81 / 258
19
満員電車で発情させられて:02
しおりを挟む
そのころ――久遠。
颯は、久しぶりに帰った実家の庭を
"犬"に追いかけ回されていた。
「ちょ、まってってば!
こっち来ないでって言ってるのに……!」
雪の残る石畳を
ぴょんぴょんと跳ねる犬。
颯の実家の、柴犬の「ふう」
そのあとを、必死で逃げながら
文句を言う颯の声が、庭に響く。
「なんでいつも僕だけなの~っ!」
と、泣きそうな声で叫べば、
縁側から見ていた
母親がクスリと笑って言った。
「そりゃあんたが
一番甘やかしてたからでしょ」
「えぇ……そんなことなーい!!」
「ほら、顔舐められる前に
捕まえなさいよ~」
そう言いながらも
捕まって押し倒された颯は、
犬の舌で顔を舐められながら
観念したように笑った。
毛まみれの自分を払いながら
膝に手をついて息を整える。
――そこには
支配者の顔なんてどこにもなかった。
「あー、疲れた……」
ふと、澄んだ冬の空を仰ぐ。
雪をかぶった屋根
遠く連なる山の稜線
そして広がる白い空気。
(先輩、今なにしてるんだろ)
また、自分のこと思い出して
疼いてくれてたら――嬉しいな。
そんな気持ちが
思わず浮かんでしまったことに
颯は小さく眉をひそめた。
……嬉しい、なんて。
どうして、そんな感情が出てくるんだろう。
滲み出てくるその感情に
心のどこかで、ぞわりとした
“気持ち悪さ”を覚えた。
それでも視線は
月の向こうの誰かを探していた。
颯は、久しぶりに帰った実家の庭を
"犬"に追いかけ回されていた。
「ちょ、まってってば!
こっち来ないでって言ってるのに……!」
雪の残る石畳を
ぴょんぴょんと跳ねる犬。
颯の実家の、柴犬の「ふう」
そのあとを、必死で逃げながら
文句を言う颯の声が、庭に響く。
「なんでいつも僕だけなの~っ!」
と、泣きそうな声で叫べば、
縁側から見ていた
母親がクスリと笑って言った。
「そりゃあんたが
一番甘やかしてたからでしょ」
「えぇ……そんなことなーい!!」
「ほら、顔舐められる前に
捕まえなさいよ~」
そう言いながらも
捕まって押し倒された颯は、
犬の舌で顔を舐められながら
観念したように笑った。
毛まみれの自分を払いながら
膝に手をついて息を整える。
――そこには
支配者の顔なんてどこにもなかった。
「あー、疲れた……」
ふと、澄んだ冬の空を仰ぐ。
雪をかぶった屋根
遠く連なる山の稜線
そして広がる白い空気。
(先輩、今なにしてるんだろ)
また、自分のこと思い出して
疼いてくれてたら――嬉しいな。
そんな気持ちが
思わず浮かんでしまったことに
颯は小さく眉をひそめた。
……嬉しい、なんて。
どうして、そんな感情が出てくるんだろう。
滲み出てくるその感情に
心のどこかで、ぞわりとした
“気持ち悪さ”を覚えた。
それでも視線は
月の向こうの誰かを探していた。
9
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
壁乳
リリーブルー
BL
ご来店ありがとうございます。ここは、壁越しに、触れ合える店。
最初は乳首から。指名を繰り返すと、徐々に、エリアが拡大していきます。
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。
じれじれラブコメディー。
4年ぶりに続きを書きました!更新していくのでよろしくお願いします。
(挿絵byリリーブルー)
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる