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何度も何度もイカされて:15
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気づいた時には
柊は寝ている颯を後ろから抱きしめていた。
――愛しさ、だった。
頑なに自分を「下の立場」として扱い
媚びるように甘えていたその身体を。
いまはただ、無性に――守りたくなった。
抱き寄せた腕の中で
颯がびくっと驚く。
「……せ、先輩?」
「なん、ですか……急に……」
その声は、いつもの
命令口調じゃなかった。
不意を突かれたみたいな
少し震える声だった。
柊は黙ったまま、ただそっと
強く、もう一度抱きしめた。
柊の腕の中、颯はじっと動かなかった。
呼吸が少しずつ浅くなり
耳の奥まで赤く染まっているのが見える。
「ごめん。颯。」
「…だからその...いいですもう。」
そう言いながらも、颯の声は震えていた。
怒っていたはずのその口ぶりには、棘がない。
ぎゅっと拳を握る音がする。
でも、それが柊のシャツの裾を
そっと掴む動作に変わるまで
そう時間はかからなかった。
「……別に、ほんとにもういいです。
許しました。先輩のこと」
小さな声で言い訳するように
呟きながら、颯は柊の胸に額を押しつける。
「ただ...ご主人様の前で
ああいうのはもうやめてください……」
柊は驚いた。
いつも余裕たっぷりに見える颯が
こんなふうに素直になるなんて。
「……もう少しこうしてていい?」
無意識に口から出た言葉に
颯の肩がピクッと揺れる。
「えっ……」
顔を赤くして
小さな拳で柊の胸をトン、と軽く叩く。
でもその手は、決して本気じゃない。
「……まあ……いいですけど……」
まるで、子犬が甘えるような声でそう言って、
颯はそっと柊の腕にに顔をうずめた。
やけに、素直で。
やけに、受け身な颯。
その姿が可愛すぎて、少し――怖かった。
いつもとは違う意味で
胸の奥がざわつく。
理性を押し込めても
疼くものは止まらない。
柊はそっと立ち上がり
静かに衣服を脱いでいく。
露わになった身体には
歯形や、赤くついたキスの痕が
数十個ありとあらゆるところに
残っていた。
颯との関係の烙印。
「…この痕は颯が俺につけたものだよ。
これはご主人様の痕...だよね?」
低く抑えた声に
ほんの僅かな熱が混じっている。
「……この痕は...この身体は
颯にしか見せらんないよ」
「颯以外には恥ずかしくて...ははっ...」
頬を紅潮させながら
柊は目を逸らしながら微笑んだ。
颯は、その様子をしばらく
黙って見つめていた。
ほんの一瞬、ためらうように目を伏せる。
「だから....その俺は...颯ー」
けれど颯の手が
その言葉を遮る様にそっと伸びた。
「おやすみなさい。先輩。
今日もお疲れ様でした。
明日は入社式がんばりましょうねっ。」
触れられたくない場所に
触れられてしまった様な
苦しそうな、戸惑うような颯の表情は
今、初めて見たと思う。
心の奥がきゅっと
少し痛んだ気がした。
つづく
柊は寝ている颯を後ろから抱きしめていた。
――愛しさ、だった。
頑なに自分を「下の立場」として扱い
媚びるように甘えていたその身体を。
いまはただ、無性に――守りたくなった。
抱き寄せた腕の中で
颯がびくっと驚く。
「……せ、先輩?」
「なん、ですか……急に……」
その声は、いつもの
命令口調じゃなかった。
不意を突かれたみたいな
少し震える声だった。
柊は黙ったまま、ただそっと
強く、もう一度抱きしめた。
柊の腕の中、颯はじっと動かなかった。
呼吸が少しずつ浅くなり
耳の奥まで赤く染まっているのが見える。
「ごめん。颯。」
「…だからその...いいですもう。」
そう言いながらも、颯の声は震えていた。
怒っていたはずのその口ぶりには、棘がない。
ぎゅっと拳を握る音がする。
でも、それが柊のシャツの裾を
そっと掴む動作に変わるまで
そう時間はかからなかった。
「……別に、ほんとにもういいです。
許しました。先輩のこと」
小さな声で言い訳するように
呟きながら、颯は柊の胸に額を押しつける。
「ただ...ご主人様の前で
ああいうのはもうやめてください……」
柊は驚いた。
いつも余裕たっぷりに見える颯が
こんなふうに素直になるなんて。
「……もう少しこうしてていい?」
無意識に口から出た言葉に
颯の肩がピクッと揺れる。
「えっ……」
顔を赤くして
小さな拳で柊の胸をトン、と軽く叩く。
でもその手は、決して本気じゃない。
「……まあ……いいですけど……」
まるで、子犬が甘えるような声でそう言って、
颯はそっと柊の腕にに顔をうずめた。
やけに、素直で。
やけに、受け身な颯。
その姿が可愛すぎて、少し――怖かった。
いつもとは違う意味で
胸の奥がざわつく。
理性を押し込めても
疼くものは止まらない。
柊はそっと立ち上がり
静かに衣服を脱いでいく。
露わになった身体には
歯形や、赤くついたキスの痕が
数十個ありとあらゆるところに
残っていた。
颯との関係の烙印。
「…この痕は颯が俺につけたものだよ。
これはご主人様の痕...だよね?」
低く抑えた声に
ほんの僅かな熱が混じっている。
「……この痕は...この身体は
颯にしか見せらんないよ」
「颯以外には恥ずかしくて...ははっ...」
頬を紅潮させながら
柊は目を逸らしながら微笑んだ。
颯は、その様子をしばらく
黙って見つめていた。
ほんの一瞬、ためらうように目を伏せる。
「だから....その俺は...颯ー」
けれど颯の手が
その言葉を遮る様にそっと伸びた。
「おやすみなさい。先輩。
今日もお疲れ様でした。
明日は入社式がんばりましょうねっ。」
触れられたくない場所に
触れられてしまった様な
苦しそうな、戸惑うような颯の表情は
今、初めて見たと思う。
心の奥がきゅっと
少し痛んだ気がした。
つづく
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