightも考えることを止めたわけではないので、ログアウトしたら考えるつもりらしい。
「何かを流すための溝でしょうか?」
「流しそうめんみたいに?」
「その可能性もある。とは言え、そこまで行くともはやからくりだな」
雷斬たちも発想を頭の中で並べていると、そんなこんなで小部屋に辿り着くと石でできた本から宝玉を取ることができた。
するとたちまち台座が上下して、もう片方の小部屋同様滑り台のような傾斜が現れる。
床には真っ直ぐな溝が生まれ、明らかにないかあると想像力を掻き立てる。
だけどそれ以上は何もわからなかった。
結局またしても謎が増えただけで、全然終わりが見えない。むしろ途方もなく終わりがないんじゃないかと思えてしまう。
だけどアキラたちは諦める気はなかった。けれどしばらくの間迷走してしまうのだった。
全身の力が抜けて、空洞となっている通路に出る。
「うわあぁ! い、痛たたたぁ……」
顔を思いっきりぶつけた。
アキラは鼻の先を抑えているが、真っ赤になっている。
通路の床に顔を叩きつけてしまったからこうなったんだ。
「大丈夫、アキラ?」
「う、うん。大丈夫だよ」
「よかったぁー。でもまさか開いちゃったね」
「うん。しかも引き戸になってるなんて思わなかったよ」
アキラとフェルノは驚いていた。
目の前で扉が開く瞬間を目の当たりにしたからだが、こんな簡単な手順で開くなんて思ってもみなかった。
何か見落としでもあるのかと考えていたのに、咄嗟に思いついた考えが答えだったので未だに納得がいかない。
特に、突然アキラが叫び声を上げ、様子を見に来たNightたちは扉が開いている現状を見て茫然としていた。
「これはどういうことだ」
「扉が開いていますね。あれだけ苦戦していたはずの片側の扉が」
「どうやって開けたんだ、アキラ、フェルノ!」
「えっ、えーっと……何って言おう」
アキラは困り果てたが、自分が何をしたのかNightたちに伝えた。
すると驚くというよりも呆れられてしまった。
特にNightは愕然として、肩を落としている。
「そんなことで開いちゃったのね」
「そんなことでね。北極星の位置って言うのは、結局合ってたんだよ」
「それではNightさんの考えは間違っていなかったみたいですね」
「苦労が報われてよかったわね、Night」
「慰めは要らない。とにかく扉は開いたのか……よかった」
あまりに覇気を感じられない。
Nightは空気が抜けた風船のようだった。
けれど足だけはしっかりと先に行こうとして、アキラ達を連れて通路の先に向かう。
漂っていた納得のいかない感情をどこに吐き出せばいいのかわからないので、Nightは首を傾げその様子を見ていたアキラは、やっぱり慰めようと思いNightの横を歩く。
「まさかここまで安い仕掛けだったとは。本当に考えることを無碍にする遺跡だな」
「もしかして落ち込んでいるの、Night? らしくないよ」
「らしくないは余計だ。とは言え落ち込むか、普通なら愕然として意気消沈してしまうんだろうな」
「じゃあNightは違うの?」
「当たり前だ。開いたならそれでいい、結果オーライと言うだろ」
「Nightらしい……かな?」
「ここでは考えないこと、咄嗟の閃きと子供に戻ったような遊び心が鍵になっている。私はそう考えているんだが、どう思う?」
「どう思う! うーん、確かのそうだよね。私も納得かな」
Nightが疲れ果てていた。ただし落ち込んではいないようで、ホッと胸を撫で下ろす。
言葉や表情からもわかる。かなり披露していて、幼児退行しているようだ。
この遺跡は確かにNightの言う通り、考えることを無にする。
もしかしたらそのせいで1人だけ疲れているのかな?
「なんか、いいねいいね! 調子上がってきたねー」
「そうね。ほとんど閃きだから何も考えなくてもいいのが楽ね」
「ですがNightさんには分が悪いですね。【ライフ・オブ・メイク】も記憶力も知性も全部無意味みたいですから」
「そんなことはないと思うよー。たださー、発想を逆にしてみるんだよー」
発想を逆にする。アキラの意識の変化と同じようなものだ。
とは言えNightは今更発想を変える気はない。
そこで心を無にすることで状況に対応できるよう心構えを固める。
「とりあえず宝玉は回収するとして、問題は次だな」
「次って?」
「まだあの傾斜のことが説明できないだろ。考えないようにすればヒントになるかもしれない」
「傾斜って滑り台のことだよね? そう言えば滑り台も溝も何に使うのかな?」
アキラは鼻っから考えていなかった。
何かわかるかと思って聞いてみたNightは自分が馬鹿だったと悟る。
ただあの傾斜や溝は間違いなく謎解きだ。そうとだけは確信がある。
「おそらくまた発想が鍵になってくる。アキラ、フェルノ頼んだぞ」
「「何で私たちだけ!」」
「決まっているだろ。馬鹿っぽいからだ」
「酷い! こう見えて成績はいいんだよ」
「進学校じゃないだけなんだけよー!」
「冗談だ。お前たちが頭が悪いとは思っていない。むしろその発想力に期待しているんだ。存分に勘を働かせてくれ」
「「褒められてるのかな?」」
2人は納得がいかなかったが、丸め込んで飲み込むことにした。
とは言えNightも考えることを止めたわけではないので、ログアウトしたら考えるつもりらしい。
「何かを流すための溝でしょうか?」
「流しそうめんみたいに?」
「その可能性もある。とは言え、そこまで行くともはやからくりだな」
雷斬たちも発想を頭の中で並べていると、そんなこんなで小部屋に辿り着くと石でできた本から宝玉を取ることができた。
するとたちまち台座が上下して、もう片方の小部屋同様滑り台のような傾斜が現れる。
床には真っ直ぐな溝が生まれ、明らかにないかあると想像力を掻き立てる。
だけどそれ以上は何もわからなかった。
結局またしても謎が増えただけで、全然終わりが見えない。むしろ途方もなく終わりがないんじゃないかと思えてしまう。
だけどアキラたちは諦める気はなかった。けれどしばらくの間迷走してしまうのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
175
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる