先輩は、僕のもの

ゆおや@BL文庫

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颯の支配:02

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颯の笑みが、すっと形を変えた。

優しい笑顔のまま
瞳の奥に熱を孕ませる。

「じゃあ、先輩。」

声のトーンがわずかに低く
ゆっくりと、間を持って落ちてくる。

「僕に支配してほしいですか?」

柊の喉がわずかに動いた。

言葉にならない息を呑んだ
その反応を見て、颯は静かに笑う。

「僕のこと……欲しいですか?」

わかっていて、訊いてくる。

逃げ場を与えないような視線。
あの夜、柊のすべてを奪うように
覆い被さってきた、あの時の“顔”。

「この二ヶ月ちょっと。」

「先輩は
 本当はどうしたかったんですか?」

膝をすり寄せて、すぐ目の前まで来る。

「僕に、どうされたかったんですか?」

ひとつひとつの言葉が、耳ではなく
脳の奥に直接触れてくる。

すべてを知っていながら
あえて問い詰めてくる──
甘さと暴力の境界を滲ませるような
颯のやり方だった。

柊の呼吸が浅くなる。
頬が熱を帯びてゆくのを
自分でも抑えられない。

そして、今日もまた
逃げ場は、なかった。

▶︎

喉が詰まったように、声が出ない。
けれど、それだけで──
すべてを悟られてしまう気がした。

じっと視線を外せずにいる
柊を見つめながら、
颯は、ふっと甘い笑みを浮かべた。

「……言葉にできないんですよね、先輩。」

その声は優しくて、ひどく残酷だ。

「でも、大丈夫です。
 僕、わかってますから。」

ゆっくりと、顔が近づいてくる。
距離が縮まるたびに、呼吸が触れ合う。
甘く、じわりと支配の香りが満ちていく。

「明日から
 仕事休みですから……」

耳元に唇を寄せて、囁くように。

「だから、ゆっくり……
 たっぷり……可愛がってあげます。」

言葉にできない想いごと、
すべて飲み込むように。

逃がすつもりなんて、最初からない。
そんな気配を纏いながら、
颯は、そっと柊の頬に指先を添えた。

柊の心の奥で、
また静かに──

この2ヶ月待ち望んでいた
甘く、疼きが始まる。

▶︎

心はまだ戸惑っているのに、
肌の感覚だけが
あの夜を思い出している。
身体が先に、支配を欲してしまっていた。

それを──颯は、見抜いていた。

少し細められた瞳が
静かに柊を見下ろす。
まるで、すべてを読んでいるように。

「ねえ、先輩──」

甘く囁くその声は、
柔らかくて、でも逃がさない。

「まずは……どうして欲しいか
 ちゃんと僕にお願いしてください。」

静かに、でも確実に突きつけられる。

「言ってくれなきゃ……できません。」

柊は、ぐっと喉を鳴らした。
視線を落として、膝の上で指をぎゅっと握る。
顔が熱い。息が苦しい。

それでも、欲しくてたまらなかった。

「……拘束して、欲しい……です。」

言った瞬間
頬がますます熱を帯びた。

逃げ出したいのに、足が動かない。
この時を待っていた自分がいたから。

颯は、一瞬、目を細める。

満足げに、どこか嬉しそうに。

「…いい子です…よく言えました。」

ゆっくりと柊に近づきながら、
その声が、また少し低くなる。

「じゃあ、今日は……たっぷりと。」

その先の言葉は
まだ告げられていないのに、
柊の心も身体も、すでに準備を始めていた。
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