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颯の腋を嗅ぎたくて:02
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露わになったしっとりと汗ばむ
滑らかな脇のくぼみが
ほんの数センチ先にある。
颯は何も言わず
静かに腕を上げていた。
肌の下の血管がほんのり
透けて見えるほど白くて、
なのに、その内側には──
確かな“熱”が潜んでいた。
「……どうぞ。」
その言葉が、すべての理性を外した。
柊は、おそるおそる顔を近づける。
鼻先が、やがて肌に触れた。
その瞬間、頭が真っ白になる。
――濃い。
温かくて、湿った空気。
汗が滲んだあとの、どこか甘くて
ほんのり酸味を帯びた皮膚の香り。
肌の奥から立ち上る、“匂い”。
柊は、思わず息を止めた。
けれど、次の瞬間には──
本能が勝っていた。
すう、と。
深く、鼻から吸い込む。
濃密な香りが喉奥を撫で
頭にまで昇っていく。
「……っ、あぁ……」
思わず洩れた、喉の震え。
自分がいま、何をしているのか──
わかっている。
それでも、もう止まれなかった。
もう一度、ゆっくりと。
鼻先を肌にすり寄せながら
空気を吸い込む。
すぅーっ…………
香りが濃い。熱い。
▶︎
柊は鼻先をつるんとした脇に
押し当てたまま、
静かに、深く
ゆっくりと香りを吸い込む。
そのたびに、頭の奥が
じんじんと熱を帯びていく。
(……濃い。……すごい……)
生々しいのに不思議と
嫌悪感はなかった。
むしろ──満たされる。
だがその一方で
脳裏に浮かぶのは
あまりにも整った颯の“日常”だった。
職場で、隣のデスクに座る颯。
小さな体で、真面目に書類に目を通し
キーボードを軽やかに打っている。
人当たりがよく、職場からも
取引先からも好かれる存在。
会議でプレゼンをするときは
静かな敬語で
明確に要点を述べて
時々見せる小さな笑顔。
「せんぱーい」と
無邪気な笑顔で手を振る……
そんな颯が──
いま、腕を持ち上げ、
脇を晒して、匂いを嗅がせている。
(……おかしくなりそうだ……)
(あんなに清潔感のある颯が……
こんな、匂いを……)
甘くて、熱くて、脳を直接
撫でてくるような、いやらしい匂い。
深く、鼻を押し当てて吸い込む。
すぅ…… ん……
思わず、喉が鳴る。
理性が焼けるように
夢中に部下の脇の匂いを
貪る様に嗅ぐ自分が
恥ずかしいのに──
気持ちよかった。
鼻先をすり寄せるたびに、
独占欲のような感情が
静かに柊の内側を染めていく。
(……堕ちてる。俺……ほんとに)
それでも、止まらない。
止まりたくないと
どこかで思っている自分がいた。
滑らかな脇のくぼみが
ほんの数センチ先にある。
颯は何も言わず
静かに腕を上げていた。
肌の下の血管がほんのり
透けて見えるほど白くて、
なのに、その内側には──
確かな“熱”が潜んでいた。
「……どうぞ。」
その言葉が、すべての理性を外した。
柊は、おそるおそる顔を近づける。
鼻先が、やがて肌に触れた。
その瞬間、頭が真っ白になる。
――濃い。
温かくて、湿った空気。
汗が滲んだあとの、どこか甘くて
ほんのり酸味を帯びた皮膚の香り。
肌の奥から立ち上る、“匂い”。
柊は、思わず息を止めた。
けれど、次の瞬間には──
本能が勝っていた。
すう、と。
深く、鼻から吸い込む。
濃密な香りが喉奥を撫で
頭にまで昇っていく。
「……っ、あぁ……」
思わず洩れた、喉の震え。
自分がいま、何をしているのか──
わかっている。
それでも、もう止まれなかった。
もう一度、ゆっくりと。
鼻先を肌にすり寄せながら
空気を吸い込む。
すぅーっ…………
香りが濃い。熱い。
▶︎
柊は鼻先をつるんとした脇に
押し当てたまま、
静かに、深く
ゆっくりと香りを吸い込む。
そのたびに、頭の奥が
じんじんと熱を帯びていく。
(……濃い。……すごい……)
生々しいのに不思議と
嫌悪感はなかった。
むしろ──満たされる。
だがその一方で
脳裏に浮かぶのは
あまりにも整った颯の“日常”だった。
職場で、隣のデスクに座る颯。
小さな体で、真面目に書類に目を通し
キーボードを軽やかに打っている。
人当たりがよく、職場からも
取引先からも好かれる存在。
会議でプレゼンをするときは
静かな敬語で
明確に要点を述べて
時々見せる小さな笑顔。
「せんぱーい」と
無邪気な笑顔で手を振る……
そんな颯が──
いま、腕を持ち上げ、
脇を晒して、匂いを嗅がせている。
(……おかしくなりそうだ……)
(あんなに清潔感のある颯が……
こんな、匂いを……)
甘くて、熱くて、脳を直接
撫でてくるような、いやらしい匂い。
深く、鼻を押し当てて吸い込む。
すぅ…… ん……
思わず、喉が鳴る。
理性が焼けるように
夢中に部下の脇の匂いを
貪る様に嗅ぐ自分が
恥ずかしいのに──
気持ちよかった。
鼻先をすり寄せるたびに、
独占欲のような感情が
静かに柊の内側を染めていく。
(……堕ちてる。俺……ほんとに)
それでも、止まらない。
止まりたくないと
どこかで思っている自分がいた。
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