29 / 36
第二部 帰郷
16話 お兄様の憂い顔
しおりを挟む
調査官が聞き取りを終えて、王都に戻った二日後、別の使者がやってきた。
応接室に呼ばれた私と領主夫妻は、使者からの報告を聞く。
ブランヴィル家当主セルジャン・ブランヴィル侯爵の死因は毒殺だと判明した。
殺害の関与について、クリストフお兄様とセラフィーナお姉様は正式に関与していないと判断された。
報告を受けたお二人にほっとしたような雰囲気はなく、堂々とした姿勢を貫いていた。
調査の間も、お二人は動揺することなく毅然としていたから、関与は絶対にないと私は信じていた。それでも、ちゃんと証明されて、私は安心した。
犯人も一部逮捕できたため、取り調べ中。逃亡中の犯人は捜索中とのことだった。
そして、使者の方の目線が私に向く。
「十八年、ボーヴォワール領主夫妻の殺害を依頼した疑いで取り調べ中でした、ルーファス・ブランヴィルについてですが、自供いたしました」
自供……。使者の方が敬称をつけなかったから、もしかしてと思ったら。
「ルーファスお兄様は、認めたのですね」
「ずっと否定なさっておいででしたが、かつて付き合いのあった人間を追っていくと、逮捕した犯人に繋がりました。犯人からの自供が取れたため、ルーファス・ブランヴィルも認めたと聞いています」
「そうですか……ルーファスお兄様が、両親を……」
この数日、張りつめていたものがしゅうと抜けて、ソファーにもたれかかった。
私を一度も名前で呼ばなかった、意地悪だった顔が思い浮かぶ。
成人している大人なのに、この従兄はどうして意地悪なんだろうと思っていた。
罪の意識からだったのか、罪を認めたくなかったからか。
ルーファスお兄様が何を考えていたのかなんて、知りようもないけれど。
「動機は話したのですか」
「はい。きっかけは母親だったようです」
「お養母様が?」
私は身を乗り出した。ここでお養母が出てくるなんて。あの人も絡んでいたの?
「ボーヴォワール家がいなくなれば、ボーヴォワール産のワインを好きに飲める。自分たちであればもっと販路を広げられる、と考えたようです」
そんな……お金のために、両親の命を奪ったの?
そんな理由で私から両親を奪ったの?
人の命は二度と戻ってこないのに。
人の心を持っていない、そこまでクズな人たちだと思ってなかった。
悲しくて、つらくて、泣けてくる。
使者の方は「ただし」と続けた。
私は流れた涙を手の甲でぐいと拭う。
「母親のほうは、冗談のつもりだったようです。子供が真に受けると思っていなかったと。そして、関わっているとは夢にも思わなかったと」
「冗談で人の命を軽んじる発言をなさったのですか。呆れて言葉に詰まります。まさか、それで養母の罪がなくなるなんて馬鹿な話はありませんよね」
「ルーファスよりは軽いとはいえ、発端ですから。何らかの罰は受けることになるかと思われます」
「そうなるように、心より願います」
『冗談だった。真に受けると思わなかった』で罰を免れるなら、私はルクディア王国を心から軽蔑する。
「処分はアドリック殿下がお決めになられます。シェリーヌ様には近いうちに王都に移動していただき、話しがしたいとアドリック殿下からのご伝言をお預かりしております」
「アドリック殿下から? わかりました。明日移動したいと思います。3歳の子供がおりますので、道中時間がかかるかもしれませんが、よろしいでしょうか」
「承知いたしました。王都に入られましたら、ご一報をいただけますでしょうか」
私が頷くと、使者の方は立ち上がった。
立ち上がった使者の方を、クリストフお兄様が呼び止める。
「私も、アドリック殿下に申し上げたいお話がございます。今回の件に関することです」
「では、クリストフ様も明日一緒に向かってください。アドリック殿下にお伝えしておきます」
「よろしくお願いいたします」
お兄様も一緒に王都に向かうことを決め、使者の方は帰って行った。
見送った玄関先で、クリストフお兄様がぽつりと謝罪の言葉を口にした。
「シェリーヌ、すまない。愚かな母と兄が、君の家族を。心から謝罪する。本当にすまない」
血の気のひいた固い顔で、唇を噛み締めるお兄様に、私は「いいえ」と首を横に振った。
「クリストフお兄様は、あの頃、学校の寮におられたと夫から聞いております。ですので、お兄様が罪の意識をお持ちになる必要はございません」
「母と兄はあなたを虐げていただけでなく、取り返しのつかない愚かな行為をしていた。家族として、何もしなかったわたしも同罪だ」
「二人の罪を、個人ではなく家族の問題と受け止めてくださっているのは、嬉しく思います。けれど、私はお兄様にたくさん助けていただきましたし、感謝もしております。あの家で唯一、クリストフお兄様だけが私の味方をしてくださいましたから」
「わたしは妹ができたのが嬉しかったんだ。両親を失ったシェリーヌを気の毒に思っていた。ほとんど接点はなかったが。父からボーヴォワールがブランヴィルの領地となり、わたしが治めるようにと命令されたときには、本当に驚いた。君のご両親の領地だ。わたしが治めていいのだろうかと悩んだ。でも、わたしは父に従った。情けないと男だと笑ってくれ」
「ブランヴィル家がぐちゃぐちゃにした内装を、お兄様は元に戻してくださったではありませんか」
「せめてもの償いだ。ひとめでうちの趣味だとわかったから。いつか、シェリーヌが戻ってくることがあれば、喜んでくれるだろうと思って、使用人たちに任せた」
「嬉しかったです。子供の頃のままの屋敷で。私はお兄様のそういう優しさに、感謝しているのです。ですから、どうか気に病まないでくださいませ」
「シェリーヌは優しいね。他人を赦せる寛容さを持つ人を、わたしは尊敬するよ」
「買い被りです。私はお兄様を除くブランヴィル一家を赦しません。相応の罰は受けていただきたいと思っています」
「もちろんだよ。罰は受けなければならない」
私はクリストフお兄様に一切咎はないと伝えたつもりだったのだけど、お兄様の顔はまったく晴れない。何かを深く考えているように見えた。
次回⇒17話 ボーヴォワールでの最後の夜
応接室に呼ばれた私と領主夫妻は、使者からの報告を聞く。
ブランヴィル家当主セルジャン・ブランヴィル侯爵の死因は毒殺だと判明した。
殺害の関与について、クリストフお兄様とセラフィーナお姉様は正式に関与していないと判断された。
報告を受けたお二人にほっとしたような雰囲気はなく、堂々とした姿勢を貫いていた。
調査の間も、お二人は動揺することなく毅然としていたから、関与は絶対にないと私は信じていた。それでも、ちゃんと証明されて、私は安心した。
犯人も一部逮捕できたため、取り調べ中。逃亡中の犯人は捜索中とのことだった。
そして、使者の方の目線が私に向く。
「十八年、ボーヴォワール領主夫妻の殺害を依頼した疑いで取り調べ中でした、ルーファス・ブランヴィルについてですが、自供いたしました」
自供……。使者の方が敬称をつけなかったから、もしかしてと思ったら。
「ルーファスお兄様は、認めたのですね」
「ずっと否定なさっておいででしたが、かつて付き合いのあった人間を追っていくと、逮捕した犯人に繋がりました。犯人からの自供が取れたため、ルーファス・ブランヴィルも認めたと聞いています」
「そうですか……ルーファスお兄様が、両親を……」
この数日、張りつめていたものがしゅうと抜けて、ソファーにもたれかかった。
私を一度も名前で呼ばなかった、意地悪だった顔が思い浮かぶ。
成人している大人なのに、この従兄はどうして意地悪なんだろうと思っていた。
罪の意識からだったのか、罪を認めたくなかったからか。
ルーファスお兄様が何を考えていたのかなんて、知りようもないけれど。
「動機は話したのですか」
「はい。きっかけは母親だったようです」
「お養母様が?」
私は身を乗り出した。ここでお養母が出てくるなんて。あの人も絡んでいたの?
「ボーヴォワール家がいなくなれば、ボーヴォワール産のワインを好きに飲める。自分たちであればもっと販路を広げられる、と考えたようです」
そんな……お金のために、両親の命を奪ったの?
そんな理由で私から両親を奪ったの?
人の命は二度と戻ってこないのに。
人の心を持っていない、そこまでクズな人たちだと思ってなかった。
悲しくて、つらくて、泣けてくる。
使者の方は「ただし」と続けた。
私は流れた涙を手の甲でぐいと拭う。
「母親のほうは、冗談のつもりだったようです。子供が真に受けると思っていなかったと。そして、関わっているとは夢にも思わなかったと」
「冗談で人の命を軽んじる発言をなさったのですか。呆れて言葉に詰まります。まさか、それで養母の罪がなくなるなんて馬鹿な話はありませんよね」
「ルーファスよりは軽いとはいえ、発端ですから。何らかの罰は受けることになるかと思われます」
「そうなるように、心より願います」
『冗談だった。真に受けると思わなかった』で罰を免れるなら、私はルクディア王国を心から軽蔑する。
「処分はアドリック殿下がお決めになられます。シェリーヌ様には近いうちに王都に移動していただき、話しがしたいとアドリック殿下からのご伝言をお預かりしております」
「アドリック殿下から? わかりました。明日移動したいと思います。3歳の子供がおりますので、道中時間がかかるかもしれませんが、よろしいでしょうか」
「承知いたしました。王都に入られましたら、ご一報をいただけますでしょうか」
私が頷くと、使者の方は立ち上がった。
立ち上がった使者の方を、クリストフお兄様が呼び止める。
「私も、アドリック殿下に申し上げたいお話がございます。今回の件に関することです」
「では、クリストフ様も明日一緒に向かってください。アドリック殿下にお伝えしておきます」
「よろしくお願いいたします」
お兄様も一緒に王都に向かうことを決め、使者の方は帰って行った。
見送った玄関先で、クリストフお兄様がぽつりと謝罪の言葉を口にした。
「シェリーヌ、すまない。愚かな母と兄が、君の家族を。心から謝罪する。本当にすまない」
血の気のひいた固い顔で、唇を噛み締めるお兄様に、私は「いいえ」と首を横に振った。
「クリストフお兄様は、あの頃、学校の寮におられたと夫から聞いております。ですので、お兄様が罪の意識をお持ちになる必要はございません」
「母と兄はあなたを虐げていただけでなく、取り返しのつかない愚かな行為をしていた。家族として、何もしなかったわたしも同罪だ」
「二人の罪を、個人ではなく家族の問題と受け止めてくださっているのは、嬉しく思います。けれど、私はお兄様にたくさん助けていただきましたし、感謝もしております。あの家で唯一、クリストフお兄様だけが私の味方をしてくださいましたから」
「わたしは妹ができたのが嬉しかったんだ。両親を失ったシェリーヌを気の毒に思っていた。ほとんど接点はなかったが。父からボーヴォワールがブランヴィルの領地となり、わたしが治めるようにと命令されたときには、本当に驚いた。君のご両親の領地だ。わたしが治めていいのだろうかと悩んだ。でも、わたしは父に従った。情けないと男だと笑ってくれ」
「ブランヴィル家がぐちゃぐちゃにした内装を、お兄様は元に戻してくださったではありませんか」
「せめてもの償いだ。ひとめでうちの趣味だとわかったから。いつか、シェリーヌが戻ってくることがあれば、喜んでくれるだろうと思って、使用人たちに任せた」
「嬉しかったです。子供の頃のままの屋敷で。私はお兄様のそういう優しさに、感謝しているのです。ですから、どうか気に病まないでくださいませ」
「シェリーヌは優しいね。他人を赦せる寛容さを持つ人を、わたしは尊敬するよ」
「買い被りです。私はお兄様を除くブランヴィル一家を赦しません。相応の罰は受けていただきたいと思っています」
「もちろんだよ。罰は受けなければならない」
私はクリストフお兄様に一切咎はないと伝えたつもりだったのだけど、お兄様の顔はまったく晴れない。何かを深く考えているように見えた。
次回⇒17話 ボーヴォワールでの最後の夜
251
あなたにおすすめの小説
家族から虐げられた令嬢は冷血伯爵に嫁がされる〜売り飛ばされた先で温かい家庭を築きます〜
香木陽灯
恋愛
「ナタリア! 廊下にホコリがたまっているわ! きちんと掃除なさい」
「お姉様、お茶が冷めてしまったわ。淹れなおして。早くね」
グラミリアン伯爵家では長女のナタリアが使用人のように働かされていた。
彼女はある日、冷血伯爵に嫁ぐように言われる。
「あなたが伯爵家に嫁げば、我が家の利益になるの。あなたは知らないだろうけれど、伯爵に娘を差し出した家には、国王から褒美が出るともっぱらの噂なのよ」
売られるように嫁がされたナタリアだったが、冷血伯爵は噂とは違い優しい人だった。
「僕が世間でなんと呼ばれているか知っているだろう? 僕と結婚することで、君も色々言われるかもしれない。……申し訳ない」
自分に自信がないナタリアと優しい冷血伯爵は、少しずつ距離が近づいていく。
※ゆるめの設定
※他サイトにも掲載中
婚約破棄されたので、戻らない選択をしました
ふわふわ
恋愛
王太子アルトゥールの婚約者として生きてきた
貴族令嬢ミディア・バイエルン。
だが、偽りの聖女シエナに心を奪われた王太子から、
彼女は一方的に婚約を破棄される。
「戻る場所は、もうありませんわ」
そう告げて向かった先は、
王都から遠く離れたアルツハイム辺境伯領。
権力も、評価も、比較もない土地で、
ミディアは“誰かに選ばれる人生”を静かに手放していく。
指示しない。
介入しない。
評価しない。
それでも、人は動き、街は回り、
日常は確かに続いていく。
一方、王都では――
彼女を失った王太子と王政が、
少しずつ立ち行かなくなっていき……?
派手な復讐も、涙の和解もない。
あるのは、「戻らない」という選択と、
終わらせない日常だけ。
私を虐げた人には絶望を ~貧乏令嬢は悪魔と呼ばれる侯爵様と契約結婚する~
香木陽灯
恋愛
「あなた達の絶望を侯爵様に捧げる契約なの。だから……悪く思わないでね?」
貧乏な子爵家に生まれたカレン・リドリーは、家族から虐げられ、使用人のように働かされていた。
カレンはリドリー家から脱出して平民として生きるため、就職先を探し始めるが、令嬢である彼女の就職活動は難航してしまう。
ある時、不思議な少年ティルからモルザン侯爵家で働くようにスカウトされ、モルザン家に連れていかれるが……
「変わった人間だな。悪魔を前にして驚きもしないとは」
クラウス・モルザンは「悪魔の侯爵」と呼ばれていたが、本当に悪魔だったのだ。
負の感情を糧として生きているクラウスは、社交界での負の感情を摂取するために優秀な侯爵を演じていた。
カレンと契約結婚することになったクラウスは、彼女の家族に目をつける。
そしてクラウスはカレンの家族を絶望させて糧とするため、動き出すのだった。
「お前を虐げていた者たちに絶望を」
※念のためのR-15です
※他サイトでも掲載中
夫に捨てられた私は冷酷公爵と再婚しました
香木陽灯
恋愛
伯爵夫人のマリアーヌは「夜を共に過ごす気にならない」と突然夫に告げられ、わずか五ヶ月で離縁することとなる。
これまで女癖の悪い夫に何度も不倫されても、役立たずと貶されても、文句ひとつ言わず彼を支えてきた。だがその苦労は報われることはなかった。
実家に帰っても父から不当な扱いを受けるマリアーヌ。気分転換に繰り出した街で倒れていた貴族の男性と出会い、彼を助ける。
「離縁したばかり? それは相手の見る目がなかっただけだ。良かったじゃないか。君はもう自由だ」
「自由……」
もう自由なのだとマリアーヌが気づいた矢先、両親と元夫の策略によって再婚を強いられる。相手は婚約者が逃げ出すことで有名な冷酷公爵だった。
ところが冷酷公爵と会ってみると、以前助けた男性だったのだ。
再婚を受け入れたマリアーヌは、公爵と少しずつ仲良くなっていく。
ところが公爵は王命を受け内密に仕事をしているようで……。
一方の元夫は、財政難に陥っていた。
「頼む、助けてくれ! お前は俺に恩があるだろう?」
元夫の悲痛な叫びに、マリアーヌはにっこりと微笑んだ。
「なぜかしら? 貴方を助ける気になりませんの」
※ふんわり設定です
聖女を騙った罪で追放されそうなので、聖女の真の力を教えて差し上げます
香木陽灯
恋愛
公爵令嬢フローラ・クレマンは、首筋に聖女の証である薔薇の痣がある。それを知っているのは、家族と親友のミシェルだけ。
どうして自分なのか、やりたい人がやれば良いのにと、何度思ったことか。だからミシェルに相談したの。
「私は聖女になりたくてたまらないのに!」
ミシェルに言われたあの日から、私とミシェルの二人で一人の聖女として生きてきた。
けれど、私と第一王子の婚約が決まってからミシェルとは連絡が取れなくなってしまった。
ミシェル、大丈夫かしら?私が力を使わないと、彼女は聖女として振る舞えないのに……
なんて心配していたのに。
「フローラ・クレマン!聖女の名を騙った罪で、貴様を国外追放に処す。いくら貴様が僕の婚約者だったからと言って、許すわけにはいかない。我が国の聖女は、ミシェルただ一人だ」
第一王子とミシェルに、偽の聖女を騙った罪で断罪させそうになってしまった。
本気で私を追放したいのね……でしたら私も本気を出しましょう。聖女の真の力を教えて差し上げます。
辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~
香木陽灯
恋愛
「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」
実の父と義妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。
「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」
「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」
二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。
※ふんわり設定です。
※他サイトにも掲載中です。
家を追い出された令嬢は、新天地でちょっと変わった魔道具たちと楽しく暮らしたい
風見ゆうみ
恋愛
母の連れ子だった私、リリーノは幼い頃は伯爵である継父に可愛がってもらっていた。
継父と母の間に子供が生まれてからは、私への態度は一変し、母が亡くなってからは「生きている価値がない」と言われてきた。
捨てられても生きていけるようにと、家族には内緒で魔道具を売り、お金を貯めていた私だったが、婚約者と出席した第二王子の誕生日パーティーで、王子と公爵令嬢の婚約の解消が発表される。
涙する公爵令嬢を見た男性たちは、自分の婚約者に婚約破棄を宣言し、公爵令嬢に求婚しはじめる。
その男性の中に私の婚約者もいた。ちょ、ちょっと待って!
婚約破棄されると、私家から追い出されちゃうんですけど!?
案の定追い出された私は、新しい地で新しい身分で生活を始めるのだけど、なぜか少し変わった魔道具ばかり作ってしまい――!?
「あなたに言われても心に響きません!」から改題いたしました。
※コメディです。小説家になろう様では改稿版を公開しています。
あなたに婚約破棄されてから、幸運なことばかりです。本当に不思議ですね。
香木陽灯
恋愛
「今まではお前が一番美人だと思っていたけれど、もっと美人な女がいたんだ。だからお前はもういらない。婚約は破棄しておくから」
ヘンリー様にそう言われたのが、つい昨日のことのように思い出されます。別に思い出したくもないのですが、彼が我が家に押しかけてきたせいで思い出してしまいました。
婚約破棄されたのは半年も前ですのに、我が家に一体何の用があるのでしょうか。
「なんでお前なんかが……この数ヶ月の出来事は全て偶然なのか?どうしてお前ばかり良い目にあうんだ!」
「本当に不思議ですねー。あなたに婚約を破棄されてから、良いことばかり起きるんですの。ご存じの通り、我が領地は急激な発展を遂げ、私にも素敵な婚約話が来たのです。とてもありがたいですわ」
子爵令嬢のローラ・フィンレーは、第三王子のヘンリーに婚約を破棄されて以来、幸運なことばかり起きていた。
そして彼女が幸運になればなるほど、ヘンリーは追い詰められていくのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる