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◇第4章◇優しくて意地悪なひと
47 責任を取る*
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「次の日には忘れるって言ったけど、そんなのはやっぱり無理だよ。あの時に律が優しくしてくれたことを無かったことにできない。律のせいで僕は、こんな風になっちゃったんだよ……それをずっと言いたかったんだ」
「責任って? どうしたら、俺を許してくれますか」
律は微笑しながら、僕の頬を優しく撫でて涙を拭ってくる。
責任なんて取って欲しい訳では無いのに、もう言い直しができなかった。
だったら、どうせ、律が手に入らないのなら。
「したいよ。あの時みたく。あの続きもしたい」
「続き?」
「あの時、最後までしようとしたら、律は『またいつか』って言ったんだよ? 僕はずっと、そのいつかを待ってる」
律は視線を下げて、じっと身を固めていた。
瞳が前髪に隠れて、どんな目をしているのか分からない。子供みたいなことを言う僕を宥めるための言葉を必死に選んでいるのかもしれない。
終わったかも、と思った。
逆の立場だったら、好きでもない相手にこんなことを言われたら重たいし、面倒だからもう会いたくないと思うかもしれない。
──会いたくない。
律は僕に会うのが気まずかったのではなく、面倒になったから、昔じいちゃんにもう僕とは会いたくないと言ったのだ。
切ないけれど今ようやく理解した。
どうして恋というものは、楽しくて難しいのだろう。
泣きたいくらいに律を好きになってしまったことを改めて知った。
永遠にも感じた沈黙は実際はほんのわずかで、律は顔を上げて決意表明をした。
「分かりました。責任を取ります」
「へ……」
途端、僕の足がふわりと宙に浮く。
律は僕を横抱きにして、ソファーに連れていった。
重たい荷物でも置くように、僕を少々乱暴にどさりと横たえて、獰猛な肉食獣のように獲物を捕らえるときのような鋭い目を向けてくる。
「え、律、待って」
「ただし、俺は男の体にそそられないので、申し訳ないですが最後までしたいというきみの要望には応えることができません。それ以外でしたら、千紘が望む限りさせてもらいます。それが責任を取ることになるのでしたら」
あ、と不意を付かれたような声を上げたのは、律が僕の顔の横に手を付いて、顔を落としてきたからだ。
ソファーに沈んだ僕の体は、深海に引き込まれたかのように身動きが取れなくなる。
律をこうして見上げただけで、身体が簡単にあの時のことを思い出す。
衣擦れの音、乱れた浴衣。
律の首のホクロ。
その大きな手で──
2人で向かい合って、シた。
そう思っただけで腹の奥が熱くなり、何かがじわりと滲み出るのを感じた。
拒もうとしても体は素直だ。
律の顔が僕の鎖骨めがけて降ってきたので、その肩を押し返す。
「律、ダメだよ……っ」
たしかに僕からお願いしたことなんだけど、まさかすぐにこうなるとは思わなかった。
だって隣の部屋には。
「り、律ってば……うぁっ」
急に左の鎖骨をペロリと舐められて、上擦った声を上げてしまった。
慌てて両手で口を塞ぐと、律が赤い舌を出しながら小さく笑う。
「声を出したかったら出してもいいですよ」
「だ、ダメだよ、雷さんが」
「もう寝ていますよ。彼はアルコールが入ると眠りが深くなる人ですから」
「やだって、律……っ」
律の繊細で器用な指先が、僕のシャツの上から胸の尖りを捉える。
ほんの少しかすっただけなのに、僕は大袈裟なくらいにびくんと肩を跳ねさせた。
「責任って? どうしたら、俺を許してくれますか」
律は微笑しながら、僕の頬を優しく撫でて涙を拭ってくる。
責任なんて取って欲しい訳では無いのに、もう言い直しができなかった。
だったら、どうせ、律が手に入らないのなら。
「したいよ。あの時みたく。あの続きもしたい」
「続き?」
「あの時、最後までしようとしたら、律は『またいつか』って言ったんだよ? 僕はずっと、そのいつかを待ってる」
律は視線を下げて、じっと身を固めていた。
瞳が前髪に隠れて、どんな目をしているのか分からない。子供みたいなことを言う僕を宥めるための言葉を必死に選んでいるのかもしれない。
終わったかも、と思った。
逆の立場だったら、好きでもない相手にこんなことを言われたら重たいし、面倒だからもう会いたくないと思うかもしれない。
──会いたくない。
律は僕に会うのが気まずかったのではなく、面倒になったから、昔じいちゃんにもう僕とは会いたくないと言ったのだ。
切ないけれど今ようやく理解した。
どうして恋というものは、楽しくて難しいのだろう。
泣きたいくらいに律を好きになってしまったことを改めて知った。
永遠にも感じた沈黙は実際はほんのわずかで、律は顔を上げて決意表明をした。
「分かりました。責任を取ります」
「へ……」
途端、僕の足がふわりと宙に浮く。
律は僕を横抱きにして、ソファーに連れていった。
重たい荷物でも置くように、僕を少々乱暴にどさりと横たえて、獰猛な肉食獣のように獲物を捕らえるときのような鋭い目を向けてくる。
「え、律、待って」
「ただし、俺は男の体にそそられないので、申し訳ないですが最後までしたいというきみの要望には応えることができません。それ以外でしたら、千紘が望む限りさせてもらいます。それが責任を取ることになるのでしたら」
あ、と不意を付かれたような声を上げたのは、律が僕の顔の横に手を付いて、顔を落としてきたからだ。
ソファーに沈んだ僕の体は、深海に引き込まれたかのように身動きが取れなくなる。
律をこうして見上げただけで、身体が簡単にあの時のことを思い出す。
衣擦れの音、乱れた浴衣。
律の首のホクロ。
その大きな手で──
2人で向かい合って、シた。
そう思っただけで腹の奥が熱くなり、何かがじわりと滲み出るのを感じた。
拒もうとしても体は素直だ。
律の顔が僕の鎖骨めがけて降ってきたので、その肩を押し返す。
「律、ダメだよ……っ」
たしかに僕からお願いしたことなんだけど、まさかすぐにこうなるとは思わなかった。
だって隣の部屋には。
「り、律ってば……うぁっ」
急に左の鎖骨をペロリと舐められて、上擦った声を上げてしまった。
慌てて両手で口を塞ぐと、律が赤い舌を出しながら小さく笑う。
「声を出したかったら出してもいいですよ」
「だ、ダメだよ、雷さんが」
「もう寝ていますよ。彼はアルコールが入ると眠りが深くなる人ですから」
「やだって、律……っ」
律の繊細で器用な指先が、僕のシャツの上から胸の尖りを捉える。
ほんの少しかすっただけなのに、僕は大袈裟なくらいにびくんと肩を跳ねさせた。
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