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首輪の代わりに着けられた痕:02
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「……先輩」
押し付けられるように
刻まれた咎愛の印。
まだ火照るその上を
颯の指先が、そっとなぞる。
優しく。
まるで、壊してしまったおもちゃを
撫でる子どものように。
柊の肌がぴくりと震える。
今さら優しくされても
身体はその痛みを忘れていない。
けれど次の瞬間――
颯が、すとん、と柊の胸元に頬を寄せた。
すり、と、首筋に小さく頭を擦りつける。
まるで子猫のように。
愛されたくて、触れてほしくて、
でも、「自分の匂いを残すように」
肩口、鎖骨、胸元――
肌に残る汗と熱の上を
まるで確かめるようにすり寄るたび、
柊の心臓がいやらしく跳ねた。
そして、ふわっと笑う。
本当に、なにも知らないような、無垢な笑み。
「……先輩、ありがとうございました」
「すごく、気持ちよかったです」
満面の笑みを浮かべたまま、
唇をそっと重ねてくる。
軽い、けれど拒めない。
子猫のように甘えながら
獣のように支配する。
それが、神城颯だった。
ブツン、と部屋の灯りが落とされ
あたりは間接照明のぬるい光だけになった。
暖房の低いうなりと
カーテン越しの
冬の風音だけが静かに響いている。
ソファには柊。
さっきまで吊るされ
支配されていた身体を
ようやく沈めた。
背もたれに寄りかかった背中が
じくじくと痛む。
胸元――
あの唇が、あの声が、
あの舌が……刻みつけた赤い烙印。
熱が引かず、衣服の下で
ズキズキと疼いている。
さっきまで
あんなことをしていたのに。
ベッドからは、ふわりと布団の音。
毛布にくるまった颯が、小さく息を吐く。
「……先輩仕事納め
お疲れ様でした。」
「ゆっくり休みましょうね」
穏やかな
何の変哲もない労いの声。
それだけを残して
颯は背を向けて布団に潜り込んでいった。
まるで、何もなかったかのように。
(…………)
柊はソファの上
毛布にくるまりながら視線をさまよわせる。
まだ熱い。
まだ鼻の奥も喉の奥も
焼けるようにざわめいている。
あんなに恥をかかされ、
あんなに肌を這われ、
あんなに――躾けられたばかりなのに。
なのに、彼は何も言わない。
あどけなく、穏やかで
まるで犬を可愛がる少年のように。
(……俺は――)
犬だった。俺は……完全に。
そして今、「先輩」と呼ばれ
何もなかったように「上司」に戻されている。
烙印だけが、熱く、柊の肌に残されたまま。
(どうすればいいんだよ……
明日から……)
答えなんて
きっと颯しか持っていない。
だけど今
彼はただの“後輩”として、眠っている。
柊は、目を閉じた。
そのまま眠れるほど
身体も心も、軽くはなかった。
押し付けられるように
刻まれた咎愛の印。
まだ火照るその上を
颯の指先が、そっとなぞる。
優しく。
まるで、壊してしまったおもちゃを
撫でる子どものように。
柊の肌がぴくりと震える。
今さら優しくされても
身体はその痛みを忘れていない。
けれど次の瞬間――
颯が、すとん、と柊の胸元に頬を寄せた。
すり、と、首筋に小さく頭を擦りつける。
まるで子猫のように。
愛されたくて、触れてほしくて、
でも、「自分の匂いを残すように」
肩口、鎖骨、胸元――
肌に残る汗と熱の上を
まるで確かめるようにすり寄るたび、
柊の心臓がいやらしく跳ねた。
そして、ふわっと笑う。
本当に、なにも知らないような、無垢な笑み。
「……先輩、ありがとうございました」
「すごく、気持ちよかったです」
満面の笑みを浮かべたまま、
唇をそっと重ねてくる。
軽い、けれど拒めない。
子猫のように甘えながら
獣のように支配する。
それが、神城颯だった。
ブツン、と部屋の灯りが落とされ
あたりは間接照明のぬるい光だけになった。
暖房の低いうなりと
カーテン越しの
冬の風音だけが静かに響いている。
ソファには柊。
さっきまで吊るされ
支配されていた身体を
ようやく沈めた。
背もたれに寄りかかった背中が
じくじくと痛む。
胸元――
あの唇が、あの声が、
あの舌が……刻みつけた赤い烙印。
熱が引かず、衣服の下で
ズキズキと疼いている。
さっきまで
あんなことをしていたのに。
ベッドからは、ふわりと布団の音。
毛布にくるまった颯が、小さく息を吐く。
「……先輩仕事納め
お疲れ様でした。」
「ゆっくり休みましょうね」
穏やかな
何の変哲もない労いの声。
それだけを残して
颯は背を向けて布団に潜り込んでいった。
まるで、何もなかったかのように。
(…………)
柊はソファの上
毛布にくるまりながら視線をさまよわせる。
まだ熱い。
まだ鼻の奥も喉の奥も
焼けるようにざわめいている。
あんなに恥をかかされ、
あんなに肌を這われ、
あんなに――躾けられたばかりなのに。
なのに、彼は何も言わない。
あどけなく、穏やかで
まるで犬を可愛がる少年のように。
(……俺は――)
犬だった。俺は……完全に。
そして今、「先輩」と呼ばれ
何もなかったように「上司」に戻されている。
烙印だけが、熱く、柊の肌に残されたまま。
(どうすればいいんだよ……
明日から……)
答えなんて
きっと颯しか持っていない。
だけど今
彼はただの“後輩”として、眠っている。
柊は、目を閉じた。
そのまま眠れるほど
身体も心も、軽くはなかった。
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