先輩は、僕のもの

ゆおや@BL文庫

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足の匂いに侵されて:02

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颯は、ソファに浅く腰かけたまま
体育座りの体勢を崩す。
靴下に指をかけ、くいっと脱ぐと――
そのまま、ゆっくりと脚を伸ばした。

「……先輩、ほら」

素足のつま先が
柊の顔の前に差し出される。
わざとらしいほど自然に。
何の説明もなく
それが“ご褒美”であるかのように。

柊の喉が、ごくんと鳴る。

瞬間、全身に電流が走ったようだった。
顔を背けることも
抗うことも、できなかった。

鼻先がふれた。
その瞬間――

「……っ、」

柊の鼻から、あられもない音が漏れる。
くん、くん……と、犬のように。
嗅いで、吸って、奪うように貪る。

颯の足に、頬を押し当てる。
吐息が乱れ、意識が霞んでいく。

「ふふ……やっぱり
 好きなんですね。僕の匂い」

静かに笑う声が、耳の奥に落ちた。
だけどもう、理性は追いつかない。

「そんなに鼻息荒くして……っ。
 そんなに我慢してたんですか?」

颯の声も、少しだけ荒い。
じわじわと昂ぶっていく熱が
呼吸の端に滲む。

「……先輩、顔、真っ赤ですよ。
 そんな必死になって嗅がなくても
 逃げたりしませんよ」

まるで慰めるように。
けれどその言葉は、甘く、残酷だった。

柊は、ただ応えるように――
さらに深く、香りを吸い込む。

鼻腔を満たすのは
颯の肌の匂い。汗の残り香。
本能を刺激する、強くて濃密な香り。

もう、逃げられない。
頭の中まで、支配されていく感覚。
自分がどれだけ
“この匂い”を欲しているかを、
全身が証明してしまっていた。

そして、颯は――
そのすべてを理解したうえで、
優しく笑っていた。
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