【完結】捨てられた私が幸せになるまで

風見ゆうみ

文字の大きさ
12 / 28

11 加護のキス

しおりを挟む
 レイブンの家に着いてからは、用意されていた夕食を食べ、お風呂に浸かっている内に、いつの間にか眠っていたみたいで、目を覚ました時には、夜は明けていて、太陽の光がカーテンの隙間から射し込んでいた。
 ぼんやりとした頭のまま寝返りを打つと、なぜか目の前にレイブンの顔があって、思わず悲鳴を上げそうになった。

 横になっている私の目の前にいるレイブンは、顔は私の方に向けて、枕に頭を預けて気持ちよさそうに眠っていた。
 というか、どうして、レイブンが私の横で眠ってるの!? 

 寝返りをうってみて、見える範囲を確認してみると、私はレイブンの部屋にいる事がわかった。
 服は着替えさせられていて、ベッド脇のテーブルには、ネックレスが置かれていた。

 シルクだろうか、白くてサラサラのネグリジェで、何だか落ち着かない。

 何にしても、私はここにいちゃいけないわ。
 だって、ここ、レイブンの部屋だもの!

 そう思って、静かに身を起こすと、腕を掴まれた。

「どこ行くんだよ」
「…レイブン」

 私が言葉を続ける前に、引き寄せられて抱きしめられた。

「レ、レイブン、ちょっと待って! 態勢が変なの!」
「うん、わかる」

 私の右横に寝ていたレイブンは、背を向けている私の左腕を引っ張ったものだから、彼の体の上に、私の上半身がもたれかかる形になってしまった。

 レイブンの笑い声が聞こえたかと思うと、腕をはなしてくれたので、身を起こして、レイブンの方に向き直って彼を見つめる。

「昨日はちゃんと話せなかったから、今、もう一度話すけど、ごめんなさい、レイブン。私、ずっとあなたを騙してたの」
「レティは騙してたって思ってるみたいだけど、別に俺はレティに騙されたなんて思ってないから気にすんな。アメリアだって、そう言ってたろ?」
「レイブン。昨日も言ったと思うし、騙していた私が言うのもなんだけど、あなた、本当に良い人すぎるわ」
「考え方は人それぞれだと思うけどな。俺にしてみれば、俺がレティの立場だったら、そうせざるを得ないだろうなって事が理解できるから、たとえ、騙されていたとしても気にならない。何より、お前だって辛かったんだろ」

 レイブンは上半身を起こして、私を抱きしめてくれた。

 あったかい。
 とても、あったかい。

 なぜなら。

「レイブン、聞いてもいい?」
「何だ?」
「どうして、あなた、上半身裸なの!?」
「ん? ああ、暑かったんだよ」
「暑かったって!」

 ベッドに横になっていた時、私には上にタオルケットがかけられていたけど、レイブンは何もかけられていない状態だったから、暑かったと言われても納得できない事はないのだけど…。

「下をはいてるからいいだろ。いつもだったら、下もはいてない」
 
 目線を下に向けると、黒色の生地が見えて、レイブンが黒のズボンを着ている事がわかった。
 何だか恥ずかしくなって、両手で彼を押し退けようとする。

「何だか恥ずかしいから離れて」
「嫌だ」
「どうして!?」
「レティは逃げようとするだろ」
「逃げないわよ」

 別に逃げるつもりはなかった。
 この部屋から、立ち去らなければいけないと思っただけだったから、そう言ったけれど、レイブンは信用してくれていないみたいだった。
 レイブンは私の頭を撫でながら言う。

「気付いてあげられなくてごめんな」
「…何の事?」
「ずっと、レティは苦しんでたろ? それなのに、呑気でごめん」
「レイブンは悪くない。打ち明けようと思えば打ち明けられたのに、あなたに嫌われるかもしれないと思うと怖かったのよ。そうなったら、私はどうなるのか不安だったし…。結局は自分の事だけ考えてたの」
「つきたくもない嘘をつかされてただけだろ? 俺は騙されたなんて思ってない」
「レイブン…、疑う事や怒る事も大事よ?」
「こんな事、誰にでも言ってるわけじゃない。レティアにだから言うんだ」

 ポンポンと頭を撫でられてから、腕を優しく掴まれて、彼は自分から、私の身体を少しだけ離させた。
 不思議に思って顔を上げると、レイブンが私を見つめていて、腕をつかんでいた右手の親指が、私の唇に触れた。

「してもいいか?」
「本当に後悔しない?」
「する訳ないだろ」

 加護のキスをかけられるのは、一人一回きりというわけではない。
 だけど、魔力を一時だけ、かなり奪う事になるらしい。

 だから、キスをしたら、レイブンは丸一日寝込む可能性があると聞いた。

 それでも、私にしようとしてくれているのなら…。

「どうしたら良いの?」
「目をつぶってくれてたらいい」
「ちょっと待って。魔法で口の中を綺麗にするから」
「あ、そうだな、俺も」

 朝、起きた時の口内は細菌がいると聞いた事がある。
 何より、口臭も気になるし。
 普通に歯を磨く事も出来るんだけど、今はレイブンの部屋だから、それも無理なので諦めて、魔法で済ませると、レイブンも同じ様にしたみたいだった。

「では、お願いします」

 正座をして、目をぎゅっと閉じると、レイブンの笑う声が聞こえた。

「すごく緊張してる顔してる」 
「笑わないでよ」
「ごめん」

 鼻に何かが当たったと同時に、私の唇に温かい何かが優しく触れて、すぐに離れた。

「終わった?」
「何が?」
 
 目を開けて聞くと、レイブンがきょとんとした顔をするから、文句を言う。

「加護の魔法をかけてくれたんじゃないの?」
「……ごめん。普通にキスしていいか聞いただけだった」
「え? そうなの!?」
「じゃあ、改めて」

 レイブンが顔を近付けてきたから、彼の口を手で塞ぐ。

「駄目」
「何でだよ」
「加護のキスをしてくれるの?」
「するけど、普通のキスもする」
「普通のキスは駄目よ」
「何でだよ!?」
「まだ、何も片付いていないから」
「どうして、加護のキスはしてもいいんだ?」

 大きな手で頬を撫でられるとくすぐったくて、彼の手に自分の手を重ねて答える。

「色んな人に追われている時に、ネックレスのおかげで助かったの。フォーウッド様から逃れられた時は本当に助かったわ」
「フォーウッドから逃れた?」
「あ、話をしていなかったわね…」

 あまり、話をしたくないけれど、フォーウッド様との出来事を話すと、レイブンが怒りの表情になった。

「あいつ、そんな事してたのかよ。っていうか、一度しか会った事ないから詳しくは知らないんだけどな。レティアの私物をコレクションにしてるみたいだから、あいつの部屋だけ燃やしてやろうかな」
「レイブン、大丈夫だから。もう、彼に会わなければいい事だけだもの」
「でも、気持ち悪くないか?」
「確かに気持ちは悪いけれど、思い出したくもないから」
「そっか」

 レイブンは頷くと、私の額に自分の額を当てて、目を閉じた。
 私には理解できない言葉、きっと魔法の呪文なんだと思う。
 呟くように長い文章を言葉にした後、レイブンが目を開けた。

 視線が重なり合ってから、ゆっくりと目を閉じた。

 私の唇に、レイブンのそれが優しく触れた後、レイブンの舌がするりと口内に入ってきて、思わず声が漏れた。

「んぅっ」

 深いキスの後、息が苦しくなってきて、声を上げるとレイブンの唇と私のそれが離れた。
 うまく息が出来なかったせいで、呼吸が荒くなる。

「幸せ…、だけど、やばい」

 レイブンがそう言うなり、ばたんとベッドの上に倒れた。

「レイブン!? しっかりして!」

 そうだったわ。 
 丸一日寝込むかもしれないって言ってたじゃない!

 意識はあるけれど、体が動かせないらしく、レイブンが弱々しい声で言う。

「悪いけど、誰か呼んできてくれ」
「わかったわ!」

 慌てて、ベッドからおりて、裸足のまま部屋の扉を開けると、ノースとアメリアが廊下に扉を挟んで立っていたので、二人に助けを求める。

「アメリア、ノース! 大変、レイブンが加護のキスのせいで倒れちゃったの!」
「おお! とうとうやったんか! おめでとう、レティア」
「ありがとう? よくわからないけど、ノース、そんな事を言ってる場合じゃないのよ」
「レティア様、ご安心ください。加護のキスは体力が奪われている様なものだけですから、しっかり休めば、いつも通りに元気になりますから」

 アメリアが背中を撫でて慰めてくれる。

「そうなの? それなら良かったけれど…。でも、本当にびっくりしたわ。意識があるから良かったけれど、突然、倒れるんだもの」
「…おかしいですね。普通なら、強い倦怠感に見舞われるだけで、倒れるまではいかないと思うんですが…」
「レティア、レイブンはどんなキスしてきた?」
「ちょっと、ノース!」

 アメリアが怒ったけれど、ノースは苦笑しながら私に言う。

「原因がわかるかもしれねぇから。なんつーか、その触れるだけのキスじゃなかったか?」
「え? そんなんじゃなかったわ。その、なんていうか、口の中に…」
「…レティア様。それ、レイブン様の自業自得ですから、心配しなくて大丈夫です」

 何かを察したかの様に、アメリアが眉を寄せて言った。

「どういう事?」
「レイブンが欲張って、普通のキスでいいのに、ディープなんかするから、余計に魔力を奪われてんだ。まあ、より、強い加護になるだろうけど、自分がしたかっただけだろうな。色んな意味で」
「そうね、色んな意味で」

 ノースの言葉にアメリアが渋い顔をして頷いた。

 もしかして、強い加護以外にも意味があるって事?

 ま、まさか…!

「レイブン!」

 部屋の中に戻り、ぐったりしているレイブンに向かって叫ぶ。

「あなた、今まで我慢していたから、あのキスをしたの!?」
「…それだけじゃねぇよ。強い加護になるし…。まあ、したかったってのもあるけど…」
「もう!」

 手元にあった枕をとって、軽く、レイブンの顔に当てた時だった。

「元気そうだな」

 声が聞こえて振り返ると、シブン様が笑いながら部屋に入ってきたところだった。

「レイブンはアメリア達に任せて、レティア、君に話がある」
「承知しました。あの、着替えてからでもよろしいでしょうか?」
「もちろん」

 シブン様は頷くと「後で俺の部屋に来てくれ」と言って、アメリアに私の事を頼んでから、部屋を出て行った。

 私に話したい事って、一体何なのかしら。
 
 不安が少しだけ頭をよぎった。

 
しおりを挟む
感想 25

あなたにおすすめの小説

一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、 「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。 ――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。 試験会場を間違え、隣の建物で行われていた 特級厨師試験に合格してしまったのだ。 気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの “超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。 一方、学院首席で一級魔法使いとなった ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに―― 「なんで料理で一番になってるのよ!?  あの女、魔法より料理の方が強くない!?」 すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、 天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。 そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、 少しずつ距離を縮めていく。 魔法で国を守る最強魔術師。 料理で国を救う特級厨師。 ――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、 ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。 すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚! 笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

【完結】真の聖女だった私は死にました。あなたたちのせいですよ?

恋愛
聖女として国のために尽くしてきたフローラ。 しかしその力を妬むカリアによって聖女の座を奪われ、顔に傷をつけられたあげく、さらには聖女を騙った罪で追放、彼女を称えていたはずの王太子からは婚約破棄を突きつけられてしまう。 追放が正式に決まった日、絶望した彼女はふたりの目の前で死ぬことを選んだ。 フローラの亡骸は水葬されるが、奇跡的に一命を取り留めていた彼女は船に乗っていた他国の騎士団長に拾われる。 ラピスと名乗った青年はフローラを気に入って自分の屋敷に居候させる。 記憶喪失と顔の傷を抱えながらも前向きに生きるフローラを周りは愛し、やがてその愛情に応えるように彼女のほんとうの力が目覚めて……。 一方、真の聖女がいなくなった国は滅びへと向かっていた── ※小説家になろうにも投稿しています いいねやエール嬉しいです!ありがとうございます!

【完結】以上をもちまして、終了とさせていただきます

楽歩
恋愛
異世界から王宮に現れたという“女神の使徒”サラ。公爵令嬢のルシアーナの婚約者である王太子は、簡単に心奪われた。 伝承に語られる“女神の使徒”は時代ごとに現れ、国に奇跡をもたらす存在と言われている。婚約解消を告げる王、口々にルシアーナの処遇を言い合う重臣。 そんな混乱の中、ルシアーナは冷静に状況を見据えていた。 「王妃教育には、国の内部機密が含まれている。君がそれを知ったまま他家に嫁ぐことは……困難だ。女神アウレリア様を祀る神殿にて、王家の監視のもと、一生を女神に仕えて過ごすことになる」 神殿に閉じ込められて一生を過ごす? 冗談じゃないわ。 「お話はもうよろしいかしら?」 王族や重臣たち、誰もが自分の思惑通りに動くと考えている中で、ルシアーナは静かに、己の存在感を突きつける。 ※39話、約9万字で完結予定です。最後までお付き合いいただけると嬉しいですm(__)m

とある令嬢の優雅な別れ方 〜婚約破棄されたので、笑顔で地獄へお送りいたします〜

入多麗夜
恋愛
【完結まで執筆済!】 社交界を賑わせた婚約披露の茶会。 令嬢セリーヌ・リュミエールは、婚約者から突きつけられる。 「真実の愛を見つけたんだ」 それは、信じた誠実も、築いてきた未来も踏みにじる裏切りだった。だが、彼女は微笑んだ。 愛よりも冷たく、そして美しく。 笑顔で地獄へお送りいたします――

〈完結〉伯爵令嬢リンシアは勝手に幸せになることにした

ごろごろみかん。
恋愛
前世の記憶を取り戻した伯爵令嬢のリンシア。 自分の婚約者は、最近現れた聖女様につききっきりである。 そんなある日、彼女は見てしまう。 婚約者に詰め寄る聖女の姿を。 「いつになったら婚約破棄するの!?」 「もうすぐだよ。リンシアの有責で婚約は破棄される」 なんと、リンシアは聖女への嫌がらせ(やってない)で婚約破棄されるらしい。 それを目撃したリンシアは、決意する。 「婚約破棄される前に、こちらから破棄してしてさしあげるわ」 もう泣いていた過去の自分はいない。 前世の記憶を取り戻したリンシアは強い。吹っ切れた彼女は、魔法道具を作ったり、文官を目指したりと、勝手に幸せになることにした。 ☆ご心配なく、婚約者様。の修正版です。詳しくは近況ボードをご確認くださいm(_ _)m ☆10万文字前後完結予定です

【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。

猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。 復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。 やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、 勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。 過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。 魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、 四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。 輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。 けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、 やがて――“本当の自分”を見つけていく――。 そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。 ※本作の章構成:  第一章:アカデミー&聖女覚醒編  第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編  第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編 ※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位) ※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。

絶望?いえいえ、余裕です! 10年にも及ぶ婚約を解消されても化物令嬢はモフモフに夢中ですので

ハートリオ
恋愛
伯爵令嬢ステラは6才の時に隣国の公爵令息ディングに見初められて婚約し、10才から婚約者ディングの公爵邸の別邸で暮らしていた。 しかし、ステラを呼び寄せてすぐにディングは婚約を後悔し、ステラを放置する事となる。 異様な姿で異臭を放つ『化物令嬢』となったステラを嫌った為だ。 異国の公爵邸の別邸で一人放置される事となった10才の少女ステラだが。 公爵邸別邸は森の中にあり、その森には白いモフモフがいたので。 『ツン』だけど優しい白クマさんがいたので耐えられた。 更にある事件をきっかけに自分を取り戻した後は、ディングの執事カロンと共に公爵家の仕事をこなすなどして暮らして来た。 だがステラが16才、王立高等学校卒業一ヶ月前にとうとう婚約解消され、ステラは公爵邸を出て行く。 ステラを厄介払い出来たはずの公爵令息ディングはなぜかモヤモヤする。 モヤモヤの理由が分からないまま、ステラが出て行った後の公爵邸では次々と不具合が起こり始めて―― 奇跡的に出会い、優しい時を過ごして愛を育んだ一人と一頭(?)の愛の物語です。 異世界、魔法のある世界です。 色々ゆるゆるです。

処理中です...