25 / 58
25
しおりを挟む
クラウスとヘクターがシュバルツ学園に転入して来て数週間が過ぎようとしていた。
最近の日課は皆で中庭での昼食だった。
何故こんな事に…。
理由は簡単だ。シーラと私は同じクラスだけれどクラウスとはクラスが違う。ヘクターやケヴィン、ユーリとケイトは中等部で皆バラバラだった。
最初は別々で食事をしていると、一緒に食べるとヘクターにゴリ押しされ、
「ヘクターが一緒なのに俺は駄目なんて言わないよね?」
そうクラウスに笑顔で押されて、それならとケヴィンやユーリ、ケイトが私の教室へと集まった。
教室で注目を浴びる様になり、居心地の悪さを感じ始めた時、それならばと中庭に集まる事になったのだ。
そして今日もまた中庭での昼食の時間、いつもの様に集まっていた。
「今日はワグナー嬢とヘクターは遅いんだね。」
「ああ、俺達とはクラス違うからな。」
ふといつもより少ない人数にクラウスはユーリとケヴィンに話しかけるとユーリが答える。
「クラウス、今日この後…。」
「ああ、判ってる。」
「すまない。」
ケヴィンが小声でクラウスに何かを頼んでいた。クラウスも頷いて一瞬真顔になる。
仕事をする時の顔だ…。
真っ直ぐなクラウスの顔を見て、ふとアニメのワンシーンをおもいだした。
多分、ケヴィンは依頼を受ける為の特訓が上手くいっていないのかもしれない。ここニ、三日元気がなかった。
クラウスならきっといいアドバイスが出来るだろう。
「マーガレットは今日は図書室へ?」
「え、ええ。少し調べたい事があるの。」
やり取りを見ながら耽っていると、隣に座っているクラウスに急に話を振られ慌てて返事を返した。
「そう…。マーガレット、遅くまで残らない様にね?」
「は、はい…っ!」
クラウスは耳元で囁いて、ほんの一瞬頬に唇が触れた様な気がしたが、もしかしたらクラウスの吐息だったのかもしれない。
どちらにせよ、私は真っ赤になっているだろう。
顔が…熱い。
クラウスが囁いた耳元をギュッと押さえて冷静さを取り戻そうと、心を落ち着ける様に深呼吸する。
「…何をしてるんだ?」
背後から背筋が凍る様な声がして振り向くと、不機嫌そうなヘクターとその後ろに苦笑したケイトが立っていた。
「ヘクター、ケイト様御機嫌よう。」
「早かったな。」
「疲れたわ~!」
私が二人に言うと、「早かったな」と言うクラウスをムッとする。ケイトはユーリの隣に座ると大きな溜息を吐いた。
ヘクターは私とクラウスの間に割り込んで座った。
「反対側に座ればいいのに。」
「…ユーリ煩い。」
「はいはい。ヘクター男の嫉妬は見苦しいぞ~。」
ユーリに笑いながら言われたヘクターがギロリと睨みつけながら昼食を取り始めた。
「ヘクター様、ヘクター様もケヴィン達と出かけるのですか?」
既に食べ終えているシーラがヘクターに訊ねると口をもぐもぐと動かしながら、コクンと頷いた。
「そろそろ時間だ。行こうかケヴィン。」
「ああ、頼む。」
「俺とヘクターは後から合流するよ。」
ケヴィンとクラウスが立ち上がると、ユーリが二人に手を振りながら言う。
「マーガレット嬢、また明日。」
「また明日ケヴィン様、クラウス様。」
「…マーガレット。」
「…っ!」
ケヴィンがそう言って先に歩き出すと、クラウスは私の左手をそっと持ち上げて手の甲に唇を寄せた。
が、ヘクターが触れる前に私の手を引っ込める。
「ヘクター…。」
「早く行ったらどうだ?」
クラウスが眉を寄せてヘクターを見ると、ヘクターはまた食べ始めてどこ吹く風だ。
「はぁ…。マーガレットもう行くよ。」
「あ、はい。…行ってらっしゃい。」
「…っ! ああ…行ってきます。」
溜息を吐いて私を見るから、笑顔で「行ってらっしゃい」そう返すと、目を見開いた後破顔してケヴィンの後を追って行った。
うわぁ…っ!
クラウスの打算の無い満面の笑みは心臓に悪い!やばい!好き…っ!
胸がギュウゥって締め付けられて痛い。
どうにか離れなければならないに…。
何でこんな事になってしまったのだろう…。
立ち去った方を見ながら小さく溜息を吐く。
それを見ていたシーラとユーリとケイトはヘクターをちらりと見る。
ヘクターは昼食を慌てて食べていたのか、私の視線の先に気付かなかったらしい事に、シーラとユーリ、ケイトは顔を見合わせて溜息を吐いた。
◇◇◇◇◇
シーラside
◇◇◇◇◇
マーガレットは小さな頃から私の大切な大好きな女の子。
昔も今も身体が弱かったけれど、可憐で愛らしいその大きな瞳は宝石みたいにキラキラと光輝き、透き通る白い肌は月の女神の様だった。
初めて会った時から守ってあげなきゃと思った。大切にしたいと、この子は私の特別なのだとそう思った。
けれど最近そんなマーガレットの様子がおかしい。
突然泣き出したり、私によそよそしくなったり、今まではそんな事無かったのに…。
いつもあの愛らしい笑顔を私に向けてくれたのに…!
それも図書室で彼とすれ違った時から始まった気がする。
許せないわ。クラウス・オルセン!
要注意人物はやっぱりクラウス・オルセン。
私の大事なマーガレットを泣かせたり心を乱す存在。
彼は邪魔だわ。
何とかしなくては…。
早く手を打たないと、いつかケヴィンと結婚させて私の本当の家族になる計画が台無しになる。
何の為にケヴィンとマーガレットを合わせたのか判らないじゃない!
狙い通りケヴィンはマーガレットに好意を持ち始めたし…。
これでマーガレットがケヴィンと婚約すれば、マーガレットは私とずっと一緒にいられるのだから。
その為にはクラウス・オルセンからマーガレットを離さなければ…。
最近の日課は皆で中庭での昼食だった。
何故こんな事に…。
理由は簡単だ。シーラと私は同じクラスだけれどクラウスとはクラスが違う。ヘクターやケヴィン、ユーリとケイトは中等部で皆バラバラだった。
最初は別々で食事をしていると、一緒に食べるとヘクターにゴリ押しされ、
「ヘクターが一緒なのに俺は駄目なんて言わないよね?」
そうクラウスに笑顔で押されて、それならとケヴィンやユーリ、ケイトが私の教室へと集まった。
教室で注目を浴びる様になり、居心地の悪さを感じ始めた時、それならばと中庭に集まる事になったのだ。
そして今日もまた中庭での昼食の時間、いつもの様に集まっていた。
「今日はワグナー嬢とヘクターは遅いんだね。」
「ああ、俺達とはクラス違うからな。」
ふといつもより少ない人数にクラウスはユーリとケヴィンに話しかけるとユーリが答える。
「クラウス、今日この後…。」
「ああ、判ってる。」
「すまない。」
ケヴィンが小声でクラウスに何かを頼んでいた。クラウスも頷いて一瞬真顔になる。
仕事をする時の顔だ…。
真っ直ぐなクラウスの顔を見て、ふとアニメのワンシーンをおもいだした。
多分、ケヴィンは依頼を受ける為の特訓が上手くいっていないのかもしれない。ここニ、三日元気がなかった。
クラウスならきっといいアドバイスが出来るだろう。
「マーガレットは今日は図書室へ?」
「え、ええ。少し調べたい事があるの。」
やり取りを見ながら耽っていると、隣に座っているクラウスに急に話を振られ慌てて返事を返した。
「そう…。マーガレット、遅くまで残らない様にね?」
「は、はい…っ!」
クラウスは耳元で囁いて、ほんの一瞬頬に唇が触れた様な気がしたが、もしかしたらクラウスの吐息だったのかもしれない。
どちらにせよ、私は真っ赤になっているだろう。
顔が…熱い。
クラウスが囁いた耳元をギュッと押さえて冷静さを取り戻そうと、心を落ち着ける様に深呼吸する。
「…何をしてるんだ?」
背後から背筋が凍る様な声がして振り向くと、不機嫌そうなヘクターとその後ろに苦笑したケイトが立っていた。
「ヘクター、ケイト様御機嫌よう。」
「早かったな。」
「疲れたわ~!」
私が二人に言うと、「早かったな」と言うクラウスをムッとする。ケイトはユーリの隣に座ると大きな溜息を吐いた。
ヘクターは私とクラウスの間に割り込んで座った。
「反対側に座ればいいのに。」
「…ユーリ煩い。」
「はいはい。ヘクター男の嫉妬は見苦しいぞ~。」
ユーリに笑いながら言われたヘクターがギロリと睨みつけながら昼食を取り始めた。
「ヘクター様、ヘクター様もケヴィン達と出かけるのですか?」
既に食べ終えているシーラがヘクターに訊ねると口をもぐもぐと動かしながら、コクンと頷いた。
「そろそろ時間だ。行こうかケヴィン。」
「ああ、頼む。」
「俺とヘクターは後から合流するよ。」
ケヴィンとクラウスが立ち上がると、ユーリが二人に手を振りながら言う。
「マーガレット嬢、また明日。」
「また明日ケヴィン様、クラウス様。」
「…マーガレット。」
「…っ!」
ケヴィンがそう言って先に歩き出すと、クラウスは私の左手をそっと持ち上げて手の甲に唇を寄せた。
が、ヘクターが触れる前に私の手を引っ込める。
「ヘクター…。」
「早く行ったらどうだ?」
クラウスが眉を寄せてヘクターを見ると、ヘクターはまた食べ始めてどこ吹く風だ。
「はぁ…。マーガレットもう行くよ。」
「あ、はい。…行ってらっしゃい。」
「…っ! ああ…行ってきます。」
溜息を吐いて私を見るから、笑顔で「行ってらっしゃい」そう返すと、目を見開いた後破顔してケヴィンの後を追って行った。
うわぁ…っ!
クラウスの打算の無い満面の笑みは心臓に悪い!やばい!好き…っ!
胸がギュウゥって締め付けられて痛い。
どうにか離れなければならないに…。
何でこんな事になってしまったのだろう…。
立ち去った方を見ながら小さく溜息を吐く。
それを見ていたシーラとユーリとケイトはヘクターをちらりと見る。
ヘクターは昼食を慌てて食べていたのか、私の視線の先に気付かなかったらしい事に、シーラとユーリ、ケイトは顔を見合わせて溜息を吐いた。
◇◇◇◇◇
シーラside
◇◇◇◇◇
マーガレットは小さな頃から私の大切な大好きな女の子。
昔も今も身体が弱かったけれど、可憐で愛らしいその大きな瞳は宝石みたいにキラキラと光輝き、透き通る白い肌は月の女神の様だった。
初めて会った時から守ってあげなきゃと思った。大切にしたいと、この子は私の特別なのだとそう思った。
けれど最近そんなマーガレットの様子がおかしい。
突然泣き出したり、私によそよそしくなったり、今まではそんな事無かったのに…。
いつもあの愛らしい笑顔を私に向けてくれたのに…!
それも図書室で彼とすれ違った時から始まった気がする。
許せないわ。クラウス・オルセン!
要注意人物はやっぱりクラウス・オルセン。
私の大事なマーガレットを泣かせたり心を乱す存在。
彼は邪魔だわ。
何とかしなくては…。
早く手を打たないと、いつかケヴィンと結婚させて私の本当の家族になる計画が台無しになる。
何の為にケヴィンとマーガレットを合わせたのか判らないじゃない!
狙い通りケヴィンはマーガレットに好意を持ち始めたし…。
これでマーガレットがケヴィンと婚約すれば、マーガレットは私とずっと一緒にいられるのだから。
その為にはクラウス・オルセンからマーガレットを離さなければ…。
11
あなたにおすすめの小説
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。
柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。
詰んでる。
そう悟った主人公10歳。
主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど…
何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど…
なろうにも掲載しております。
お母様が国王陛下に見染められて再婚することになったら、美麗だけど残念な義兄の王太子殿下に婚姻を迫られました!
奏音 美都
恋愛
まだ夜の冷気が残る早朝、焼かれたパンを店に並べていると、いつもは慌ただしく動き回っている母さんが、私の後ろに立っていた。
「エリー、実は……国王陛下に見染められて、婚姻を交わすことになったんだけど、貴女も王宮に入ってくれるかしら?」
国王陛下に見染められて……って。国王陛下が母さんを好きになって、求婚したってこと!? え、で……私も王宮にって、王室の一員になれってこと!?
国王陛下に挨拶に伺うと、そこには美しい顔立ちの王太子殿下がいた。
「エリー、どうか僕と結婚してくれ! 君こそ、僕の妻に相応しい!」
え……私、貴方の妹になるんですけど?
どこから突っ込んでいいのか分かんない。
追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
アルファポリス恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
*他サイトでも公開中
なろう日間総合ランキング2位に入りました!
このたび、あこがれ騎士さまの妻になりました。
若松だんご
恋愛
「リリー。アナタ、結婚なさい」
それは、ある日突然、おつかえする王妃さまからくだされた命令。
まるで、「そこの髪飾りと取って」とか、「窓を開けてちょうだい」みたいなノリで発せられた。
お相手は、王妃さまのかつての乳兄弟で護衛騎士、エディル・ロードリックさま。
わたしのあこがれの騎士さま。
だけど、ちょっと待って!! 結婚だなんて、いくらなんでもそれはイキナリすぎるっ!!
「アナタたちならお似合いだと思うんだけど?」
そう思うのは、王妃さまだけですよ、絶対。
「試しに、二人で暮らしなさい。これは命令です」
なーんて、王妃さまの命令で、エディルさまの妻(仮)になったわたし。
あこがれの騎士さまと一つ屋根の下だなんてっ!!
わたし、どうなっちゃうのっ!? 妻(仮)ライフ、ドキドキしすぎで心臓がもたないっ!!
モブが乙女ゲームの世界に生まれてどうするの?【完結】
いつき
恋愛
リアラは貧しい男爵家に生まれた容姿も普通の女の子だった。
陰険な意地悪をする義母と義妹が来てから家族仲も悪くなり実の父にも煙たがられる日々
だが、彼女は気にも止めず使用人扱いされても挫ける事は無い
何故なら彼女は前世の記憶が有るからだ
え?わたくしは通りすがりの元病弱令嬢ですので修羅場に巻き込まないでくたさい。
ネコフク
恋愛
わたくしリィナ=ユグノアは小さな頃から病弱でしたが今は健康になり学園に通えるほどになりました。しかし殆ど屋敷で過ごしていたわたくしには学園は迷路のような場所。入学して半年、未だに迷子になってしまいます。今日も侍従のハルにニヤニヤされながら遠回り(迷子)して出た場所では何やら不穏な集団が・・・
強制的に修羅場に巻き込まれたリィナがちょっとだけざまぁするお話です。そして修羅場とは関係ないトコで婚約者に溺愛されています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる