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あの日以来、図書室に行かなくなってからはクラウスと会う事もなかった。
『…マーガレット…また図書室(ここ)で会おう。』
クラウスに告げられた言葉が嬉しかった。
会いたいと、もしかしたら待っているかもと思うと胸が痛まない訳じゃないけれど、これ以上近付いてシーラと結ばれた時に祝福出来なくなる。
それではシーラとクラウスの幸せな未来を壊してしまう。
そんなの駄目。私は二人とも大好きだから…。
二人が幸せになる未来を応援しなきゃ。
そう考えるだけで胸の奥はギュウッと締め付けられるのだけど。
それでいいと自分に言い聞かせた。
◇◇◇◇◇
「マーガレット様!ボーッと歩いてると危ないですよ!」
考え事をしながら歩いていた私に声をかけて来たのはアリス。
その隣にはシーラが少し眉を寄せて、私の側に来た。
「もう!久しぶりのお出かけなのに浮かない顔して!」
「…ごめんなさい。うん、行きましょう!」
膨れるシーラに笑顔を見せると、シーラも笑顔を返して一緒に歩き出す。
あれ以来、私の元気が無いと心配したシーラが私を連れて街へ連れ出してくれていた。
もちろん、アリスとシーラ付きの侍女も一緒だ。
久しぶりの外出は楽しく過ごす事が出来た。
楽しかったのだけれど、はしゃぎ過ぎて街中で具合が悪くなってしまった。
「マーガレット様、木陰へ移動しましょう!」
「ごめんなさい。せっかくの楽しい時間を…。」
アリスに言われて木陰に移動しながらシーラに言うと、私の手を握って首を横に振る。
「楽しかったわよ!私こそ調子に乗って、マーガレットの体調を考えるのを忘れてしまったわ。ごめんなさい!」
「大丈夫。ありがとうシーラ。」
安心させたくてシーラに笑いかけたいけれど上手く笑えなくて余計に心配をかけてしまう。
段々と熱が上がってきたのか意識が朦朧とし始めてきた時だった。
「あら、どうかしましたか?」
木陰にいた私達の前に馬車が止まると、従者を連れた女性が降りてきた。
「私の友人が具合が悪くて…。」
「あらあら、それは大変だわ!私の家は直ぐそこだから、迎えが来るまで休んで行きなさい。」
「そんな…大丈夫です。ご迷惑は…。」
「マーガレット!!」
「急いで馬車へ!」
その女性とシーラが話しているのを聞きながら私は意識を手放した。
◇◇◇◇◇
私が意識を取り戻した時そこは見慣れない天井だった。
「お嬢様!気が付かれたのですね!…良かった!」
「…アリス…此処は…?」
私の側に付いていてくれただろうアリスが安堵して瞳を潤ませていた。
起き上がろうとする私をベッドへ戻すアリス。
「まだお休み下さい。シーラ様は先程までご一緒だったのですが、先に帰って頂きました。マーガレット様の事も屋敷には連絡してあります。」
「そう…。アリス、此処は何処かしら…?」
シーラの心配をしていた私に、アリスが説明をしてくれてホッとする。
「ここはアスバン公爵家の客室です。」
「え…っ!?」
私は驚いて身体を起こした。
「あ!駄目ですよ!ちゃんと横になって下さい。」
アリスはそう言いながら私の体をゆっくりベッドへ戻す。
そして何故此処にいるのかを説明してくれた。
声をかけてくれたのがこの家の主人であるアスバン公爵夫人で、その場に倒れた私の為に医者まで呼んで介抱してくれたらしい。
さっきまでシーラも心配して付いていてくれたそうだ。
家にも連絡して迎えに行くと言う両親に、落ち着くまで預かると名医を呼んで治させるとそう言って承諾させたのだと。
きっと公爵家に迷惑になると思った両親は相当渋っただろう。
アリスが言うには、アスバン公爵夫人はとても世話好きなのだとか…。
それはそれで複雑なのだけど…。
そんな事を思っているとそれと同時に扉が開いた。
開いた扉から気品ある女性が入って来た。
「アスバン公爵夫人!」
「良かったわ!貴女のご主人目が覚めたのね!」
アリスに話しかけてくれた公爵夫人は私に優しい眼差しを向けてくれる。
その優しい顔を何処かで見た事がある気がした。
私が慌てて立ち上がって挨拶しようとすると、公爵夫人は私をベッドへと戻した。
「まだお休みなさい。無理をしてはいけませんよ?アリスちゃんから貴女の事は聞きました。」
「…すみません。助けて頂いてありがとうございました…。」
「ふふ、気にしないでいいわ。貴女の事はマーガレットちゃんと呼んでもいいのかしら?」
「はい。アスバン公爵夫人。」
私がお礼を言うと、公爵夫人は嬉しそうに顔を綻ばせる。
「嫌だわ!公爵夫人なんて!私の事はグレースお婆様って呼んで頂戴っ!!」
「い、いえ…それは…。」
「マーガレットちゃんダメかしら?お願いよ!」
赤らめた頬を膨らませる仕草は愛らしいが、流石にそんな失礼な事は出来ないと困惑する。
「グレース様、その位にしないと困っているだろう?」
扉の方から声がして扉の方を見ると、腕組みをしながら呆れた顔をした人物がいた。
なんで…。
私は扉の前の人物に驚きを隠せなかった。
そこに居たのはクラウスの相棒ヘクターだったのだ。
『…マーガレット…また図書室(ここ)で会おう。』
クラウスに告げられた言葉が嬉しかった。
会いたいと、もしかしたら待っているかもと思うと胸が痛まない訳じゃないけれど、これ以上近付いてシーラと結ばれた時に祝福出来なくなる。
それではシーラとクラウスの幸せな未来を壊してしまう。
そんなの駄目。私は二人とも大好きだから…。
二人が幸せになる未来を応援しなきゃ。
そう考えるだけで胸の奥はギュウッと締め付けられるのだけど。
それでいいと自分に言い聞かせた。
◇◇◇◇◇
「マーガレット様!ボーッと歩いてると危ないですよ!」
考え事をしながら歩いていた私に声をかけて来たのはアリス。
その隣にはシーラが少し眉を寄せて、私の側に来た。
「もう!久しぶりのお出かけなのに浮かない顔して!」
「…ごめんなさい。うん、行きましょう!」
膨れるシーラに笑顔を見せると、シーラも笑顔を返して一緒に歩き出す。
あれ以来、私の元気が無いと心配したシーラが私を連れて街へ連れ出してくれていた。
もちろん、アリスとシーラ付きの侍女も一緒だ。
久しぶりの外出は楽しく過ごす事が出来た。
楽しかったのだけれど、はしゃぎ過ぎて街中で具合が悪くなってしまった。
「マーガレット様、木陰へ移動しましょう!」
「ごめんなさい。せっかくの楽しい時間を…。」
アリスに言われて木陰に移動しながらシーラに言うと、私の手を握って首を横に振る。
「楽しかったわよ!私こそ調子に乗って、マーガレットの体調を考えるのを忘れてしまったわ。ごめんなさい!」
「大丈夫。ありがとうシーラ。」
安心させたくてシーラに笑いかけたいけれど上手く笑えなくて余計に心配をかけてしまう。
段々と熱が上がってきたのか意識が朦朧とし始めてきた時だった。
「あら、どうかしましたか?」
木陰にいた私達の前に馬車が止まると、従者を連れた女性が降りてきた。
「私の友人が具合が悪くて…。」
「あらあら、それは大変だわ!私の家は直ぐそこだから、迎えが来るまで休んで行きなさい。」
「そんな…大丈夫です。ご迷惑は…。」
「マーガレット!!」
「急いで馬車へ!」
その女性とシーラが話しているのを聞きながら私は意識を手放した。
◇◇◇◇◇
私が意識を取り戻した時そこは見慣れない天井だった。
「お嬢様!気が付かれたのですね!…良かった!」
「…アリス…此処は…?」
私の側に付いていてくれただろうアリスが安堵して瞳を潤ませていた。
起き上がろうとする私をベッドへ戻すアリス。
「まだお休み下さい。シーラ様は先程までご一緒だったのですが、先に帰って頂きました。マーガレット様の事も屋敷には連絡してあります。」
「そう…。アリス、此処は何処かしら…?」
シーラの心配をしていた私に、アリスが説明をしてくれてホッとする。
「ここはアスバン公爵家の客室です。」
「え…っ!?」
私は驚いて身体を起こした。
「あ!駄目ですよ!ちゃんと横になって下さい。」
アリスはそう言いながら私の体をゆっくりベッドへ戻す。
そして何故此処にいるのかを説明してくれた。
声をかけてくれたのがこの家の主人であるアスバン公爵夫人で、その場に倒れた私の為に医者まで呼んで介抱してくれたらしい。
さっきまでシーラも心配して付いていてくれたそうだ。
家にも連絡して迎えに行くと言う両親に、落ち着くまで預かると名医を呼んで治させるとそう言って承諾させたのだと。
きっと公爵家に迷惑になると思った両親は相当渋っただろう。
アリスが言うには、アスバン公爵夫人はとても世話好きなのだとか…。
それはそれで複雑なのだけど…。
そんな事を思っているとそれと同時に扉が開いた。
開いた扉から気品ある女性が入って来た。
「アスバン公爵夫人!」
「良かったわ!貴女のご主人目が覚めたのね!」
アリスに話しかけてくれた公爵夫人は私に優しい眼差しを向けてくれる。
その優しい顔を何処かで見た事がある気がした。
私が慌てて立ち上がって挨拶しようとすると、公爵夫人は私をベッドへと戻した。
「まだお休みなさい。無理をしてはいけませんよ?アリスちゃんから貴女の事は聞きました。」
「…すみません。助けて頂いてありがとうございました…。」
「ふふ、気にしないでいいわ。貴女の事はマーガレットちゃんと呼んでもいいのかしら?」
「はい。アスバン公爵夫人。」
私がお礼を言うと、公爵夫人は嬉しそうに顔を綻ばせる。
「嫌だわ!公爵夫人なんて!私の事はグレースお婆様って呼んで頂戴っ!!」
「い、いえ…それは…。」
「マーガレットちゃんダメかしら?お願いよ!」
赤らめた頬を膨らませる仕草は愛らしいが、流石にそんな失礼な事は出来ないと困惑する。
「グレース様、その位にしないと困っているだろう?」
扉の方から声がして扉の方を見ると、腕組みをしながら呆れた顔をした人物がいた。
なんで…。
私は扉の前の人物に驚きを隠せなかった。
そこに居たのはクラウスの相棒ヘクターだったのだ。
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