聖女様が従騎士に指名した農夫は世界最強だったーリーム王国編ー

ぽとりひょん

文字の大きさ
17 / 64
第1章 聖女誕生

第17話 ウォール、農夫になる

しおりを挟む
 試合が終わってから、宮廷騎士たちが私に対してにこやかに挨拶してくれるようになった。宮廷騎士の一人が言う。
 「いつでも、顔を出してよ。歓迎するよ。」「はあ。」
私は宮廷騎士に嫌われてもおかしくないはずだが・・・
 キルケが私に面白そうに言う。
 「ミリア、あなた、宮廷騎士団で人気急上昇中よ。」「なぜ?私は宮廷騎士団に泥を塗ったのよ。」
 「ミリアはダミアン王子を倒して、カール副団長の敵を取ったでしょ。」「それだけで人気が出るとは思えないわ。」
 「それは、ミリアがロり巨乳だったからよ。」「なっ・・・あいつら私を胸を・・・」
 「試合中、丸見えだったわ。」「うぅぅ~」
私の顔が赤くなることが分かる。キルケはニコニコしている。
 「私だって好きで脱いだわけではないのよ。」「分かっているわ。みんな、ダミアン王子が悪いのよね。」
ロり巨乳はないと思う。私だってもう少しすれば、背が伸びてスタイル抜群になるに違いない。

 その頃、ミハス村では、ウォールが両親に説得されて農夫になることを決める。ウォールはミリアに手紙を書く。
 「約束守れなくてごめん。騎士の道を閉ざされてしまった。だから、ミハス村で農夫になってミリアの幸せを祈るよ。」
ミリアはこの手紙を読んで激怒する。そして、返事の手紙を書く。
 「その程度で諦めるの。ヘタレ。ウォールは私の従騎士になることが決まっているのだから、首を洗って待っておきなさい。」
ウォールはミリアの手紙を読んで深いため息をつく。世の中は思うようにならないのだ。

 俺は村に帰ってから、両親にしつこく農夫になることを勧められて、折れる形で農夫になることに決める。
 ミハス村の中では、情報はすぐにみんなの知るところになるので、俺が農夫になることは次の日には村中に知れられていた。
 朝、畑に出ると幼馴染のダリアが話しかけてくる。
 「ミリアはもういいの。」「相手は聖女様だ。農夫の俺とは、もう関係ないよ。」
 「そうなんだ。もう朝食は食べたの。」「いや、まだだ。ひと仕事したら家に戻って食べるよ。」
 「だったら、私の家に来なよ。朝食は私が作っているんだ。味見してほしいな。」「いいのか。」
 「その方がうれしいよ。」「じゃあ、お邪魔するよ。」
 「楽しみに待っているよ。」
俺はダリアに朝食に誘われてしまった。きっと毒見役だろう。だが、気晴らしにはなる。俺は畑仕事をひと段落させるとダリアの家に行く。
 ダリアが笑顔で迎い入れてくれる。ダリアの両親も笑顔だ。笑顔が絶えない家庭なのだろう。
 料理はパンと牛乳は一般的な朝食だが、それに厚焼きのベーコンの上に卵を焼いたものが出てくる。少し豪勢だ。
 「さあ、食べて。」「いつもこんなに豪勢な朝食を食べているの。」
 「今日は特別よ。ウォールが私の家に来てくれたからごちそうにしたの。」「ありがたくいただきます。」
ダリアの母親が俺に聞く。
 「ウォールは好きな女の子とかいるの。」「いたのですが・・・今は・・・」
 「ごめんなさい。ミリアと仲良かったものね。」「ええ、彼女のことは忘れようと思っています。」
ダリアの父親が何か言いたそうだったが言い出せずにいた。俺は食事を食べると礼を言って畑仕事に戻る。
 畑には両親がいた。ゴルが俺に言う。
 「朝食はどうしたんだ。」「ダリアにごちそうになったよ。」
 「そうか、うまかったか。」「ああ、おいしかったよ。」
 「昼食は楽しみにしろよ。」「何かあるの。」
 「それは内緒だ。」
ゴルもアメリも機嫌がいい。昼食に何かいいことがあるのだろう。俺は魔法で畑に水を撒くので作業の効率がいい。もちろん、日照りがあっても水の心配はない。
 昼になり、俺は両親と家に帰る。家から食欲をそそる良い匂いがしてくる。家に誰かいるのだろうか。家に入ると幼馴染のアミンが料理をしている。
 「お帰りなさい。ウォール。」「どうしたの。」
アメリが説明する。
 「朝、アミンが来て、朝食を作りたいと頼んできたんだよ。まるでお嫁さん見たいだろ。」「お母さま、いやですわ。」
アミンは両親に取り入って昼食を作っていたらしい。アメリは気が早い、お嫁さんなんて言ったらアミンが気を悪くするかもしれない。それでもアミンは笑顔だ。心が広い。
 俺たちは昼食を食べる。アミンの作ったシチューはおいしかった。すると、ダリアが家に来る。
 「こんにちわ。お昼を作りすぎてしまって持ってきたの。食べてくれる。」
アミンの顔色が変わる。
 「ダリア、あなた何しているの。」「アミンの方こそ、なんでいるの。」
なんだか険悪な雰囲気になって来た。二人は家の外に出ると言い争いを始める。アメリが俺に言う。
 「ウォールはもてるね。ミリアがいなくなったら、新しい女の子が来るんだから。」「あれ、どうするんだよ。」
 「好きな方の娘と結婚すればいいさ。」「俺はミリアのことを忘れていないんだ。結婚はできない。」
 「がんこだねー」
アメリは呆れる。ゴルは無言で首を振る。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

二十年仕えた王女が私を敵に売った。それでも守ることにした

セッシー
ファンタジー
二十年間、王女殿下の護衛騎士として仕えた。その殿下が、私を敵に売った。 牢の中で事実を知り、一分考えて——逃げることにした。殿下の目的を、まだ果たしていないから。 裏切りの真相を確かめるため、一人王都へ戻る護衛騎士の話。

商人でいこう!

八神
ファンタジー
「ようこそ。異世界『バルガルド』へ」

追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件

言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」 ──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。 だが彼は思った。 「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」 そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら…… 気づけば村が巨大都市になっていた。 農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。 「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」 一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前! 慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが…… 「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」 もはや世界最強の領主となったレオンは、 「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、 今日ものんびり温泉につかるのだった。 ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!

さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。 冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。 底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。 そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。  部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。 ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。 『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

処理中です...