先輩は、僕のもの

ゆおや@BL文庫

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35:柊と颯の3連休-2日目-

颯の遠隔操作ゲーム:02

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照れながらも
一緒に作った朝食を食べ終えると
その後は颯の部屋の模様替え。

家具を動かしたり
カーテンを掛け替えたり
気づけばあっという間に夕方になっていた。

「夕飯どうする?」
「買い物行きましょうか」
「先輩、今日も泊まっていきます?」
「その方が助かるかも」

そんな会話を交わしながら
2人は並んでスーパーへ向かう。

途中、新都の駅前広場に
差しかかったとき
活気ある人だかりに気づいた。

広場に作られた小さなステージから
透き通るような歌声が響いていた。

人だかりの中心に立つのは
若いボーカリスト。

その声量、表現力に
観客たちはスマホを掲げ
歓声を上げていた。

柊も立ち止まり
感嘆したように呟く。

「すごいな……。最近SNSでよく見る
 “期待の新人”ってやつだろ?
 名前は……確か――」

「……あの人……」
颯の口から思わず零れた。

「……颯?」
隣の柊が首を傾げると
颯ははっとして少し笑ってみせた。

「いえ……なんでもありません!いきましょう!」

そう言って足早に前を歩き出す。
その顔はどこか何かに
吹っ切れたように、清々しく。

けれどほんの一瞬――
その笑みの奥に
誰にも言えない感情の影が揺れていた。



買い出しを終えて帰宅すると
颯はすぐにエプロンをつけて台所に立った。

材料を並べ、手際よく包丁を
動かしていく姿は
まるで料理番組のようだ。

「俺もやるよ」
と柊が隣に立ち野菜を切り始める。

しかし、包丁の音はバラバラ、形もいびつ。
見かねた颯は思わず眉をひそめる。

「……先輩。
 それ料理じゃなくて工作ですよ?
 なんでそんなに不器用なんですか」

「う……」
柊は情けなく肩を落とした。

颯は慌てて笑いながらも
手を止めずに続けた。

「ほんと信じられない。
 先輩って一人暮らし歴何年なんですか?
 コンビニ弁当だけで生きてきたんですか?」

「うぅ……」
柊は返す言葉を失い
さらに情けない顔になる。

颯は一瞬「言いすぎたかな」
と思ったのか、ふっと笑みを
和らげて肩をすくめた。

「いいですか? 店で食べる料理より
 僕が作った方が絶対美味しいですから!」

その自信満々な顔が可愛くて
柊は苦笑しながらも凹む。

「……うぅぅ……」

それでも意地になったのか
柊は卵を手に取り
器に割ろうとする。

――パキッ。

白身と一緒に
殻まで豪快にボウルへ落ちた。

「……っ! もういいですから!
 本当に座っててください!」

颯は真っ赤な顔で慌てて駆け寄り
柊の手から卵を取り上げる。

「わ、悪い……」

凹みながらもどこか子供のように
しょんぼりする柊を、颯は呆れ半分
笑い半分でキッチンから追い出した。



出来上がった夕食を
二人で食べ始める。
皿の上には、きれいな
黄金色に焼かれた卵焼き。

一口食べた瞬間
柊の表情がパッと明るくなった。

「……っ、颯! 卵焼き
 めっちゃ美味しい! なにこれ! 」

「前よりさらにうまくなってない?
 作り方変えたの?」

大喜びしながら声を上げる柊は
いつもの冷静な柊ではなく
どこか、子供じみた表情だった。

颯は箸を止めて
ポカンとした顔をしてしまう。

耳まで赤くなりながら
嬉しそうに目を輝かせる柊を見つめた。

颯は照れ臭くなり
口元を覆うようにお茶をすすった。

「べ、別に作り方なんて変えてませんよ。
 ただ、まあ……練習は
 したかもしれませんけど」

照れた表情を隠そうと横を向く颯に
柊は首をかしげながらも
嬉しそうに箸を進め続けた。



夕食を終えると柊が立ち上がった。

「……せめて洗い物くらいは俺がやる。
 作ってもらってばかりじゃ悪いし」

シンクに向かい、エプロンもせず
不器用に食器を洗い始める。

颯はソファに深く腰を下ろし
足を組んでリモコンを
いじりながら小さく笑った。

「じゃあお言葉に甘えて。
 でも、割らないでくださいね?
 先輩って仕事以外ポンコツくんですから」

「……お前な」
苦笑いしながらも黙々と手を動かす柊。

しばらくして、颯はふっと立ち上がり
リビングから台所へ。

「……」

柊が気配に気づいて
振り返ろうとした瞬間
颯は背後からそっと腰に腕を回し
いきなり股間へと手を伸ばした。

「っ……! おい、颯……!」
不意を突かれて声を上げる柊。

「ふふ、やっぱり……
 洗い物してる姿も、えっちですね」

熱を帯びた吐息とともに囁きながら
指先で布越しに形をなぞり
ゆっくりと扱くように動かす。

水音と食器が触れる小さな音に
混じって、柊の喉から思わず漏れる息。

「……っ、やめろ……割れる……」

「割れてもいいですよ。
 だから大人しくしててください。」

無邪気な声色でそう言いながら
さらに手の動きを強めていった。
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