先輩は、僕のもの

ゆおや@BL文庫

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神城 颯という後輩:01

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7月の終わり。

外はまだ熱気を帯びていて
夜の風もぬるかった。

その日、会社の飲み会があった。

帰り道
終電を逃した柊と颯は
駅前で足を止めた。

「タクシー 呼びますか?」

颯がスマホを出しかけた時
彼はふと、上目遣いに柊を見た。

「それとも、うち 来ます?」

そう言った表情は
あくまで無邪気で
特に裏の意味はないように見えた。

「うち近いんで。
シャワーくらいなら貸せますよ。」

断る理由もなく
柊はその提案を受けた。

*  *  *

神城の部屋は
思っていたよりも整っていた。

余計なものは少なく
家具はシンプルで
少しだけ生活感がある。

「先にシャワー 使ってください。」

颯がそう言って
タオルとバスローブを渡してくれた。

風呂を済ませ
ソファに戻った柊は
部屋の壁に目を向けた。

無意識だった。

整然とした本棚の横のチェスト。
引き出しのすき間から
覗く黒い何かに
ふと目が止まった。

それは
手錠だった。

革製の拘束具が
二重のベルトとともに重ねられていた。

柊は一瞬
呼吸が止まりそうになったが
すぐに視線を逸らした。

何も見なかったふりをした。

まあ、そんな趣味の奴が
周りにいてもおかしくはない。

知らないふりが
いちばん楽だ。

「先輩 お待たせしました。」

颯が髪をタオルで拭きながら
部屋に戻ってきた。

Tシャツとハーフパンツ姿。

濡れた前髪の隙間から
その目がまっすぐに柊を見た。

「先輩ってかっこいいですよね。」

そう言った声音が
少しだけ低かった。

「なんか……ゾクゾク……します。」

柊は、笑って受け流した。

冗談にしては妙に湿っていたけど
酔っているせいだと思った。

それ以上
深く考える必要なんて
ないと思っていた。

その夜
あのとき見たものが
すべての始まりだったと知るのは

まだ
もう少し先のことだった。
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