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颯に手錠をかけられて:03
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柊の震える声がこぼれた直後、
颯はくすっと、まるで悪戯が
成功した子供のように笑った。
「欲しい?
ちょっと違いますよね?」
その声は、どこまでも優しくて、
でも、逃げ場を塞ぐような甘さを含んでいた。
「お願いするとき……
そんな言葉遣いで
いいんですか?先輩……?」
縛られた手元にそっと触れながら、
耳元に口を寄せて
囁くように重ねてくる。
「ちゃんと…言ってください……」
「どうやって、“欲しい”って伝えるか。」
柊は、唇を噛んだ。
言いたい。でも、言えない。
羞恥と欲望がせめぎ合い
熱く火照った身体が
動けないまま震えている。
「先輩……言葉にしないと
叶えてあげられませんよ?」
「僕、意地悪なんで……
わからないふり、しちゃいますから。」
その声が、意識の奥を焦がしていく。
あの日のような支配のトーン。
けれど今は、もっと深く入り込んでくる。
柊は、吐息を震わせたまま、
必死に自分の中にある言葉を探し
そして、搾り出すように――
「……お願い、します」
「颯の……匂いを……」
「俺に……ください……」
言い終えた瞬間
身体が熱に包まれる。
見えない視界の中
ふっと笑う気配が落ちてくる。
「……よくできました。」
「じゃあ、ご褒美……
いっぱいあげますね。」
そう言った颯の声は
今まででいちばん甘く
そして、支配者のそれだった。
▶︎
「……寒いですね。
暖房、つけましょうか。」
そう言って、颯はリモコンを手に取り、
空調の温度をゆっくりと上げていく。
ピッと電子音が鳴る。
すぐに、吹き出し口から熱風が
部屋全体に広がっていく。
空気がじんわりと熱を帯び、
閉じ込められた身体の
内側の温度と溶け合うように、
柊の肌にもじっとりと汗が滲みはじめた。
その時、布ずれの音が落ちる。
耳を澄ませるまでもなく聞こえてきた。
服が滑り落ちる音。
肌と肌がふれる小さな湿り気の音。
目隠し越しに、微かに感じる衣擦れの動き。
──颯が、脱いでいる。
匂いがもうすぐ支配してくれる……
その事実だけで
柊の中の緊張が跳ね上がる。
鼻を掠めるように届く、
ほんのりとした石けんの匂いと
混じりはじめる人肌の匂い。
それが、空調の熱風と
一緒に絡みついてくる。
「先輩……?」
颯の声がまた、耳元に近づく。
「もう、こんなに汗かいて……
可愛いですね。」
「身体も、すっごく素直で。」
肌をなぞるような指の感触。
ゆっくり、わざと熱のこもった場所を
探すような、ねっとりとした触れ方。
「ねえ、先輩……どこまで、されたいのか……
ちゃんと、教えてくださいね?」
「全部、聞いてあげますから。」
そう囁く声音は、
甘くて、あたたかくて、
そして、底知れないほど支配的だった。
▶︎
颯はくすっと、まるで悪戯が
成功した子供のように笑った。
「欲しい?
ちょっと違いますよね?」
その声は、どこまでも優しくて、
でも、逃げ場を塞ぐような甘さを含んでいた。
「お願いするとき……
そんな言葉遣いで
いいんですか?先輩……?」
縛られた手元にそっと触れながら、
耳元に口を寄せて
囁くように重ねてくる。
「ちゃんと…言ってください……」
「どうやって、“欲しい”って伝えるか。」
柊は、唇を噛んだ。
言いたい。でも、言えない。
羞恥と欲望がせめぎ合い
熱く火照った身体が
動けないまま震えている。
「先輩……言葉にしないと
叶えてあげられませんよ?」
「僕、意地悪なんで……
わからないふり、しちゃいますから。」
その声が、意識の奥を焦がしていく。
あの日のような支配のトーン。
けれど今は、もっと深く入り込んでくる。
柊は、吐息を震わせたまま、
必死に自分の中にある言葉を探し
そして、搾り出すように――
「……お願い、します」
「颯の……匂いを……」
「俺に……ください……」
言い終えた瞬間
身体が熱に包まれる。
見えない視界の中
ふっと笑う気配が落ちてくる。
「……よくできました。」
「じゃあ、ご褒美……
いっぱいあげますね。」
そう言った颯の声は
今まででいちばん甘く
そして、支配者のそれだった。
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「……寒いですね。
暖房、つけましょうか。」
そう言って、颯はリモコンを手に取り、
空調の温度をゆっくりと上げていく。
ピッと電子音が鳴る。
すぐに、吹き出し口から熱風が
部屋全体に広がっていく。
空気がじんわりと熱を帯び、
閉じ込められた身体の
内側の温度と溶け合うように、
柊の肌にもじっとりと汗が滲みはじめた。
その時、布ずれの音が落ちる。
耳を澄ませるまでもなく聞こえてきた。
服が滑り落ちる音。
肌と肌がふれる小さな湿り気の音。
目隠し越しに、微かに感じる衣擦れの動き。
──颯が、脱いでいる。
匂いがもうすぐ支配してくれる……
その事実だけで
柊の中の緊張が跳ね上がる。
鼻を掠めるように届く、
ほんのりとした石けんの匂いと
混じりはじめる人肌の匂い。
それが、空調の熱風と
一緒に絡みついてくる。
「先輩……?」
颯の声がまた、耳元に近づく。
「もう、こんなに汗かいて……
可愛いですね。」
「身体も、すっごく素直で。」
肌をなぞるような指の感触。
ゆっくり、わざと熱のこもった場所を
探すような、ねっとりとした触れ方。
「ねえ、先輩……どこまで、されたいのか……
ちゃんと、教えてくださいね?」
「全部、聞いてあげますから。」
そう囁く声音は、
甘くて、あたたかくて、
そして、底知れないほど支配的だった。
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