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4 婚約破棄(レイブンside)
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時は遡り、レティシアが出席した、夜会での出来事。
「どういう事だ、ありゃ?」
紺色のタキシード姿のノースが呆れた顔で、同じく正装している、レイブンに尋ねた。
レティシアには少しだけ、席を外すといって、レイブンはノース、そして、ノースの想い人である、ダークブルーのドレスに身を包んだアメリアと共にパーティー会場の外にいた。
尋ねられたレイブンは胸の前で腕を組み、難しい顔をして、首を横に振る。
「わからないな。ただ、言えるのは」
「あれは、レティじゃねぇな」
「絶対に違う」
レイブンはノースの言葉に頷き、ノースの横に立つ、茶色の長い髪をポニーテールにした、細身の少女、アメリアに言う。
「アメリア、どういう事か調べて欲しいんだが頼めるか」
「承知しました。お調べ致します。それにしても、どういう事なのでしょうか。私達にとっての本当のレティ様は、今、どちらにいらっしゃるんでしょう」
「彼女には形見のネックレスを渡してあるから、命の危険はないはずだ。あと、はっきりとは言えないが、あれだけ堂々としているのだから、本当のレティシアは、今日、来ている彼女なんだろう。そうだとすると、今までのレティの行動に説明がつく事も出てくる」
「加護のキスを拒んでた事か」
「ああ。レティの性格だから、自分がレティシア本人じゃないのに、加護のキスなんて受けてはいけないと考えたんだろうな。レティだからするんであって、レティシアにするつもりはないってのに」
ノースの言葉にレイブンが不服そうに答えると、アメリアが眉を寄せる。
「レティ様にもきっと事情はあるはずです。それに、真面目なところはレティ様らしいではないですか。レティ様はずっと、苦しんでいらっしゃったはずです。それなのに…」
「わかってる。別にレティを責めているわけじゃない」
「申し訳ございません。つい、そんな風に聞こえてしまいましたので、口を出してしまいました」
「いや、感じた事を伝えてくれるのは助かる。俺はガサツだとよく言われるからな」
「魔法は正確なのになぁ」
ノースの言葉を聞き、レイブンは軽く彼を睨んだ後、パーティー会場の方を見て呟く。
「さて、今日はとりあえず、あのお嬢様のお相手をするしかないか」
「いいんだが、次の約束の日に、レティは来れんのかな。それに、レティが来た時、お前はどうするつもりなんだ?」
ノースに尋ねられ、レイブンは笑顔で答える。
「どうもしない。レティがどんな話をしてくれるのか聞くだけだ」
「レイブンが気付いていないと思って、何も話さなかったとしたら?」
「その時はその時だ。だけど、レティなら話をしてくれると思う。俺が気付かないわけないと思ってるだろうしさ」
レイブンの言葉に、そう思うと言わんばかりに、ノースとアメリアも無言で首を縦に振った。
この時のレイブン達は、次の約束の日にはレティアが来るものだと思いこんでいた。
けれど、当日、レイブンの前に姿を現したのは、レティシアだった。
「夜会の時から、様子が違う気がするんだけど、何かあったのか?」
レティアとゆっくり話をする為に、彼女の好きなスイーツがあるカフェを予約していたため、レティシアがやって来た時は、レイブンはかなりがっかりしたが、当日にキャンセルするのも店側に悪いと思ったため、彼女を店に連れてくると、向かい合って座り、早速、探りを入れてみた。
「それは…、今までよりも美しく見えるという事?」
(何の話をしてるんだ?)
うっとりした眼差しで自分を見つめてくるレティシアに、苦笑してレイブンは答える。
「レティが可愛いのは前から知ってる。だけど、その、なんていうか、雰囲気が違うというか」
「そう? そんなに綺麗に見える?」
頬をピンク色に染めるレティシアに、レイブンはこめかみをおさえた後、すぐに笑顔を作って答える。
「そういう問題じゃなくて、別人みたいっていうか」
「そんな事ないわ! レイブンったら酷い!」
レティシアは頬を膨らませて、ぷいっと、そっぽを向いた。
(酷いのはどっちだよ…。魔道士が嫌いな家柄だと聞いてるが、本当に魔道士の事を何も知らないんだな。魔力の流れが違うんだから、別の人間が現れたら、今までの人間が別人だったって事くらいわかると思うのが普通だろ…。いや、それとも、俺が本当に気付いていないと思ってるのか?)
レイブンはレティシアの機嫌を取らざるを得なくなった。
なぜなら、今頃、アメリアがレティアを探しに、公爵家に内偵に入っているからだ。
アメリアはレティシアに顔を見られている為、メイドの姿をしていたとしても気付かれる恐れがある。
だから、今、機嫌を損ねたレティシアに、今すぐ家に帰ると言われてはかなわない。
(今日もネックレスはしてない。という事は、レティの身は安全だろうから、それだけが心の救いだな)
レイブンはレティシアに見えない方向に顔を向けてから小さく息を吐いた後、レティシアのご機嫌を取る為に、笑顔を作った。
レティシアとのデートを終えた頃には、レイブンはすっかり疲れ切っており、彼女を屋敷まで送り届けた後は、自分の部屋に戻るなり、着替えもせずにソファーに倒れ込んだ。
(レティと出かけて、こんな事になった事は一度もないのに…。レティシアは何を考えてるんだ。自分の事を美しいと褒めろというアピールが酷すぎるだろ)
それから少しして、アメリアがレイブンの父、シブンと共に部屋にやって来たので、話を聞く事になった。
「レティ様は屋敷にある屋根裏部屋の一つに軟禁されておられるようです。本物のレティシア様の身代わりとなる為、勉学や貴族としてのマナーなどは教えられていらっしゃいますし、食事などもきちんと与えられておられるようですが、レイブン様とお会いする時以外は、部屋の外での自由な時間というものはなかったようです」
向かいに座ったアメリアの報告を聞き、レイブンは身を乗り出して尋ねる。
「どうしていきなり、本物が出ようと思ったんだ? それに、身代わりを立てるくらいなら、最初から、この婚約話を断ればいいだろ」
「それについては俺から話そう」
レイブンの隣に座っていたシブンが口を開き、ヘーベル公爵夫妻が魔道士を極端に嫌っているという話を彼に話した。
「父さんはそれを知ってて、俺と婚約させようとしたのか」
「元々は向こうからの要望だ。それに、俺だって向こうが断ると思っていた。だから、承諾してきた時にはオドロしたし、何より初めてレティに触れた時には、なんて言ったらいいのかわからなかった」
「レティがレティシアじゃないって知ってたのかよ!?」
「知っておられたのですか?」
シブンの言葉に、レイブンだけではなく、アメリアまでもが聞き返した。
「魔力があまりにもヘーベル公爵夫妻から感じるものと違いすぎた。替え玉を立ててきた事はわかったが、まさか拉致していたとは」
「拉致!?」
驚くレイブンはアメリアから、レティアが幼い頃に拉致されて連れてこられた子供だと知らされた。
「隠し子とかならまだしも、拉致ってどういう事だよ。だから、レティは俺達に言えなかったんだな…」
(もし、俺が拒絶したら、俺がヘーベル家に苦情を言うだろうし、そうなったらヘーベル家から追い出されてしまうかもしれない。レティの年では一人で生きていくには難しいから、余計に言えなかったんだろうな)
レイブンはソファーにもたれかかり、天井を見つめた後、意を決したかの様に身を起こして、シブンを見た。
「父さん、これって契約違反だろ? 婚約破棄出来ないか?」
「出来るだろうが、どうするつもりだ。この話がなくなったら、北の民がまた苦しむ事になるぞ」
「和平案はこのままで。だけど、相手を変更する。レティシアとは婚約破棄。レティアと俺は婚約する」
レイブンの口調から強い意思を感じたシブンは、首を縦に振ると立ち上がった。
「じゃあ、明日にでも、早速殴り込みに行くとするか? レティを少しでも早く助けに行ってあげよう。先方には明日に伺うと連絡を入れておく」
「ありがとう、父さん」
「レティに小さい頃に言ったんだ。レイブンが迎えに行くからって。だから、約束を守らないとな」
シブンの言葉に、レイブンは大きく首を縦に振った。
「どういう事だ、ありゃ?」
紺色のタキシード姿のノースが呆れた顔で、同じく正装している、レイブンに尋ねた。
レティシアには少しだけ、席を外すといって、レイブンはノース、そして、ノースの想い人である、ダークブルーのドレスに身を包んだアメリアと共にパーティー会場の外にいた。
尋ねられたレイブンは胸の前で腕を組み、難しい顔をして、首を横に振る。
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レイブンはノースの言葉に頷き、ノースの横に立つ、茶色の長い髪をポニーテールにした、細身の少女、アメリアに言う。
「アメリア、どういう事か調べて欲しいんだが頼めるか」
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「彼女には形見のネックレスを渡してあるから、命の危険はないはずだ。あと、はっきりとは言えないが、あれだけ堂々としているのだから、本当のレティシアは、今日、来ている彼女なんだろう。そうだとすると、今までのレティの行動に説明がつく事も出てくる」
「加護のキスを拒んでた事か」
「ああ。レティの性格だから、自分がレティシア本人じゃないのに、加護のキスなんて受けてはいけないと考えたんだろうな。レティだからするんであって、レティシアにするつもりはないってのに」
ノースの言葉にレイブンが不服そうに答えると、アメリアが眉を寄せる。
「レティ様にもきっと事情はあるはずです。それに、真面目なところはレティ様らしいではないですか。レティ様はずっと、苦しんでいらっしゃったはずです。それなのに…」
「わかってる。別にレティを責めているわけじゃない」
「申し訳ございません。つい、そんな風に聞こえてしまいましたので、口を出してしまいました」
「いや、感じた事を伝えてくれるのは助かる。俺はガサツだとよく言われるからな」
「魔法は正確なのになぁ」
ノースの言葉を聞き、レイブンは軽く彼を睨んだ後、パーティー会場の方を見て呟く。
「さて、今日はとりあえず、あのお嬢様のお相手をするしかないか」
「いいんだが、次の約束の日に、レティは来れんのかな。それに、レティが来た時、お前はどうするつもりなんだ?」
ノースに尋ねられ、レイブンは笑顔で答える。
「どうもしない。レティがどんな話をしてくれるのか聞くだけだ」
「レイブンが気付いていないと思って、何も話さなかったとしたら?」
「その時はその時だ。だけど、レティなら話をしてくれると思う。俺が気付かないわけないと思ってるだろうしさ」
レイブンの言葉に、そう思うと言わんばかりに、ノースとアメリアも無言で首を縦に振った。
この時のレイブン達は、次の約束の日にはレティアが来るものだと思いこんでいた。
けれど、当日、レイブンの前に姿を現したのは、レティシアだった。
「夜会の時から、様子が違う気がするんだけど、何かあったのか?」
レティアとゆっくり話をする為に、彼女の好きなスイーツがあるカフェを予約していたため、レティシアがやって来た時は、レイブンはかなりがっかりしたが、当日にキャンセルするのも店側に悪いと思ったため、彼女を店に連れてくると、向かい合って座り、早速、探りを入れてみた。
「それは…、今までよりも美しく見えるという事?」
(何の話をしてるんだ?)
うっとりした眼差しで自分を見つめてくるレティシアに、苦笑してレイブンは答える。
「レティが可愛いのは前から知ってる。だけど、その、なんていうか、雰囲気が違うというか」
「そう? そんなに綺麗に見える?」
頬をピンク色に染めるレティシアに、レイブンはこめかみをおさえた後、すぐに笑顔を作って答える。
「そういう問題じゃなくて、別人みたいっていうか」
「そんな事ないわ! レイブンったら酷い!」
レティシアは頬を膨らませて、ぷいっと、そっぽを向いた。
(酷いのはどっちだよ…。魔道士が嫌いな家柄だと聞いてるが、本当に魔道士の事を何も知らないんだな。魔力の流れが違うんだから、別の人間が現れたら、今までの人間が別人だったって事くらいわかると思うのが普通だろ…。いや、それとも、俺が本当に気付いていないと思ってるのか?)
レイブンはレティシアの機嫌を取らざるを得なくなった。
なぜなら、今頃、アメリアがレティアを探しに、公爵家に内偵に入っているからだ。
アメリアはレティシアに顔を見られている為、メイドの姿をしていたとしても気付かれる恐れがある。
だから、今、機嫌を損ねたレティシアに、今すぐ家に帰ると言われてはかなわない。
(今日もネックレスはしてない。という事は、レティの身は安全だろうから、それだけが心の救いだな)
レイブンはレティシアに見えない方向に顔を向けてから小さく息を吐いた後、レティシアのご機嫌を取る為に、笑顔を作った。
レティシアとのデートを終えた頃には、レイブンはすっかり疲れ切っており、彼女を屋敷まで送り届けた後は、自分の部屋に戻るなり、着替えもせずにソファーに倒れ込んだ。
(レティと出かけて、こんな事になった事は一度もないのに…。レティシアは何を考えてるんだ。自分の事を美しいと褒めろというアピールが酷すぎるだろ)
それから少しして、アメリアがレイブンの父、シブンと共に部屋にやって来たので、話を聞く事になった。
「レティ様は屋敷にある屋根裏部屋の一つに軟禁されておられるようです。本物のレティシア様の身代わりとなる為、勉学や貴族としてのマナーなどは教えられていらっしゃいますし、食事などもきちんと与えられておられるようですが、レイブン様とお会いする時以外は、部屋の外での自由な時間というものはなかったようです」
向かいに座ったアメリアの報告を聞き、レイブンは身を乗り出して尋ねる。
「どうしていきなり、本物が出ようと思ったんだ? それに、身代わりを立てるくらいなら、最初から、この婚約話を断ればいいだろ」
「それについては俺から話そう」
レイブンの隣に座っていたシブンが口を開き、ヘーベル公爵夫妻が魔道士を極端に嫌っているという話を彼に話した。
「父さんはそれを知ってて、俺と婚約させようとしたのか」
「元々は向こうからの要望だ。それに、俺だって向こうが断ると思っていた。だから、承諾してきた時にはオドロしたし、何より初めてレティに触れた時には、なんて言ったらいいのかわからなかった」
「レティがレティシアじゃないって知ってたのかよ!?」
「知っておられたのですか?」
シブンの言葉に、レイブンだけではなく、アメリアまでもが聞き返した。
「魔力があまりにもヘーベル公爵夫妻から感じるものと違いすぎた。替え玉を立ててきた事はわかったが、まさか拉致していたとは」
「拉致!?」
驚くレイブンはアメリアから、レティアが幼い頃に拉致されて連れてこられた子供だと知らされた。
「隠し子とかならまだしも、拉致ってどういう事だよ。だから、レティは俺達に言えなかったんだな…」
(もし、俺が拒絶したら、俺がヘーベル家に苦情を言うだろうし、そうなったらヘーベル家から追い出されてしまうかもしれない。レティの年では一人で生きていくには難しいから、余計に言えなかったんだろうな)
レイブンはソファーにもたれかかり、天井を見つめた後、意を決したかの様に身を起こして、シブンを見た。
「父さん、これって契約違反だろ? 婚約破棄出来ないか?」
「出来るだろうが、どうするつもりだ。この話がなくなったら、北の民がまた苦しむ事になるぞ」
「和平案はこのままで。だけど、相手を変更する。レティシアとは婚約破棄。レティアと俺は婚約する」
レイブンの口調から強い意思を感じたシブンは、首を縦に振ると立ち上がった。
「じゃあ、明日にでも、早速殴り込みに行くとするか? レティを少しでも早く助けに行ってあげよう。先方には明日に伺うと連絡を入れておく」
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