私がヒロイン!?〜いえ、丁重にお断りします!

SORA

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閑話 ヘルツォーク公爵家 (セバスチャン)

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廊下を歩く二人の足音が、こちらの部屋に近づいてくる。


「…旦那様、おそらくルークス様とルーチェ様がいらっしゃるかと…。」


書類に目を通している、旦那様事ソティラス様にお茶を入れながら話しかける。


「ん?そうか。来たら通してくれ。」


旦那様にそう言われて、一礼してから扉へ向かう。
足音が止まると同時に、扉を開けると少し驚いたルークス様とルーチェ様がいた。


「セバス、父様は今お時間あるかしら?」

「ええ、中でお待ちですよ。」

「ありがとう。」


何やら真剣な面持ちで、お二人は旦那様の元へ向かう。
私は、風魔法で室内を防音にした。


ソファに座ると同時に、ルークス様が口一番に旦那様を見ながら仰った。


「父様、セーラの事でお願いがあります。」

「セーラに何かあったのかい?」


一瞬、旦那様の瞳の奥がギラリ、と光った。


「水魔法を教えたのです。魔力量が多く初めてで、今日は失敗しました。」

「ルークスがちゃんと防御壁を作ったので、そこは問題ありませんでしたわ。」

「…そこは?」


ルークス様とルーチェ様の言葉に一瞬安堵した旦那様。しかし、直ぐ首を傾げた。


「…水の中に、キラキラ金箔に似た光の粒みたいな物があったんです。」

「…。」


旦那様と私は目を大きく開いて、ルークス様の話に耳を傾けた。


「あんなにキレイな魔力を見たのは初めてでした。」

「…見惚れて一瞬だけど、セーラに怖い思いもさせてしまいました。」

「ルークス…。」


悔しそうに眉を寄せながら、ルークス様の手に力が入っていました。
事前に旦那様と魔力の危険性を教える、と話されていたけれどセーラ様を怖がらせるなどと言う役割は、やはり7歳のルークス様には荷が重かった様ですね。


「嫌な役割を背負わせてしまったね、ルークス。」

「…いえ、この役目は僕が一番にセーラを守りたかったので、譲るつもりはありませんでした。」


眉を下げている旦那様に、ルークス様はきっぱりと旦那様の視線を捉えて話された。


「父様。私達が学園に入るまで、もう時間が足りません。」

「僕達がいる間に、セーラとダニエルに着く先生の派遣をお願いします。」

「…ちゃんと自分の目で、セーラを任せられるか見たいの。父様、お願いします!」


ルークス様とルーチェ様は旦那様を真っ直ぐに、射抜く様な目で見つめる。


「ルークス、ルーチェ、大丈夫だよ。もう既にセバスが手を打っているからね。早ければ二日後には到着するよ。」


旦那様に振られて、ルークス様とルーチェ様が私を見る。
私は二人に大丈夫です、と頭を下げた。


安心した二人が部屋から出て行くと、旦那様が大きく息を吐いた。


「はあ…。セバス…どう思う?」


深い溜息の後、私を見る旦那様は答えが出ているかの様だった。


「…恐らく、聖女様のお力で間違いないかと。伝えによると聖女様の魔法には、必ず光る粒の様な物が混ざっていたとか…。」

「…やはりか。」


気づいておられた旦那様は、また深く息を吐く。


聖属性を持つ者は、恐らく現代ではただ一人セーラ様になられる。
聖堂ならまだしも教団なんかに入れられたら、マインドコントロールされ傀儡にされるでしょう。


そんな事になったら、この国が危ない。


旦那様や奥様だけでなく、この屋敷の主人達は国一つ簡単に消してしまう力を持っているのです。


ルークス様とルーチェ様が、暴走した時、辺り一面吹き飛んだのですから。


何よりも、セーラ様はこの屋敷の最愛ですからね。
何としてもセーラ様をお助けせねばなりません。


「…セバス、あいつには連絡したんだったな?」

「はい。お伝えしてあります。必ず此方へと向かうと連絡がございました。」


「…そうか。」


旦那様はそれ以上、口を開かなかった。
不本意だが、信頼はしているのでしょう。


私は冷めたお茶を取り替えるべく部屋を後にした。


(大丈夫ですよ、旦那様…。セーラお嬢様は、私達がお守りしますから…。)


誰に聞こえるでもなく、広い屋敷に靴音だけが響いた。
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