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第十一章

手抜きチャーハンと、愛しい君へ⑨

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三ノ宮が会社を辞めたことを来未に伝えたら、きっとまた傷つくだろう。悲しげな顔の彼女を思い浮かべながら、複雑な心境でその日の午後を過ごした。

「新太さん、お帰りなさい」

「ただいま」

無邪気に笑いながら俺を迎えてくれる来未に、思わず手が伸びる。そのまま彼女の頭をそっと撫でた。

「新太さん?」

これからも俺は何があっても、来未を傷つけるもの全てから守りたいと思う。

「どうしたんですか?」

「いや…可愛いなって」

そう口にすれば、来未はほんのり頬を染めて笑った。




「…そうですか、三ノ宮さんが」

二人で夕食を摂りながら、今日のことを話す。来未は複雑そうな顔をして、なにかを考えるように黙り込んだ。

「来未のせいじゃない」

「新太さん…」

「来未が傷つく必要なんてないんだ」

「私なら大丈夫です」

「なぁ、来未?」

「はい」

「俺は、君のマイナスになっているか?」

「えっ?」

「ずっと考えてた。来未は強くてまっすぐで、俺なんかとは全然違うから」

「そんな、私は…」

「確かに三ノ宮は、最低の人間だと思う。それに便乗しているヤツらも。でも俺だって、今までの人生自慢できるようなことばかりやってきたわけじゃない」

野々原と話して、改めて思った。

ーーコイツに、先に行動を起こされなくてよかった

こんな卑怯な感情を来未が知ったらどう思うだろう。

来未には、野々原が似合う。

これから先、また俺のせいで来未が傷つくようなことがあったら?

その前に、俺はこの子を手放した方がいいのかもしれない。

だけどそんなこと、考えるだけで吐き気がした。

彼女がいない生活は、もう考えられない。

「俺は、来未に相応しくない」

「…」

「俺は…」

「フフッ」

唐突に笑い声が聞こえて、パッと彼女を見る。嬉しそうな顔に、驚いてしまう。

「私達、似たもの同士だ」

(似たもの、同士…?)
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