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颯の有休:02
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風が、すすきをゆらしていた。
墓前に膝をつき、花を整え
もう一度石を指先でなぞり落ち葉を払う。
僕は深く息を吸った。
「……今日で
君がいなくなってから8年だよ」
声は、思っていたより掠れていた。
あれから一度も忘れたことはない。
毎年こうして、君に会いに来ている。
あの頃みたいに、毎日は無理だけど――
命日だけは、必ず。
「君の分まで生きて
君の分まで大人になって……
一応、社会人にも慣れてきたよ」
苦笑しながらも
胸の奥はじんわり熱くなる。
「ねぇ……僕が来てるの、わかってる?」
微笑もうとしたけど
唇はわずかに震えた。
君は、いつも僕が近くに来ても
目を合わせてくれなかった。
視界にすら入っていなかった。
でも……わかってたよね。僕のこと。
だから――今日も、わかってるよね。
墓前には、白い缶の
ミルクティーが置かれている。
プルタブに指をかけ
静かに押し上げると――
小さく、乾いた音が響く。
甘い香りがふわっと立ちのぼり
秋の風に混じって消えていった。
缶の表面は冷たく
僕の手のひらに
その温度がゆっくり移っていく。
まるで、遠い昔の君の手を
握り返しているように。
墓前に膝をつき、花を整え
もう一度石を指先でなぞり落ち葉を払う。
僕は深く息を吸った。
「……今日で
君がいなくなってから8年だよ」
声は、思っていたより掠れていた。
あれから一度も忘れたことはない。
毎年こうして、君に会いに来ている。
あの頃みたいに、毎日は無理だけど――
命日だけは、必ず。
「君の分まで生きて
君の分まで大人になって……
一応、社会人にも慣れてきたよ」
苦笑しながらも
胸の奥はじんわり熱くなる。
「ねぇ……僕が来てるの、わかってる?」
微笑もうとしたけど
唇はわずかに震えた。
君は、いつも僕が近くに来ても
目を合わせてくれなかった。
視界にすら入っていなかった。
でも……わかってたよね。僕のこと。
だから――今日も、わかってるよね。
墓前には、白い缶の
ミルクティーが置かれている。
プルタブに指をかけ
静かに押し上げると――
小さく、乾いた音が響く。
甘い香りがふわっと立ちのぼり
秋の風に混じって消えていった。
缶の表面は冷たく
僕の手のひらに
その温度がゆっくり移っていく。
まるで、遠い昔の君の手を
握り返しているように。
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