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颯のマーキング:09
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布が軽く引かれ柊の手首が
わずかに揺れる。
逃げ場はなく
けれど力づくというわけでもない。
ただ、そこに込められた
“意志”だけが、強く伝わってくる。
「……近いって……」
吐き捨てるような声も
ほんの少し掠れていた。
颯の呼吸が近く
柊の頬をかすめては熱を残していく。
「……こうしてると、落ち着くんです」
「先輩の匂い……ふわっとしてて
男の人なのに、柔らかい」
柊の眉が少しだけ寄る。
「……何言ってんだよ」
「覚えててくださいね、僕の匂いも」
颯は低く囁く。
すぐ耳元で
そっと息を吐くように。
それだけで
首筋の産毛がふわりと逆立った。
「今、すぐじゃなくていいです。だけど……」
「この距離、この感覚、この空気――」
「先輩の中に、ちゃんと残したいです」
囁くたびに、微かに肌が触れる。
吐息が、香りが、視線が――
柊の五感に刻みつけられていく。
理屈じゃなかった。
ただ、動けなかった。
逃げようとしても……
どこにも逃げられなかった。
そして、そっと唇が触れ合う。
浅く、けれど、確かに。
押しつけるような強さはない。
でも、その分だけ、内側まで響いた。
「……ほら、ちゃんと覚えてください」
「僕の、全部」
――思考が、ふっと空白になる。
目の前に差し出されたのは
颯の胸元。
柊が戸惑って視線をそらそうとすると
颯が優しく微笑んで見せた。
けれど、その笑みの奥に潜むものは
どこか静かな狂気だった。
「先輩。……僕の匂い
嗅いでください」
「ちゃんと、覚えて欲しいんです。
僕のことを、香りで」
いつもと変わらない。
敬語のまま、それは静かに語られる。
布越しに漂ってくるのは
清潔感の奥に潜む、
わずかに湿った体温。
上司と部下の2人にとっては
明らかに不自然な距離感だった。
柊は唇を開きかけて
何も言えず、視線だけを逸らした。
だが、それを見ていた颯はさらに踏み込む。
「恥ずかしがらないでください。」
「……逃げても、きっと
残りますよ。僕の匂い」
耳元で囁かれた瞬間
吐息が肌をかすめて震えが走る。
思わず目を閉じてしまった柊に
颯はさらに畳み掛けるように近づく。
「首元、いいですか?
ここ、香りがよく残るんです」
「嗅いでください。
忘れられなくなるくらいに」
その言葉とともに
まるで子猫のように
頬をすり寄せてくる彼の香りが近づいてきた。
柊の視界はぼやけた。
心臓の鼓動だけがやけにうるさく響く。
どこまでも柔らかい言葉で
容赦のない支配。
まるで甘い檻の中に
自分だけを閉じ込めようとしてくる。
わずかに揺れる。
逃げ場はなく
けれど力づくというわけでもない。
ただ、そこに込められた
“意志”だけが、強く伝わってくる。
「……近いって……」
吐き捨てるような声も
ほんの少し掠れていた。
颯の呼吸が近く
柊の頬をかすめては熱を残していく。
「……こうしてると、落ち着くんです」
「先輩の匂い……ふわっとしてて
男の人なのに、柔らかい」
柊の眉が少しだけ寄る。
「……何言ってんだよ」
「覚えててくださいね、僕の匂いも」
颯は低く囁く。
すぐ耳元で
そっと息を吐くように。
それだけで
首筋の産毛がふわりと逆立った。
「今、すぐじゃなくていいです。だけど……」
「この距離、この感覚、この空気――」
「先輩の中に、ちゃんと残したいです」
囁くたびに、微かに肌が触れる。
吐息が、香りが、視線が――
柊の五感に刻みつけられていく。
理屈じゃなかった。
ただ、動けなかった。
逃げようとしても……
どこにも逃げられなかった。
そして、そっと唇が触れ合う。
浅く、けれど、確かに。
押しつけるような強さはない。
でも、その分だけ、内側まで響いた。
「……ほら、ちゃんと覚えてください」
「僕の、全部」
――思考が、ふっと空白になる。
目の前に差し出されたのは
颯の胸元。
柊が戸惑って視線をそらそうとすると
颯が優しく微笑んで見せた。
けれど、その笑みの奥に潜むものは
どこか静かな狂気だった。
「先輩。……僕の匂い
嗅いでください」
「ちゃんと、覚えて欲しいんです。
僕のことを、香りで」
いつもと変わらない。
敬語のまま、それは静かに語られる。
布越しに漂ってくるのは
清潔感の奥に潜む、
わずかに湿った体温。
上司と部下の2人にとっては
明らかに不自然な距離感だった。
柊は唇を開きかけて
何も言えず、視線だけを逸らした。
だが、それを見ていた颯はさらに踏み込む。
「恥ずかしがらないでください。」
「……逃げても、きっと
残りますよ。僕の匂い」
耳元で囁かれた瞬間
吐息が肌をかすめて震えが走る。
思わず目を閉じてしまった柊に
颯はさらに畳み掛けるように近づく。
「首元、いいですか?
ここ、香りがよく残るんです」
「嗅いでください。
忘れられなくなるくらいに」
その言葉とともに
まるで子猫のように
頬をすり寄せてくる彼の香りが近づいてきた。
柊の視界はぼやけた。
心臓の鼓動だけがやけにうるさく響く。
どこまでも柔らかい言葉で
容赦のない支配。
まるで甘い檻の中に
自分だけを閉じ込めようとしてくる。
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