先輩は、僕のもの

ゆおや@BL文庫

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32.5(エロなしです)

颯の年越し:01

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短編小説「恋を知っていた頃の僕」
Chapter26.5「颯の有休」を
ご覧になってからをおすすめします。
ストーリー回です。
すみません。エロなしChapterです。
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久遠に到着した颯は
駅の改札を抜けて実家へ向かった。

冬休みの観光シーズン。
駅前の広場には観光客が溢れ
足湯には笑い声が絶えない。

湯気が立ち上り
賑やかな人波の中を
颯は足早に通り過ぎた。

──ふと、駅近くの売店の前で立ち止まる。
そこで、高校生の頃の記憶が鮮やかに甦った。

あれは高2年の秋、9月。
優真の命日が近づいていた頃。
墓参りに持って行くミルクティーを
買ったときのことだった。

店先で、修学旅行らしい二人組の
男子高校生が迷ったように立っていて
颯に声をかけてきた。

「同じ制服の団体、見かけなかった?」

「見てない」と答えると
背の高い少しチャラついた雰囲気の少年が
颯の手にしたミルクティーを見て首をかしげる。

「久遠って、そのミルクティー流行ってんの?」
「えっ、なんで?」
問い返す颯に、少年はさらりと言った。

「去年、久遠に来たときも
 君くらいの男の子がそれ飲んでたんだよ」

──胸の奥がざわついた。
――ミルクティーを、飲んでる男の子なんて
 沢山いるだろうけれど……

どこで? どんな子? いつ?

思わず畳みかけるように問いかけたが
少年は「幽霧の滝」と答えるだけ。

その直後、もう一人の
背の低い可愛らしい少年が
「あっ、向こうにいた!」と声を上げ
名前を呼んで仲間を見つける。

「悪い!」「ちょっと急いでて!」

そう言い残して
二人は駆け足で去っていった。

残された颯は
ミルクティーのぬくもりを手に感じながら
胸の奥に言いようのない切なさを覚えていた。

──今も、売店の前を通ると
その記憶が鮮やかに蘇る。

そして同時に颯の初恋の相手
亡くなってしまった優真の面影を
強く呼び覚ますのだった。

あの日、あの少年が言っていた
「幽霧の滝でミルクティーを飲んでいた男の子」

それは──優真だったのだろうか。
けれど、もう確かめる術はもうない。

そんな思いが胸に浮かんだまま
颯は実家の門をくぐる。

庭先では、ふうが尻尾を
ぶんぶん振りながら駆け寄ってきた。

足をかばうように引きずっているけれど
その勢いは衰えない。

大きな体で颯に覆い被さり
嬉しそうに顔を舐め回す。

「うわっ、ふう……!くすぐったいって!」

笑いながら、颯は
その柔らかな毛並みを抱きしめる。

「ふう、ただいま」
そう言うと、ふうは「ワン!」と元気な声で応えた。
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