モブのモブ!? 気付いたら、大好きなアニメの世界だった!?

SORA

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暫く柱の影に隠れて気持ちが落ち着いて来た私は涙を拭って立ち上がった。

取り敢えず会場に戻らないと…。あ、でも先にこのボロボロになった顔をどうにかしなきゃ。

泣き崩れて化粧もボロボロになっているであろうと、そう思って柱の影から出ようとした時、来た方向から足音が聞こえて来た。

嫌だ、こっちへ来る!

こんな顔を見られたくなくて、私はまた柱の影に蹲り隠れる。

早く通り過ぎてほしいと、その人達が通り過ぎるのを息を潜めて隠れていると、何故か私の隠れている柱の側で止まった。


「こんな所で何をしているのかな?」

「!?」

そう言って私のいる方へゆっくりと近づいて来る。その声の主の気配に私は動く事が出来ない。

見られたくないと、顔を伏せていると私の前に来た人物はしゃがみ込んで私を立たせようと腕を掴んだ。
何処かに連れて行かれるんだろうか?

「…やっ!!」

怖くなった私は抵抗して、腕を掴んだその人の手を反対の手で引き剥がそうとした。

「!!」

顔を上げた瞬間お互いが息を飲んだ。

それはそうだろう。
私を掴んだのは、会場から追いかけたドウェインとその後ろにはさっき別れたヴァルがいたのだから。

彼らもまた明らかに泣いていただろうと判るボロボロの私を見て目を見開いていた。

普通に考えても、こんな人気の無い所で女の子一人、化粧が崩れるほど泣き腫らした顔をしているのだ、驚かない方が可笑しい。
いや、それよりも…。

何で此処にドウェインとヴァルがいるの!?

私が困惑して言葉を発せずにいると、ドウェインが私に目線を合わせてハンカチを差し出して来た。

「大丈夫かい?」

「あ…は、はい…。」

「お嬢さん、何でこんな所に?帰り道は教えた筈だろう?別れた後何かあったのか!?」

何とか返事を返す私は一瞬ヴァルと目が合うと、ビクッと体が強張るのを二人は見逃さなかった。

「ヴァル知り合いかい?」

「あ~…さっき迷っていたから、夜会の会場場所を教えたんですよ。」

「…じゃあ、どうして君を見てこんなに怯えているのかな?」

「いや、それは…。」

ヴァルが放った殺気を思い出してしまったのだ。

二人を、ヴァルが放った殺気を思い出して、震える私の様子が明らかに変だと思ったドウェインが説明を求めると言葉を濁すヴァル。

「ヴァル?」

「いや…さっき迷って部屋の近くにいたもんで、怪しい奴かと思ってちょっと威嚇してしまって…。」

「このお嬢さんに?」

「ははっ…。」

ドウェインが声のトーンを下げてヴァルに説明を求めると、罰の悪そうに頭を掻きながらボソボソと告げた。
そんなヴァルを呆れた顔で見て、ドウェインは大きな溜息を吐くと私に向き直る。

「ヴァルが怖がらせてしまった様だ。大丈夫かい?」

「悪い。」

「いえ…。」

ドウェインが私を気遣う様に私の頬にハンカチを当てると、ヴァルは申し訳なさそうに眉を下げた。

「こんな大男に殺気を込められたら、手慣れてないお嬢さんが怖がるのも無理はないだろうに。すまなかったね、私の部下が。」

「…もう大丈夫です。私こそ親切に道を教えて頂いたのにすみませんでした。」

ドウェインに丁寧に謝罪されて私は二人に微笑んだ。その笑みが少し硬かったのは察してほしい。

「いや、まさかこんなに怯えるとは…。悪かったなお嬢さん。」

「怖かったです…けれど、もう大丈夫です。」

「そうか…。」

「それはそうと、いつまでもこんな場所に座り混んでいるのもなんだ、取り敢えずお嬢さんお手を。」

ドウェインは座り込んだままの私を立たせてくれようと手を差し伸べてくれた。
その手を取ろうとしたその時、彼らが歩いて来た方とは逆の方から歩いて来た人物にドウェインとヴァルがいち早く気付いた。

「?」

二人が見つめる方向を向くと、エリオットとビアンカが此処へ向かって来るのが見える。
その少し後ろにはクラウスとヘクターの姿も見えた。

まだ此方の様子に気付いていないエリオット達を、ドウェインとヴァルは警戒しているのか空気がピリピリしているのを肌で感じた。

やっぱり追われてるの?

二人の反応にあのアニメのストーリー通り動いているのかと思うと胸が痛む。

「…お嬢さん悪いね。急用が出来てしまった。一人で大丈夫かい?」

「あ…はい。」

「ドウェイン様、お嬢さんをこのまま置いて行くんですか?」

ドウェインが私に告げると、ヴァルは心配なのか私を気遣う様に見る。

王太子派でなければ、シーラが好きになるくらい根は物凄くいい人達なのだ。
ただ方向を間違えてしまっただけで…。

「私達と一緒の方が危険だ。…行くぞヴァル。」

「…そうですね。じゃあなお嬢さん、気をつけてな。」

「あ、ありがとう…ございました…。」

立ち去るドウェインとヴァルはあっという間に見えなくなり、座り込む私の手元に残ったのはドウェインのハンカチだけだった。
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