先輩は、僕のもの

ゆおや@BL文庫

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足の匂いに侵されて:04

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「可愛いワンコには……
 ちゃんと、ご褒美あげないと」

そう呟いて、颯は静かに立ち上がった。

視線は柊を逃がさないまま
わざとらしくゆっくりとシャツの裾に指をかける。
脱ぎかけの布地が肌を滑るたび、柊の喉がごくりと鳴る。

「……ちゃんと、見ててくださいね?
 目、逸らしたらダメですよ」

笑みを浮かべながら
颯はシャツを床に落とす。
細身の身体に浮かぶ呼吸の起伏。
その指先は滑るように肌をなぞる。
露わになった胸元を隠そうともせず
堂々とした所作で、柊の目を試すように動く。

そして――黒のスラックスに手をかけると
わざとゆっくりとベルトを外した。

「ねえ、先輩」

カチ、と金具の音が鳴る。
柊の視線が自然と吸い寄せられる。

「さっきまで、あんなに夢中に
 なってたじゃないですか。
 舐めて、擦り寄って、甘えて……」

スラックスが滑り落ち
ボクサーの上から
膨らんだそれがあらわになる。

「可愛いワンコ見てたら……
 僕の“ここ”、こんなになっちゃってて」

そう言って、颯はパンツ越しに
自身を指先でなぞった。

「ねえ、どうしてくれるんですか?
 先輩のせいですよ……?」

吐息混じりの声が、あまりにも甘く
あまりにも意地悪に降り注ぐ。

「責任、とってもらわなきゃ――ね?」

そう言いながら
颯は膝をついて柊の顔の
すぐ前へと身を寄せる。
汗と体温が混ざった匂いが
ほんのりと鼻先に漂った。

柊は目を見開いたまま動けずにいた。
羞恥と戸惑い、そしてなにより――
理屈では否定できないほどの
熱が、身体を包んでいた。



柊は、動けなかった。

目の前で膨らみを見せるそれに
視線を奪われたまま、喉が乾くのを感じる。
だが――忘れられない記憶が、脳裏に滲んでくる。

ふと、過去の光景が甦る。
逃れられないほど
追い詰められた、あの夜のこと。

怯えにも似た緊張の中で
それを咥えた自分。
唇に残った熱と、舌に伝わる塩気と
頬に這う颯の指先。

(……全部、覚えてる)

「……覚えてますよね? 先輩」

颯の声が、ふっと低くなる。

「僕の“ここ”、ちゃんと口に入れたの。
 ……最後まで...飲み干した事...」

柊の目が揺れた。
その様子に、颯の唇が綻ぶ。

「そのときの顔……すっごく可愛かった。
 思い出して、こうしてるだけで……
 また、したくなっちゃうくらい」

指先が、柊の頬に触れる。
震える肌をなぞるように
耳元まで撫でて――

「今度は、“ご褒美”として。……ね?」

そう囁く声音は
まるで恋人のように甘く、
でもどこまでも支配的で逃げ場がない。

「……自分から、欲しいって
 言ってくれたら嬉しいなあ」

柊の唇が震える。
否定したいのに身体が熱に浮かされて
拒絶の言葉が出てこない。

鼻先にはまだ、匂いが残っている。
あの日、自分が咥えたときと同じ――
熱と匂いと、羞恥がすべてを包んでいた。
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