先輩は、僕のもの

ゆおや@BL文庫

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足の匂いに侵されて:03

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颯は、足を軽く組み替えると
両足のつま先を柊の頬に当てた。

それから、ゆっくりと――頬から額へ
鼻筋から唇へと、滑らせるように擦り付けていく。

「……ねぇ、気持ちいいですか? 僕の足、」

挑発的な声音が
柊の耳の奥をくすぐる。
柊は、うっすらと目を閉じたまま
小さく息を吐く。

息づかいが、わずかに荒い。
足の感触、肌の温度
微かに残る布地の匂い――
すべてが、快感として脳を支配していく。

「……指、舐めて」

その命令は
ためらいなく落とされた。

柊のまぶたが、ピクリと震える。

「……はい」

返事は、恍惚の吐息混じりだった。

次の瞬間、柊はそっと顔を傾け、
颯の右足の指を一つずつ
唇に迎え入れる。

ぴちゃ――
ぬるりと音を立て、舌が絡みつく。

「……っ、」

颯の喉から、かすかな吐息が漏れた。

柊はゆっくり、丁寧に這わせるように
指の付け根まで舌を這わす。

ぴちゃ、ぴと、じゅる――
やわらかな音が部屋に響く。

唇が、舌が、まるで愛撫のように
動き続けるたびに、
颯の呼吸が徐々に荒くなっていった。

「……そんなに、美味しいんですね。
 僕の足の指、」

言葉は意地悪に笑っていたけれど、
その吐息には
隠しきれない興奮が滲んでいた。

ちゅぷ、ぬちゅ、ぺろぺろ…

柊はただ静かに、夢中でしゃぶる。
唾液の音が、欲望を飾らずに曝け出す。
それが“足”であることすら
もう意味を失っていた。

それは、命令と服従。
支配と快楽。
すべてが溶け合った、二人だけの儀式。



「……もう、いいですよ」

不意に、颯がぴたりと命令を止めた。
柊の口元から
名残惜しげに指が抜かれる。

舌先が空をなぞるように宙を彷徨い
唇がわずかに震えた。

まだ足りない――そう言いたげに
柊は静かに、上目遣いで颯を見上げた。

濡れた瞳。潤んだ唇。
熱に浮かされたような頬。
抑えきれない欲望が
柊の表情に滲んでいた。

颯は、それを見てふっと笑う。
まるで、小動物のしぐさを愛でるように。

「……ふふ...そんな顔して。
 ほんとに、可愛いワンちゃん」

その声は甘く、そして意地悪にとろけていた。

「じゃあ……ご褒美、あげなきゃね」

そう言って、唾液で濡れた
自分の足の指を、柊の鼻先へと添える。

ぐっと軽く押し当てるようにして
鼻の穴に指先を馴染ませる。

「ちゃんと、僕の匂い、嗅いでてください。
 ほら、さっきまで夢中で
 舐めてたものでしょ?」

鼻先に、体温と唾液と
皮膚の匂いが溶けていく。

柊は、目を閉じ
微かに鼻を鳴らした。
その姿はまるで、主人の匂いを
懸命に記憶する忠犬のようで――

それを見た颯は、口元を緩めながら
ほんの少しだけ息を漏らした。

「……可愛いなぁ、ほんと」

その吐息の奥には、愛しさとも支配欲とも
つかない感情が、静かに潜んでいた。
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