「その結婚ちょっと待つのじゃー!」ってワシは何を言っているのだろうか?

だらけたい

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18.駄目かな

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(シャルフィム視点)

「起きなさい!シバル!」
「ぐふっ」

 うめいたシバルはお腹をおさえながらようやく起きた。

「なんだ?もう朝か?」
「何言ってるのよ。周りをよく見なさい」
「なんだよ。周りって」

 寝ぼけ眼で辺りを見回したシバルの目が徐々に開いてきたかと思うと、

「どこだここ!」

 完璧に目覚めたシバルは叫んだ。

「さぁ、どこかしらね」

 それについては私もわからないので答えられない。

「あれ?あれ?夕夜は?」
「私が起きた時にはすでに居なかったわね」
「あいつ逃げたのか!」

 またとんでとないことを言い出したシバルの頭をおもいっきり叩いた。

「グハッ」
「逃げたんじゃなくて帰ったのでしょ。私を助け出すって依頼は完了したんだし」
「う」

 私の言葉にシバルが黙り込んだ。

 流石にこの馬鹿でも自分のやらかしは忘れてなかったみたいね。

 でも、すぐに謝ってこないところはこの馬鹿の悪いところよね。

 とはいえ、ここでその話をし始めたら喧嘩になるでしょうし、移動し始めましょう。

 話しかけてくるなオーラを出しながら歩いていると、流石にシバルは話しかけてくることなくあとをついてきた。

 そうして少し歩くと、すぐに村の全体が見えてきた。

「シバルはあんな村見たことある?」
「え?」

 振り返らずに声だけかけると戸惑いの声が返ってきた。

「だから、あんな村見たことある?」

 男手とだけあって大人達の手伝いとしてシバルの方が村を出た回数は多いので、何か知っている可能性があるので聞いてみた。

「い、いや。見たことない村だな」
「そう」

 ということは、やっぱり私達の村の近くではない、ということだろう。

 夕夜さんは一体どこまで私達を運んだのだろうか?

 疑問に思いつつも、さらに歩いていくと入り口に立つ男性が見えた。

 ということは、男性の方も私達に気づいた、ということで、男性はいぶかしげに私達の全身をマジマジと見てきていた。

 なんでそんなに見てくるのだろうか?

 と思いながら男性の元へ行き、

「こんにちは」

 笑顔で挨拶をしたのだけど、男性はまだいぶかしげに私達を見てきていた。

「あの~。どうかしました?」

 流石にこんなにいぶかしげに見られる理由がわからないので、首を傾げて問いかけてみた。

「………」

 しかし、男性は何も言わずに私達をジロジロと見てくるだけだった。

「何ジロジロ見てるんだよ!」

 男性の視線にとうとうキレたシバルが男性に向かって叫んだので、私はその頭を叩いた。

「いたっ」
「うるさいわよ」
「いや、だって」
「だってじゃないわよ」

 私がさらにシバルの頭を叩いていると、男性がクスッと笑った。

「ジロジロ見てすまなかったな。武器を持ってなかったから冒険者でもないだろうし、荷物も何も持ってなかったから旅人にしても不自然だったものでな」

 そう言われれば、それもそうか、と納得出来た。

 服装は結婚式場で着せられた白い服とは違って普通の服にはなっていたけど、確かに武器も荷物も持っていないので冒険者にも旅人にも見えないだろう。

「近くの村の子供でもなさそうだし、一体どこから来た何者なんだ?」
「俺達は子供でぅぁ!」
「もう!本当うるさいから黙りなさい!」

 話が進まないのでさっき以上の、気絶させるくらいのパワーで殴ると、シバルは膝から崩れ落ち、頭を抱えて黙り込んだ。

「シバルがうるさくてすいません」
「あ、いや、こっちこそなんかすまんな」

 男性が少し引いていた。

 それもこれもシバルのせいなのでさらに追い打ちをかけたかったが、さらに引かれると困るのでなんとか耐えたよ。

「どうしたのかな?」

 私達がそんなことをしているうちにいつの間にか村人達が集まってきていて、その中の1人の女性が話しかけてきた。

「村長」
「え?」

 男性が村長と言ったその女性はまだ20代にしか見えず、村長と呼ばれるには若すぎる気がした。

 そもそも女性が村長になること自体が稀でもあるし。

 痛みに悶えていたシバルもそのことには驚いたのか、顔を上げて女性を凝視していた。

「旅人とは違うようだけど………」

 村長は私達の全身を一通り見回すと、

「色々訳ありみたいだし、話を聞きたいからうちに行こうかな」
「村長!?」

 村長の言葉に男性は驚き、村人達も軽くざわついた。

 私も驚いた。

 自分でいうのもなんだけど、私達は怪しいはずだ。

 それなのに村に入れて話を聞くと言い出すなんて思いもしなかったからだ。

「いいんですか!?」
「いいのかな。この子達は悪い子ではないのかな」

 村長の言葉にどこか納得のいってなさそうな男性だったが、村長は気にした様子もなく手招きしてきた。

「ほら、早く来るかな」
「あ、はい。シバル。行くわよ」
「お、おう」

 立ち上がったシバルと共に村人達の視線を受けながら村長のあとをついていくと、村の入り口近くの小さな家に入っていった。

 村長の家といえば村の中心にあるイメージなのだけど、そういったところもこの村の変わっているところなのかもしれない。

「どうぞ。座ってかな」

 すすめられた椅子に座ると、村長はお茶の段取りテキパキと進めて私達の前にお茶を出してきた。

「お茶かな」

 多分「かな」が口癖なんだろうけど、この場合だと疑問形に聞こえて、これがお茶かどうか怪しく聞こえてくる。

「ありがとうございます」

 私がお礼を言うと、笑顔の村長は向かいの椅子に座った。

「私はこの村の村長をしている葵かな」
「私はシャルフィムです」
「その恋人のシバルだ」

 今はその紹介にカチンとくるものはあったけど、話がそれてしまうので怒りを鎮めることにした。

「それで、どんな訳があってここにいるのかな?」
「その前に夕夜はどこにいる!」

 シバルが質問にも答えずに突っかかっていったので、危うくお茶を吹き出しそうになったよ。

「夕夜かな?誰かな?」
「じゃあ、御前様とかいうのはいるのか!?」
「御前様かな?誰かな?」
「匿っているんじゃばら!」

 まだ詰め寄るシバルを止めるために、頭を掴んで机に叩きつけた。

「本当に、本当にすいません」
「ふふふ。大丈夫かな。気にすることはないかな」

 葵さんは笑って許してくれたが、本当にシバルはあとで口でも拳でもボコボコにしないと気がすまないわね。

「それで、さっきその子が言った夕夜や御前様が君たちの訳ありに関わっているみたいだけど、どういうことなのかな?」

 そこまで聞かれて訳を話さないなんて出来るわけもないので、あったことを全て包み隠さずに話すことにした。

「なるほどかな、なるほどかな」

 話を最後まで真剣に聞いてくれた葵さんは頷いた。

「それはつらい目にあったのかな」
「信じてくれるのですか?」

 自分で話していてなんだけど、最後の移動に関してはかなりありえないことを話していたはずなんだけど………。

「信じるかな。シャルフィムちゃんは嘘をついていないのはわかったかな。だから大丈夫かな」
「う。あ、ありがとう、ございます」

 信じてもらえたことが嬉しかったこと、信じてもらえてホッとしたこと、大丈夫と言ってもらえたこともあって自然と涙が出てきた。

「泣かないのかな」

 私の元へやって来た葵さんは抱きしめてくれた。

「それなら、2人はこれからこの村で住むかな?」
「い、いいのですか?」
「村のみんなには私から説明するかな。それに、うちの村はこんな田舎の村だから若い働き手はいつでも歓迎なのかな」

 確かにうちの村も田舎で、若い働き手は重宝されていて移り住んでくる人は歓迎されていたので、ここでも同じなのだろう。

「よ、よろしくお願いします」
「よろしくかな。それで、恋人同士なら家は2人で住むかな?」
「いえ。少し距離を置きたいのでそれはなしでお願いします」
「わかったかな。それならシャルフィムはうちに住んでもらって、シバルはサナザにお願いするかな」
「なんで俺がそいつの面倒を見ないといけないのですか!」

 後ろで急に開いた扉の音とその叫び声に驚いた私は葵さんに抱きついてしまった。

「サナザ。盗み聞きは駄目かな。あと大声を出さないかな。シャルフィムちゃんが怯えているかな」

 葵さんの注意する声を聞きながら後ろを振り返ると、村の前で会った男性がそこにはいて、その後ろには村人達もいた。

「盗み聞きしてるのはこいつ等も同じだし、今はそんなことどうでもいいだろ」
「村長の家での話を盗み聞きしといてそんなこととはどういうことなのかな?」
「ひっ」

 葵さんの怒りの言葉にサナザさんが震えていた。

 あっ。私に向かって言っているわけじゃないとわかっているのに震えてきた。

「な、なんだ!?」

 気絶していたシバルも葵さんの怒りに反応して起きた。

「新たに仲間になった村人に村のことを教えるのは先輩の役目かな。それに、シバル君は家を持ってないから誰かの家に泊めてあげないといけないかな。だから、お願いかな、サナザ」

 お願いと言いつつも、有無を言わせない圧力を感じた。

 サナザさんもそれを感じたのだろう。何度も頷いていた。

「と、いうわけだから、シバル君はサナザの家に居候しながら村に慣れていくといいかな」
「え、え?」

 まぁ、気絶していたシバルが状況を理解出来るわけもないから戸惑うよね。

 でも、そこは話を盗み聞きしていたサナザさんが教えてくれるだろうから今はこのままでいいか。

「というわけで、この村に新たな仲間が増えたかな」

 葵さんが宣言すると、小さいながらも歓声と拍手が起きた。

 歓声も拍手も小さいのは、やっぱりまだ受け入れられていないから、だろう。

 でもまぁ、それもこれからの私達の働き次第で変えれることだし、せっかく夕夜さんに助けてもらったのだがら頑張っていこうと心の中で誓うのだった。

「そういえば葵さん」
「なにかな?」
「ここってどこなんですか?」

 そういえば、ここがどこなのかを知らないので聞いておきたかった。

「ここはバユルハッシュ聖国のフロイトラク村かな」
「バユルハッシュ聖国?」
「そうかな」
「バユルハッシュ聖国」
『えぇーーーーーー!』

 私とシバルの叫び声に葵さん達はかなり驚いていたのだが、私達はそれどころではないのだった。
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