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五章 キューピットは期待する
Mission③あなたに感謝の意を込めて
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私は火照った体をごまかすようにお風呂にゆっくり浸かる。隅々まで綺麗に洗って、ムダ毛もチェックした。本当はあのまま航さんを受け入れても良かったんだけど、今日の素敵な一日を私にプレゼントしてくれた彼に、お礼がしたかった。だからいつもよりも綺麗な私で挑みたい。
そう、今夜こそは私が! 航さんを!
気合の入れ方を間違えないように、自分に言い聞かせて、バスルームから出た。航さんにもすぐに入ってもらった。実は湯船にはジャスミンの入浴剤を入れている。私の大好きな香りだ。
航さんがお風呂の間、私は丁寧に髪を乾かし、化粧水と保湿クリームを肌に馴染ませた。リビングではボディクリームも擦り込む。これもジャスミンの香りがするもの。
ジャスミンには秘められた意味がある。
【優美】【愛らしさ】【官能的】
私は航さんを誘えるだろうか。優しい彼はきっとつたない私の誘いに乗ってくれると思う。
でも甘えちゃダメ!
なんとしても、渾身の一矢を航さんに!
寝室にはアロマポットを置き、とどめのジャスミンオイルを垂らす。部屋中をジャスミンで溢れ返し、私のペースで事が運ぶように願をかけた。
そしてベッドの淵に腰掛けて航さんを待つ。
「緊張する」
ドキドキする胸を落ち着かせていると、航さんがやってきた。
「羽七。もう寝るのか? リビング真っ暗だけど」
「うん。ねえ航さん。隣に座って?」
「ああ」
隣に航さんが座ると、ほんのりジャスミンの香りがする。もうこれで私の思う壺。なぜか罠に掛かった獲物を想像してニヤけてしまう。
「なんか、いい匂いだな。風呂のお湯もこの部屋も同じ匂いがする。もしかして、羽七も?」
航さんは鼻をスンと鳴らして匂いを嗅ぎ、最後に私に鼻を寄せた。
「航さんもだよ」
「えっ、本当だな! あははは」
目尻を下げて笑うの。もうその笑顔に私はメロメロです。航さんに抱きつきたい衝動を抑えて、静かに彼の方へ向き直った。
「あのね、航さん」
「うん、なんだ?」
「お願いがあるの」
「なんだよあらたまって。遠慮せずに言えよ」
航さんてば、私に本当に優しくて甘い。なんの疑いもせず、遠慮せずに言えという。航さんは私の髪を手で梳きながら頬も撫でる。いつのまにか航さんのモードにハマって、もう蕩けてしまいそうだ。
(ダメダメっ、私が蕩けちゃダメだよ。しっかり!)
私は静かに立ち上がり航さんの前に移動した。航さんは何も言わずに見守っている。私は航さんの太腿に手を突きフローリングに膝立ちした。そして、ゆっくりと見上げる。
「羽七? いったい何をするつもりだ」
「何をって、分かるでしょう? 航さんは動かないで下さいね」
「おい、おい! ちょっと待ってくれ」
私は航さんの膝に手をかけ、思いっきりその脚を開いた。思ったよりも簡単に股を開くことに成功する。そう言えば航さんは体が柔らかかったのだ。なんせ180度に開くんだから!
(男の人が脚を開いた姿って素敵♡)
「お願いだから、私に航さんのをさせて?」
私がそう言うと、航さんは絶句していた。そりゃそうよね。突然脚をこれでもかと開かされ、その間に体を捩じ込まれたあげく、大事なソレをナニさせろなんて言われたんだもの。
「羽七、本気か?」
「本気ですよ。でも、上手じゃないから最初は見逃してね? わたしだって航さんを、気持ちよくしたいの。嫌って、言わないで」
「分かったから、そんな顔するな。羽七のいいように、してくれ」
航さんは私の頭をひと撫でしてそう言った。好きにしていいと言われたけど、どこから取りかかればいいんだっけ。
私は恐る恐る航さんのものをスウェットの上から撫でてみた。盛り上がったそれは私の手のひらよりも大きく感じる。
(わっ、どうしよう。えっと……あの雑誌に、なんて書いてあったっけ)
私の右手は彼のものを撫で、左手で内腿を撫でてみる。やっぱりスウェットが邪魔だ。
「スウェット、脱いでもらえる?」
航さんはうなずくと腰を浮かせてスウェットを引き下げた。私も手伝う。恥ずかしいことに手が震えていた。そのまま下着も一緒に脱いでもらう。
「――⁉︎」
一瞬、航さんは息を呑んだ。私が凝視しているせいもあるかもしれない。でも、私だって息を呑んだもの。だって、正面から拝んだのは初めだったから。
(これはっ、片手ではどうにもならないサイズ。大きいんですけど!)
まだ完全体ではないはずの彼のものを見た私は、思わず怖気付いた。
(ああ、お口の体操しておけばよかった。どうか、どうか顎が外れたりしませんようにっ)
「羽七。無理しなくていいぞ。俺は別に」
「大丈夫です。シャツも脱ぎましょう」
航さんにシャツも脱いでもらって、私はお礼にその胸にキスをした。
そして再び、彼の脚の間に座り直す。そっと片手で持ち上げて、上から包み込むように撫でるピクンと動いた。両手で握って先端を自分に向け、そこに優しく口づけをした。
「ふっ」
航さんが息を漏らした。私は勇気を出して口を開け、彼の亀頭を口に含んだ。その瞬間、航さんが太腿に力を入れる。そして私の頭をとても優しい手つきで何度も撫でる。
それが褒められているようで嬉しくて、私は深くまで咥え込んだ。舌を伸ばしてそっと撫でるように動かす。
「羽七っ……」
航さんの切なそうな声が耳に届くと、私の身体も疼き始める。抽出を繰り返すために頭を前後に動かした。いっぱいに広げた口のなかで、航さんのものは更に大きく成長する。
「んっ……ん」
唾液が口の端から漏れ出るけれど、そんなこと、気にしていられない。口で足りなければ手も使うの。添えていただけの手を付け根に移動させて、頭の動きに合わせて扱いた。
(苦しいっ)
「くっ……ぁ。羽七っ、もう」
航さんの掠れたその声に胸が熱くなった。私にも航さんを気持ちよくできるんだ。だから、もっともっと、喘いでほしい。
私は視線を彼に向け「やめないよ」の意を込めて首を横に振った。航さんは撫でていた手を私の頬に当て、目を細めて愛しそうにさすってくれる。
それだけで私は泣きそうになった。
「はっ、羽七。無理だっ、あぁ……離すんだ」
「んーっ(いやだ)」
「うっ……」
とうとう航さんは、私の口から自身を抜き取ってしまう。
「あっ……どう、して?」
「あっぶね……もうちょっとで、中に出す所だったんだぞ」
航さんは肩で息をして整える。私は不合格をもらった気分だった。最後までしたかったから。
航さんはフローリングに膝を突いて私の顔を覗き込んでくる。やだ、見られたくないな。
「羽七? おい、何で落ち込んでるんだよ」
「だって……」
「俺が途中で抜いたから落ち込んでるのか?」
不甲斐なさすぎて、惨めな気分になってしまった。下手なことは百も承知だったけど、航さんを気持ちよくさせられないなんて、彼女として残念すぎるよ。
「聞いてくれるか。俺、こういうこと、ほとんどさせた事なくてさ。男がするもので、女からしてもらうって概念がなかったんだ」
「え、そうなの?」
「男が女を気持ちよくさせるのは当たり前だし、ましてや俺のなんかを咥えさせるなんて酷だろ。もし、途中で気分悪くなったりしたらって思ったら、そういう気になれなかったんだよ」
「ごめんなさい。私、航さんの気持ちを全然考えてなかった」
私の独りよがりだった。私は、最悪なことを航さんにしていた。
「羽七」
「はい」
「けどな。さっき羽七にしてもらってた時、めちゃくちゃ気持ちが良かった。最高だったよ。本当に羽七の口の中で出しそうになった。だから、ヤバいと思って抜いたんだ」
「気持ちよかったの? 本当に?」
「ああ、本当だ」
「だったら、出してくれてもよかったよ」
「その気持ちたけで十分だから。俺は羽七の口の中を汚したくない。それは俺の拘りみたいなもんで譲れないんだ。俺が出したいのは羽七のこの中だけだから」
そう言って、航さんは私の下腹部を優しく撫でてくれた。そして、そのまま私の腰を引き寄せて、航さんは労うように酷く優しいキスを私にくれた。
私の唇は航さんの柔らかな唇で包まれた。優しく撫でられたあと、航さんの舌が私の舌を誘い出し、巧みな動きで甘やかす。身体中に小さな電気が流れていくようだった。
(ああ、溺れる。もう、この腕の中からは逃れられない。ずっと、こうしていて……)
「羽七。俺に溺れろよ。俺だけに、な」
「んっ」
私は全身の力を抜き、航さんの愛の施しを気が遠くなるまで受けた。
ミッション遂行だなんて、夢のまた夢……。
そう、今夜こそは私が! 航さんを!
気合の入れ方を間違えないように、自分に言い聞かせて、バスルームから出た。航さんにもすぐに入ってもらった。実は湯船にはジャスミンの入浴剤を入れている。私の大好きな香りだ。
航さんがお風呂の間、私は丁寧に髪を乾かし、化粧水と保湿クリームを肌に馴染ませた。リビングではボディクリームも擦り込む。これもジャスミンの香りがするもの。
ジャスミンには秘められた意味がある。
【優美】【愛らしさ】【官能的】
私は航さんを誘えるだろうか。優しい彼はきっとつたない私の誘いに乗ってくれると思う。
でも甘えちゃダメ!
なんとしても、渾身の一矢を航さんに!
寝室にはアロマポットを置き、とどめのジャスミンオイルを垂らす。部屋中をジャスミンで溢れ返し、私のペースで事が運ぶように願をかけた。
そしてベッドの淵に腰掛けて航さんを待つ。
「緊張する」
ドキドキする胸を落ち着かせていると、航さんがやってきた。
「羽七。もう寝るのか? リビング真っ暗だけど」
「うん。ねえ航さん。隣に座って?」
「ああ」
隣に航さんが座ると、ほんのりジャスミンの香りがする。もうこれで私の思う壺。なぜか罠に掛かった獲物を想像してニヤけてしまう。
「なんか、いい匂いだな。風呂のお湯もこの部屋も同じ匂いがする。もしかして、羽七も?」
航さんは鼻をスンと鳴らして匂いを嗅ぎ、最後に私に鼻を寄せた。
「航さんもだよ」
「えっ、本当だな! あははは」
目尻を下げて笑うの。もうその笑顔に私はメロメロです。航さんに抱きつきたい衝動を抑えて、静かに彼の方へ向き直った。
「あのね、航さん」
「うん、なんだ?」
「お願いがあるの」
「なんだよあらたまって。遠慮せずに言えよ」
航さんてば、私に本当に優しくて甘い。なんの疑いもせず、遠慮せずに言えという。航さんは私の髪を手で梳きながら頬も撫でる。いつのまにか航さんのモードにハマって、もう蕩けてしまいそうだ。
(ダメダメっ、私が蕩けちゃダメだよ。しっかり!)
私は静かに立ち上がり航さんの前に移動した。航さんは何も言わずに見守っている。私は航さんの太腿に手を突きフローリングに膝立ちした。そして、ゆっくりと見上げる。
「羽七? いったい何をするつもりだ」
「何をって、分かるでしょう? 航さんは動かないで下さいね」
「おい、おい! ちょっと待ってくれ」
私は航さんの膝に手をかけ、思いっきりその脚を開いた。思ったよりも簡単に股を開くことに成功する。そう言えば航さんは体が柔らかかったのだ。なんせ180度に開くんだから!
(男の人が脚を開いた姿って素敵♡)
「お願いだから、私に航さんのをさせて?」
私がそう言うと、航さんは絶句していた。そりゃそうよね。突然脚をこれでもかと開かされ、その間に体を捩じ込まれたあげく、大事なソレをナニさせろなんて言われたんだもの。
「羽七、本気か?」
「本気ですよ。でも、上手じゃないから最初は見逃してね? わたしだって航さんを、気持ちよくしたいの。嫌って、言わないで」
「分かったから、そんな顔するな。羽七のいいように、してくれ」
航さんは私の頭をひと撫でしてそう言った。好きにしていいと言われたけど、どこから取りかかればいいんだっけ。
私は恐る恐る航さんのものをスウェットの上から撫でてみた。盛り上がったそれは私の手のひらよりも大きく感じる。
(わっ、どうしよう。えっと……あの雑誌に、なんて書いてあったっけ)
私の右手は彼のものを撫で、左手で内腿を撫でてみる。やっぱりスウェットが邪魔だ。
「スウェット、脱いでもらえる?」
航さんはうなずくと腰を浮かせてスウェットを引き下げた。私も手伝う。恥ずかしいことに手が震えていた。そのまま下着も一緒に脱いでもらう。
「――⁉︎」
一瞬、航さんは息を呑んだ。私が凝視しているせいもあるかもしれない。でも、私だって息を呑んだもの。だって、正面から拝んだのは初めだったから。
(これはっ、片手ではどうにもならないサイズ。大きいんですけど!)
まだ完全体ではないはずの彼のものを見た私は、思わず怖気付いた。
(ああ、お口の体操しておけばよかった。どうか、どうか顎が外れたりしませんようにっ)
「羽七。無理しなくていいぞ。俺は別に」
「大丈夫です。シャツも脱ぎましょう」
航さんにシャツも脱いでもらって、私はお礼にその胸にキスをした。
そして再び、彼の脚の間に座り直す。そっと片手で持ち上げて、上から包み込むように撫でるピクンと動いた。両手で握って先端を自分に向け、そこに優しく口づけをした。
「ふっ」
航さんが息を漏らした。私は勇気を出して口を開け、彼の亀頭を口に含んだ。その瞬間、航さんが太腿に力を入れる。そして私の頭をとても優しい手つきで何度も撫でる。
それが褒められているようで嬉しくて、私は深くまで咥え込んだ。舌を伸ばしてそっと撫でるように動かす。
「羽七っ……」
航さんの切なそうな声が耳に届くと、私の身体も疼き始める。抽出を繰り返すために頭を前後に動かした。いっぱいに広げた口のなかで、航さんのものは更に大きく成長する。
「んっ……ん」
唾液が口の端から漏れ出るけれど、そんなこと、気にしていられない。口で足りなければ手も使うの。添えていただけの手を付け根に移動させて、頭の動きに合わせて扱いた。
(苦しいっ)
「くっ……ぁ。羽七っ、もう」
航さんの掠れたその声に胸が熱くなった。私にも航さんを気持ちよくできるんだ。だから、もっともっと、喘いでほしい。
私は視線を彼に向け「やめないよ」の意を込めて首を横に振った。航さんは撫でていた手を私の頬に当て、目を細めて愛しそうにさすってくれる。
それだけで私は泣きそうになった。
「はっ、羽七。無理だっ、あぁ……離すんだ」
「んーっ(いやだ)」
「うっ……」
とうとう航さんは、私の口から自身を抜き取ってしまう。
「あっ……どう、して?」
「あっぶね……もうちょっとで、中に出す所だったんだぞ」
航さんは肩で息をして整える。私は不合格をもらった気分だった。最後までしたかったから。
航さんはフローリングに膝を突いて私の顔を覗き込んでくる。やだ、見られたくないな。
「羽七? おい、何で落ち込んでるんだよ」
「だって……」
「俺が途中で抜いたから落ち込んでるのか?」
不甲斐なさすぎて、惨めな気分になってしまった。下手なことは百も承知だったけど、航さんを気持ちよくさせられないなんて、彼女として残念すぎるよ。
「聞いてくれるか。俺、こういうこと、ほとんどさせた事なくてさ。男がするもので、女からしてもらうって概念がなかったんだ」
「え、そうなの?」
「男が女を気持ちよくさせるのは当たり前だし、ましてや俺のなんかを咥えさせるなんて酷だろ。もし、途中で気分悪くなったりしたらって思ったら、そういう気になれなかったんだよ」
「ごめんなさい。私、航さんの気持ちを全然考えてなかった」
私の独りよがりだった。私は、最悪なことを航さんにしていた。
「羽七」
「はい」
「けどな。さっき羽七にしてもらってた時、めちゃくちゃ気持ちが良かった。最高だったよ。本当に羽七の口の中で出しそうになった。だから、ヤバいと思って抜いたんだ」
「気持ちよかったの? 本当に?」
「ああ、本当だ」
「だったら、出してくれてもよかったよ」
「その気持ちたけで十分だから。俺は羽七の口の中を汚したくない。それは俺の拘りみたいなもんで譲れないんだ。俺が出したいのは羽七のこの中だけだから」
そう言って、航さんは私の下腹部を優しく撫でてくれた。そして、そのまま私の腰を引き寄せて、航さんは労うように酷く優しいキスを私にくれた。
私の唇は航さんの柔らかな唇で包まれた。優しく撫でられたあと、航さんの舌が私の舌を誘い出し、巧みな動きで甘やかす。身体中に小さな電気が流れていくようだった。
(ああ、溺れる。もう、この腕の中からは逃れられない。ずっと、こうしていて……)
「羽七。俺に溺れろよ。俺だけに、な」
「んっ」
私は全身の力を抜き、航さんの愛の施しを気が遠くなるまで受けた。
ミッション遂行だなんて、夢のまた夢……。
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