18 / 58
18
しおりを挟む
突然現れたヘクターに驚いていると、グレース様の所へ歩いて来た。
「まあヘクター!お帰りなさい。お仕事は済んだの?」
「…ただいま。グレース様この人は?」
公爵夫人はヘクターを優しく労いながら迎えている。
ヘクターはブラン領で会った私を覚えている様子だった。
どうして此処にヘクターが…。
驚きを隠せずにいる私を他所に二人は私がいる経緯を話している。
ん?
ヘクター? グレース?
……ああっ!?
そうだ、思い出した!
グレース・アスバン公爵夫人!
平民のヘクターの身元引受人だ!!
ヘクターは早くに両親が亡くなっていて孤児院に居た。
ヘクターは逆境の中強くなる為に毎日一人で修行していたんだけど、その時グレースの馬車が盗賊に襲われかけていたのを助けて、そこでグレース様に見込まれたのだ。
そうか…。グレース様はあのグレース様だったのか。
私は凄く納得してしまった。
グレース様は平民や貴族達とを比べる事などしない。
しかも聖母の様な優しさで頑なに人を拒んでいたヘクターの心も開かせたのだ。
一人思い返しながら二人を見ていると、ヘクターは眉を顰めた。
「紹介するわね!マーガレット・ブラン子爵令嬢よ!マーガレットちゃん、こっちはヘクター。私の息子の様な者よ。」
「…息子じゃない。」
「あらあら照れちゃって!」
「照れてない…。」
グレース様はヘクターに私を紹介して、嬉しそうにヘクターを息子の様だと言った。
否定するヘクターだが、その顔は怒った訳ではなく明らかな照れ隠しに見えた。
そして、ヘクターに私が体調が落ち着くまで此処に居るのだと告げると、少し驚いて私を見ると溜息を吐いた。
すみません…。お世話になります。
◇◇◇◇
あれから数日が過ぎて、私の体調も大分良くなってきていた。
毎日の様にお見舞いに来るシーラは、お見舞い来られないケヴィンからのお見舞いの花を預かったりだとか、ユーリやケイトからの手紙を届けたりしていた。
アリスは両親に報告に行ったり来たりで忙しそうだった。
私は体調の良い時、グレース様とお茶やお喋りをしたりして随分仲良くなった。
グレース様は両親より歳上だが、その性格はアニメのストーリーに出てくる様な聖母の様な人だ。
そしてグレース様はお茶目で可愛いらしい人だった。
そして、ヘクターとは…。
「マーガレット、またそんな格好で…。また熱を出すぞ。」
「ふふ、大丈夫よ。心配してくれてありがとう、ヘクター。」
ブランケットを渡しながら眉を顰めたヘクターに笑顔で返して、渡されたブランケットを受け取ると眉が元の位置に戻る。
それを見て頬を緩めるとまた眉を顰める。
自然と隣にいるヘクターはケヴィン達と同じ歳だけれど、苦労していた分落ち着いている。
此処数日、私に向ける瞳が大分優しくなった気がする。
うん。
距離が近い。それは判っている。
判るのだけれど、元々平民育ちのヘクターとは前世の感覚の所為なのか、一緒にいて飾らない自分のままでいられるのだ。
中々この世界には無い感覚だから嬉しい。
だからつい、ヘクターに素で接するのだろう。
まあ、そう仲良くなるちょっとしたきっかけがあったのだけど。
「まあヘクター!お帰りなさい。お仕事は済んだの?」
「…ただいま。グレース様この人は?」
公爵夫人はヘクターを優しく労いながら迎えている。
ヘクターはブラン領で会った私を覚えている様子だった。
どうして此処にヘクターが…。
驚きを隠せずにいる私を他所に二人は私がいる経緯を話している。
ん?
ヘクター? グレース?
……ああっ!?
そうだ、思い出した!
グレース・アスバン公爵夫人!
平民のヘクターの身元引受人だ!!
ヘクターは早くに両親が亡くなっていて孤児院に居た。
ヘクターは逆境の中強くなる為に毎日一人で修行していたんだけど、その時グレースの馬車が盗賊に襲われかけていたのを助けて、そこでグレース様に見込まれたのだ。
そうか…。グレース様はあのグレース様だったのか。
私は凄く納得してしまった。
グレース様は平民や貴族達とを比べる事などしない。
しかも聖母の様な優しさで頑なに人を拒んでいたヘクターの心も開かせたのだ。
一人思い返しながら二人を見ていると、ヘクターは眉を顰めた。
「紹介するわね!マーガレット・ブラン子爵令嬢よ!マーガレットちゃん、こっちはヘクター。私の息子の様な者よ。」
「…息子じゃない。」
「あらあら照れちゃって!」
「照れてない…。」
グレース様はヘクターに私を紹介して、嬉しそうにヘクターを息子の様だと言った。
否定するヘクターだが、その顔は怒った訳ではなく明らかな照れ隠しに見えた。
そして、ヘクターに私が体調が落ち着くまで此処に居るのだと告げると、少し驚いて私を見ると溜息を吐いた。
すみません…。お世話になります。
◇◇◇◇
あれから数日が過ぎて、私の体調も大分良くなってきていた。
毎日の様にお見舞いに来るシーラは、お見舞い来られないケヴィンからのお見舞いの花を預かったりだとか、ユーリやケイトからの手紙を届けたりしていた。
アリスは両親に報告に行ったり来たりで忙しそうだった。
私は体調の良い時、グレース様とお茶やお喋りをしたりして随分仲良くなった。
グレース様は両親より歳上だが、その性格はアニメのストーリーに出てくる様な聖母の様な人だ。
そしてグレース様はお茶目で可愛いらしい人だった。
そして、ヘクターとは…。
「マーガレット、またそんな格好で…。また熱を出すぞ。」
「ふふ、大丈夫よ。心配してくれてありがとう、ヘクター。」
ブランケットを渡しながら眉を顰めたヘクターに笑顔で返して、渡されたブランケットを受け取ると眉が元の位置に戻る。
それを見て頬を緩めるとまた眉を顰める。
自然と隣にいるヘクターはケヴィン達と同じ歳だけれど、苦労していた分落ち着いている。
此処数日、私に向ける瞳が大分優しくなった気がする。
うん。
距離が近い。それは判っている。
判るのだけれど、元々平民育ちのヘクターとは前世の感覚の所為なのか、一緒にいて飾らない自分のままでいられるのだ。
中々この世界には無い感覚だから嬉しい。
だからつい、ヘクターに素で接するのだろう。
まあ、そう仲良くなるちょっとしたきっかけがあったのだけど。
11
あなたにおすすめの小説
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。
柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。
詰んでる。
そう悟った主人公10歳。
主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど…
何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど…
なろうにも掲載しております。
お母様が国王陛下に見染められて再婚することになったら、美麗だけど残念な義兄の王太子殿下に婚姻を迫られました!
奏音 美都
恋愛
まだ夜の冷気が残る早朝、焼かれたパンを店に並べていると、いつもは慌ただしく動き回っている母さんが、私の後ろに立っていた。
「エリー、実は……国王陛下に見染められて、婚姻を交わすことになったんだけど、貴女も王宮に入ってくれるかしら?」
国王陛下に見染められて……って。国王陛下が母さんを好きになって、求婚したってこと!? え、で……私も王宮にって、王室の一員になれってこと!?
国王陛下に挨拶に伺うと、そこには美しい顔立ちの王太子殿下がいた。
「エリー、どうか僕と結婚してくれ! 君こそ、僕の妻に相応しい!」
え……私、貴方の妹になるんですけど?
どこから突っ込んでいいのか分かんない。
追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
アルファポリス恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
*他サイトでも公開中
なろう日間総合ランキング2位に入りました!
このたび、あこがれ騎士さまの妻になりました。
若松だんご
恋愛
「リリー。アナタ、結婚なさい」
それは、ある日突然、おつかえする王妃さまからくだされた命令。
まるで、「そこの髪飾りと取って」とか、「窓を開けてちょうだい」みたいなノリで発せられた。
お相手は、王妃さまのかつての乳兄弟で護衛騎士、エディル・ロードリックさま。
わたしのあこがれの騎士さま。
だけど、ちょっと待って!! 結婚だなんて、いくらなんでもそれはイキナリすぎるっ!!
「アナタたちならお似合いだと思うんだけど?」
そう思うのは、王妃さまだけですよ、絶対。
「試しに、二人で暮らしなさい。これは命令です」
なーんて、王妃さまの命令で、エディルさまの妻(仮)になったわたし。
あこがれの騎士さまと一つ屋根の下だなんてっ!!
わたし、どうなっちゃうのっ!? 妻(仮)ライフ、ドキドキしすぎで心臓がもたないっ!!
モブが乙女ゲームの世界に生まれてどうするの?【完結】
いつき
恋愛
リアラは貧しい男爵家に生まれた容姿も普通の女の子だった。
陰険な意地悪をする義母と義妹が来てから家族仲も悪くなり実の父にも煙たがられる日々
だが、彼女は気にも止めず使用人扱いされても挫ける事は無い
何故なら彼女は前世の記憶が有るからだ
え?わたくしは通りすがりの元病弱令嬢ですので修羅場に巻き込まないでくたさい。
ネコフク
恋愛
わたくしリィナ=ユグノアは小さな頃から病弱でしたが今は健康になり学園に通えるほどになりました。しかし殆ど屋敷で過ごしていたわたくしには学園は迷路のような場所。入学して半年、未だに迷子になってしまいます。今日も侍従のハルにニヤニヤされながら遠回り(迷子)して出た場所では何やら不穏な集団が・・・
強制的に修羅場に巻き込まれたリィナがちょっとだけざまぁするお話です。そして修羅場とは関係ないトコで婚約者に溺愛されています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる