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◇198 構わず破壊するが…
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フェルノはNightから渡された鉄製のハンマーを構えていた。
いつもと勝手が違う武器に少し戸惑っている。
「うーん、私こっちに来てから武器なんて使ったことなかったけど、結構動き難いね」
フェルノは唇を曲げていた。
それも当然で、今までフェルノはスキルで勝手に武装していた。
継ぎ接ぎの面々の中では唯一武器に頼らない戦闘態勢を取っていた。
「そうかな?」
「どうだろうな」
アキラとNightには全く共感されなかった。
フェルノはその姿を見ていると、「私が間違っているのかなー?」と首を捻る。
Nightは「間違ってはいないが」とどうにも歯切れが悪いのは、このGAMEの遊び方だった。
「でもやるからには全力でやるよ!」
「フェルノ。【吸炎竜化】を使っておけ」
「どうして?」
Nightはフェルノに伝えたが、すぐさま聞き返された。
だけどNightは特に答えることはなく、「とにかくやっておけ」とだけ答えた。
フェルノも変な言い合いになるのは嫌なので、ここは折れることにした。
「わかったよ。取り合えず、これでいいのかなー?」
「よし。アキラ、私たちは下がるぞ」
「どうして?」
「これは聞くな。とにかく下がれ」
Nightはアキラの腕を掴むと、無理やり後ろに引っ張る。
だけど筋力のパラメータ的にアキラは自分で動くことにした。
「それじゃあいっくよー!」
フェルノは野球の投球でもするみたいに片足を上げると、思いっきり白い華に向かってハンマーを叩きつけた。
バキバキと音を立ててひびが入る。
ボロボロと鋭い断片となって落ちていた。
「おっ! 結構、一発で砕けるじゃんかー」
「マズいな。もう少し下がるぞ」
Nightはその姿を見ていたが、アキラをもう少し下がらせた。
アキラも目を凝らしていると、白い華の根元から湯気が出ていた。さっきまで出ていなかったのに、急に何だろうか?
「ねえNight。湯気出てるよ?」
「だからマズいんだ。まあフェルノなら行けるだろ」
「えっ? って、あー。何だかわかった気がするよ」
アキラはげんなりした様子だ。
Nightもこれから起こることが目に見えているので、さらに下がる。
「よーし、このままどんどん壊していくよー!」
フェルノは得意のパワーでハンマーを叩き込む。
慣れない動きだけど、白い炭化カルシウムの華が砕けていき、アキラとフェルノは根元からどんどん出ている湯気にさらに警戒した。
これは確実になる。
「ヤバいね。これマズいよ?」
「そんなこと百も承知だ。とにかく今はフェルノに犠牲になってもらおう」
「フェルノ、頑張ってね」
フェルノはその間も、ガンガンハンマーを叩き込んだ。
大量の炭化カルシウムの破片が飛び散り、鋭い刃のように地面の落ちる。
アキラたちのところまで弾けてきて、拾い上げたが先が尖っていて武器に使えそうだった。
「フェルノってこんなの砕いてるの?」
「そうだな。アキラ、それ貰ってもいいか?」
「うん、いいよ。また何か武器に使うの?」
「当然だ。私が意味なく受け取ると思うか?」
「うーん、思わないよ」
だって利己的かつ合理的……なイメージが最近崩れつつある。
もう確率論みたいな戦い方が目立っていて、いつも驚かされていた。
アキラは遠い目をしていたが、言わないことにして胸の奥に仕舞いこむ。そうした方が意識的にもいい気がした。
「よーし。最後にドカーンといっちゃおー!」
フェルノは大振りでハンマーを叩き込んだ。
すると白い炭化カルシウムの華は砕け散った。
「おっ、これならいいんじゃない? ねえみんなー! ……どうしてそんなに離れているの?」
「そんなことはいい。とにかく気を付けろ!」
「火傷しちゃダメだよー」
「火傷?」
フェルノは首を捻った。
すると白い炭化カルシウムの華が砕けた途端、湯気と一緒の熱湯が噴き出してきた。
間欠泉が復活して、フェルノを襲う。顔に直撃しかけて、右腕でガードした。
「熱っ!」
フェルノは火傷しないようにガードしていた。
分厚い皮膚のおかげでそこまで被害はなさそうだった。
「ちょっと、ちょっと。何でみんな下がってたの!」
「だって湯気が出てたから」
「湯気が出てたの?」
「そうだぞ。私たちの防御手段はない。それにお前なら、熱エネルギーは吸炎できるだろ?」
「それはそうだけど、こっちも熱いんだよ?」
「ごめんねフェルノ。でもおかげで間欠泉が元に戻ったよ!」
Night曰く、今回はこれでいいらしい。
間欠泉を覆うために鉄パイプを使うらしいが、硫黄のせいで溶けて固まった炭化カルシウムの塊で間欠泉が塞がってしまうことがあるらしい。
今回は天然かつファンタジー世界だから今回みたいなことになったけど、フェルノのおかげで無事に直ったらしい。
「それじゃあ帰ろっか」
「全くだ。早く帰って温泉に入るぞ」
「服も返さないとね」
「うるさい。……お前に借りたのが間違いだった」
今のNightの格好はアキラの色違いだった。
いつもと勝手が違う武器に少し戸惑っている。
「うーん、私こっちに来てから武器なんて使ったことなかったけど、結構動き難いね」
フェルノは唇を曲げていた。
それも当然で、今までフェルノはスキルで勝手に武装していた。
継ぎ接ぎの面々の中では唯一武器に頼らない戦闘態勢を取っていた。
「そうかな?」
「どうだろうな」
アキラとNightには全く共感されなかった。
フェルノはその姿を見ていると、「私が間違っているのかなー?」と首を捻る。
Nightは「間違ってはいないが」とどうにも歯切れが悪いのは、このGAMEの遊び方だった。
「でもやるからには全力でやるよ!」
「フェルノ。【吸炎竜化】を使っておけ」
「どうして?」
Nightはフェルノに伝えたが、すぐさま聞き返された。
だけどNightは特に答えることはなく、「とにかくやっておけ」とだけ答えた。
フェルノも変な言い合いになるのは嫌なので、ここは折れることにした。
「わかったよ。取り合えず、これでいいのかなー?」
「よし。アキラ、私たちは下がるぞ」
「どうして?」
「これは聞くな。とにかく下がれ」
Nightはアキラの腕を掴むと、無理やり後ろに引っ張る。
だけど筋力のパラメータ的にアキラは自分で動くことにした。
「それじゃあいっくよー!」
フェルノは野球の投球でもするみたいに片足を上げると、思いっきり白い華に向かってハンマーを叩きつけた。
バキバキと音を立ててひびが入る。
ボロボロと鋭い断片となって落ちていた。
「おっ! 結構、一発で砕けるじゃんかー」
「マズいな。もう少し下がるぞ」
Nightはその姿を見ていたが、アキラをもう少し下がらせた。
アキラも目を凝らしていると、白い華の根元から湯気が出ていた。さっきまで出ていなかったのに、急に何だろうか?
「ねえNight。湯気出てるよ?」
「だからマズいんだ。まあフェルノなら行けるだろ」
「えっ? って、あー。何だかわかった気がするよ」
アキラはげんなりした様子だ。
Nightもこれから起こることが目に見えているので、さらに下がる。
「よーし、このままどんどん壊していくよー!」
フェルノは得意のパワーでハンマーを叩き込む。
慣れない動きだけど、白い炭化カルシウムの華が砕けていき、アキラとフェルノは根元からどんどん出ている湯気にさらに警戒した。
これは確実になる。
「ヤバいね。これマズいよ?」
「そんなこと百も承知だ。とにかく今はフェルノに犠牲になってもらおう」
「フェルノ、頑張ってね」
フェルノはその間も、ガンガンハンマーを叩き込んだ。
大量の炭化カルシウムの破片が飛び散り、鋭い刃のように地面の落ちる。
アキラたちのところまで弾けてきて、拾い上げたが先が尖っていて武器に使えそうだった。
「フェルノってこんなの砕いてるの?」
「そうだな。アキラ、それ貰ってもいいか?」
「うん、いいよ。また何か武器に使うの?」
「当然だ。私が意味なく受け取ると思うか?」
「うーん、思わないよ」
だって利己的かつ合理的……なイメージが最近崩れつつある。
もう確率論みたいな戦い方が目立っていて、いつも驚かされていた。
アキラは遠い目をしていたが、言わないことにして胸の奥に仕舞いこむ。そうした方が意識的にもいい気がした。
「よーし。最後にドカーンといっちゃおー!」
フェルノは大振りでハンマーを叩き込んだ。
すると白い炭化カルシウムの華は砕け散った。
「おっ、これならいいんじゃない? ねえみんなー! ……どうしてそんなに離れているの?」
「そんなことはいい。とにかく気を付けろ!」
「火傷しちゃダメだよー」
「火傷?」
フェルノは首を捻った。
すると白い炭化カルシウムの華が砕けた途端、湯気と一緒の熱湯が噴き出してきた。
間欠泉が復活して、フェルノを襲う。顔に直撃しかけて、右腕でガードした。
「熱っ!」
フェルノは火傷しないようにガードしていた。
分厚い皮膚のおかげでそこまで被害はなさそうだった。
「ちょっと、ちょっと。何でみんな下がってたの!」
「だって湯気が出てたから」
「湯気が出てたの?」
「そうだぞ。私たちの防御手段はない。それにお前なら、熱エネルギーは吸炎できるだろ?」
「それはそうだけど、こっちも熱いんだよ?」
「ごめんねフェルノ。でもおかげで間欠泉が元に戻ったよ!」
Night曰く、今回はこれでいいらしい。
間欠泉を覆うために鉄パイプを使うらしいが、硫黄のせいで溶けて固まった炭化カルシウムの塊で間欠泉が塞がってしまうことがあるらしい。
今回は天然かつファンタジー世界だから今回みたいなことになったけど、フェルノのおかげで無事に直ったらしい。
「それじゃあ帰ろっか」
「全くだ。早く帰って温泉に入るぞ」
「服も返さないとね」
「うるさい。……お前に借りたのが間違いだった」
今のNightの格好はアキラの色違いだった。
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