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24 兄妹
「ねぇ、ノース。何か私に言いたい事があるの?」
アメリア達が出て行ってから、一分くらいしかたっていないけれど、沈黙に耐えられなくて聞いてみると、ノースが無言で首を縦に振った。
でも、口を開いてくれない。
「あの、どうしても言いたくない事なら、無理しなくていいのよ?」
「……言いたくない事っつーか、言わないといけねぇんだけど、中々、言えねぇんだよ」
「えーと、口にするのに勇気がいるって事?」
「そゆ事」
ノースが小さく息を吐いてから頷いた。
こういう場合は、どうしたらいいの?
アメリアはちゃんと話をした方がいいという考えみたいだったけど、本人が嫌だというのなら無理強いする必要はないと思う。
「ノースが私に話そうと思えた時になってからでいいわ。アメリアには私から話をするから」
「いや、ここは男を見せるべきだろ。アメリアにあそこまで言われて言えねぇんじゃ、カッコ悪すぎだし」
「…それならいいんだけど」
そこから、また沈黙が続く。
何か落ち着かなくて、ノースの方を見たり、違うところを見たりして、気を紛らわせていると、突然、ノースが私の誕生日を口にした。
しかも、レティシア様の誕生日ではなく、私の誕生日の日付だった。
「…その日がどうしたの?」
「レティアの誕生日だろ?」
「どうして、ノースが知ってるの? 調べたの?」
「知ってた。で、両親の誕生日は…」
そう言って、ノースは話をしていく。
正直、両親の誕生日は覚えていなかった。
だけど、お兄ちゃんの誕生日だけは覚えていた。
なぜなら、誕生日が近かったから。
そして、ノースが言った、お兄ちゃんの誕生日は、彼の言う日と間違いはなかった。
「俺の誕生日なんだよ」
「……」
お父さんと同じ色の髪と瞳。
誕生日が同じ。
そう言われてみれば、どこか、目元がお母さんに似ている気がする。
そう思えば、どんどん、こうじゃないか、ああじゃないかと思えてしまう部分が増えてきた。
「まさか、ノース…、嘘でしょ…」
両手で口を覆い、ノースを見た。
すると、ノースは泣きそうな顔で言う。
「俺の本当の名前はティアズ・クロウリー。お前の兄ちゃんだった」
「だった…って、どういう事?」
「いや、その、生きてた兄貴がこんなんって嫌だろ?」
「そんな事ないわ! というか、どうして、もっと早くに言ってくれなかったの!?」
ノースに近寄り、床に膝立ちをしてから、壁に持たれて座っているノースの顔を見る。
「言い出せなくてごめんな。ほら、妹が目の前で男とイチャイチャしてるのを見ていて、なんつーか、恥ずかしいというか、お前も兄貴に見られたよりかは、友達に見られた方がマシかなとも思ったんだ」
ノースがおどける様に言った。
きっとこれは、言い出せなかった本当の理由じゃない。
「お兄ちゃん…。って、もう、この年で、お兄ちゃんはないかしら…」
「まあな。好きなように呼べよ」
「とりあえず、慣れるまではノースって呼ぶけど…。ねぇ、私に言えなかった理由、本当はその理由じゃないんでしょう?」
尋ねると、ノースは私を見てから、すぐに横を向いて、目に光るものを浮かべて続ける。
「俺が、あの時、一人にしなかったら、こんな事にはなってなかった…。本当にごめん。恨まれててもしょうがないと思ってる」
「謝らないで! それに恨んでなんかないわ! まさか、あんな事が起きるだなんて考えてもいなかったでしょう? それに、ヘーベル公爵家は私を狙っていたんだから、あの日じゃなくても、いつかは起こった出来事だったわ! それに、ずっと、見守っていてくれたじゃない!」
ノースは私を妹として大事に思って見守ってくれていたから、その目が、ミントにとって他と違って見えたのね…。
それだけ、彼女がノースを見ていたんだって事はわかる。
だけど…。
それは仲間を裏切ったり、好きな人や、家族を傷付けていい理由にはならない。
「だけど、お前の居場所がわかってるのに、迎えにも行ってやれなかっただろ?」
「そんなのしょうがないわ! 相手は公爵家だもの。たった一人で戦えるわけがない! …もしかして、私がレイブンの婚約者として彼に会っているとわかったから、レイブンの護衛になってくれたの? もし、そうだったとしたら、ノースを許す、許さないの話になるのであれば、その気持ちだけで、私は十分に許せるわ」
レイブンにノースを紹介してもらったのは、レイブンが12歳、私が9歳の時で、家族と離れ離れになってから、4年がたっていた。
その頃のノースは私の記憶にあった、お兄ちゃんとは全然様子が違っていて、今、考えると、髪色と髪の瞳が、お兄ちゃんとお父さんに似ている、なんて思った事を思い出した。
だけど、それだけだった。
まさか、お兄ちゃんだなんて思ってもみなかった。
「あの時の俺は、レイブンと会っているのが、レティアなのか、本当のレティシアなのか、よくわかっていなかった。だから、最初は様子を見ようと思ってた。だけど、だんだん、レイブンと会っているのが、レティアだと思い始めると余計に、本当の事が言えなくなった」
ノースは膝を抱え、額を膝に当ててから続ける。
「このまま、レティアがレイブンの妻になったら、幸せな事に変わりはないから、俺が兄だという真実を知らなくても良いと思ってた。何より、あんな事になったのは俺のせいだから、嫌われてると思ってたしな」
「ノース、さっきも言ったけど、遅かれ早かれ、私は攫われてた。たまたま、あの日だっただけ。もし、あんな日がなければ、ノースまで巻き込んでたかもしれない。そう思うと、私だけで本当に良かった」
ノースの表情がくしゃりと歪んで、目から涙が溢れ出した。
両手で目を覆う、ノースを見て、目頭と鼻の頭が痛くなり、すぐに私の目からも涙がこぼれた。
どれだけ、辛かったんだろう。
私がもっと早くにレイブンに打ち明けられていえば、ノースの苦しみも少しは楽に出来たんだろうか。
「ごめん…、本当にごめん…」
ノースの口から謝罪の言葉が何度もこぼれて、私はノースを抱きしめた。
「私も、攫われちゃって、ごめんね。ずっと、お兄ちゃんを苦しめたね…。お父さんもお母さんも、私のせいで…」
「それは違う! 父さんも母さんもお前を取り返そうと必死だった! お前のせいだなんて思ってない!」
ノースは少し声を大きくして否定してくれた。
「ノースがそう言ってくれている気持ちと一緒よ。私は裏切られたとか、家族が迎えに来てくれなかっただなんて思った事なかった。もちろん、レティシア様から、私は家族に捨てられたと聞いた時は、悲しかったけど、そうじゃなかったんだって知れて嬉しいわ」
ただ、お父さんとお母さんが生きているかどうかわからない。
それはネックだけれど…。
「お兄ちゃんが生きてくれてるってわかっただけでも、すごく嬉しい」
「俺も、お前が俺の事を恨んでないって言ってくれて、すごく楽になった。ありがとう」
「こちらこそ、見つけてくれてありがとう」
抱きしめていた体をはなして、ノースの右手を取る。
「いつも、私の左手を握って帰ってたわよね」
「…そうだったけ? 覚えてねぇ」
「そうよ。右手が使えないから、文句ばかり言ってたわ」
お兄ちゃんが友達と遊びに行くといって、私の手をはなした事が寂しくて、余計に記憶に残ってるんだけど、そこまで言うと、ノースが気にしそうだから言わないでおく。
「そう言えば言ってたな。だから、お前の右手と俺の左手を繋ごうとしたら、何か立ち位置が気持ち悪いってお前が嫌がったんだ」
「そうだった? あまり覚えてないわ」
「都合の良い事しか覚えてねぇんじゃねぇの?」
「それはそうかも。あ、だけど、私の気に入ってたおもちゃを壊された事は覚えてる」
「壊してから寝るまでひたすら泣いてたのに、次の日には忘れてたやつな」
「そんな事、覚えてません!」
こんな事を話している場合じゃないのに、私達はしばらくの間、昔の話をして、泣いて、笑った。
アメリア達が出て行ってから、一分くらいしかたっていないけれど、沈黙に耐えられなくて聞いてみると、ノースが無言で首を縦に振った。
でも、口を開いてくれない。
「あの、どうしても言いたくない事なら、無理しなくていいのよ?」
「……言いたくない事っつーか、言わないといけねぇんだけど、中々、言えねぇんだよ」
「えーと、口にするのに勇気がいるって事?」
「そゆ事」
ノースが小さく息を吐いてから頷いた。
こういう場合は、どうしたらいいの?
アメリアはちゃんと話をした方がいいという考えみたいだったけど、本人が嫌だというのなら無理強いする必要はないと思う。
「ノースが私に話そうと思えた時になってからでいいわ。アメリアには私から話をするから」
「いや、ここは男を見せるべきだろ。アメリアにあそこまで言われて言えねぇんじゃ、カッコ悪すぎだし」
「…それならいいんだけど」
そこから、また沈黙が続く。
何か落ち着かなくて、ノースの方を見たり、違うところを見たりして、気を紛らわせていると、突然、ノースが私の誕生日を口にした。
しかも、レティシア様の誕生日ではなく、私の誕生日の日付だった。
「…その日がどうしたの?」
「レティアの誕生日だろ?」
「どうして、ノースが知ってるの? 調べたの?」
「知ってた。で、両親の誕生日は…」
そう言って、ノースは話をしていく。
正直、両親の誕生日は覚えていなかった。
だけど、お兄ちゃんの誕生日だけは覚えていた。
なぜなら、誕生日が近かったから。
そして、ノースが言った、お兄ちゃんの誕生日は、彼の言う日と間違いはなかった。
「俺の誕生日なんだよ」
「……」
お父さんと同じ色の髪と瞳。
誕生日が同じ。
そう言われてみれば、どこか、目元がお母さんに似ている気がする。
そう思えば、どんどん、こうじゃないか、ああじゃないかと思えてしまう部分が増えてきた。
「まさか、ノース…、嘘でしょ…」
両手で口を覆い、ノースを見た。
すると、ノースは泣きそうな顔で言う。
「俺の本当の名前はティアズ・クロウリー。お前の兄ちゃんだった」
「だった…って、どういう事?」
「いや、その、生きてた兄貴がこんなんって嫌だろ?」
「そんな事ないわ! というか、どうして、もっと早くに言ってくれなかったの!?」
ノースに近寄り、床に膝立ちをしてから、壁に持たれて座っているノースの顔を見る。
「言い出せなくてごめんな。ほら、妹が目の前で男とイチャイチャしてるのを見ていて、なんつーか、恥ずかしいというか、お前も兄貴に見られたよりかは、友達に見られた方がマシかなとも思ったんだ」
ノースがおどける様に言った。
きっとこれは、言い出せなかった本当の理由じゃない。
「お兄ちゃん…。って、もう、この年で、お兄ちゃんはないかしら…」
「まあな。好きなように呼べよ」
「とりあえず、慣れるまではノースって呼ぶけど…。ねぇ、私に言えなかった理由、本当はその理由じゃないんでしょう?」
尋ねると、ノースは私を見てから、すぐに横を向いて、目に光るものを浮かべて続ける。
「俺が、あの時、一人にしなかったら、こんな事にはなってなかった…。本当にごめん。恨まれててもしょうがないと思ってる」
「謝らないで! それに恨んでなんかないわ! まさか、あんな事が起きるだなんて考えてもいなかったでしょう? それに、ヘーベル公爵家は私を狙っていたんだから、あの日じゃなくても、いつかは起こった出来事だったわ! それに、ずっと、見守っていてくれたじゃない!」
ノースは私を妹として大事に思って見守ってくれていたから、その目が、ミントにとって他と違って見えたのね…。
それだけ、彼女がノースを見ていたんだって事はわかる。
だけど…。
それは仲間を裏切ったり、好きな人や、家族を傷付けていい理由にはならない。
「だけど、お前の居場所がわかってるのに、迎えにも行ってやれなかっただろ?」
「そんなのしょうがないわ! 相手は公爵家だもの。たった一人で戦えるわけがない! …もしかして、私がレイブンの婚約者として彼に会っているとわかったから、レイブンの護衛になってくれたの? もし、そうだったとしたら、ノースを許す、許さないの話になるのであれば、その気持ちだけで、私は十分に許せるわ」
レイブンにノースを紹介してもらったのは、レイブンが12歳、私が9歳の時で、家族と離れ離れになってから、4年がたっていた。
その頃のノースは私の記憶にあった、お兄ちゃんとは全然様子が違っていて、今、考えると、髪色と髪の瞳が、お兄ちゃんとお父さんに似ている、なんて思った事を思い出した。
だけど、それだけだった。
まさか、お兄ちゃんだなんて思ってもみなかった。
「あの時の俺は、レイブンと会っているのが、レティアなのか、本当のレティシアなのか、よくわかっていなかった。だから、最初は様子を見ようと思ってた。だけど、だんだん、レイブンと会っているのが、レティアだと思い始めると余計に、本当の事が言えなくなった」
ノースは膝を抱え、額を膝に当ててから続ける。
「このまま、レティアがレイブンの妻になったら、幸せな事に変わりはないから、俺が兄だという真実を知らなくても良いと思ってた。何より、あんな事になったのは俺のせいだから、嫌われてると思ってたしな」
「ノース、さっきも言ったけど、遅かれ早かれ、私は攫われてた。たまたま、あの日だっただけ。もし、あんな日がなければ、ノースまで巻き込んでたかもしれない。そう思うと、私だけで本当に良かった」
ノースの表情がくしゃりと歪んで、目から涙が溢れ出した。
両手で目を覆う、ノースを見て、目頭と鼻の頭が痛くなり、すぐに私の目からも涙がこぼれた。
どれだけ、辛かったんだろう。
私がもっと早くにレイブンに打ち明けられていえば、ノースの苦しみも少しは楽に出来たんだろうか。
「ごめん…、本当にごめん…」
ノースの口から謝罪の言葉が何度もこぼれて、私はノースを抱きしめた。
「私も、攫われちゃって、ごめんね。ずっと、お兄ちゃんを苦しめたね…。お父さんもお母さんも、私のせいで…」
「それは違う! 父さんも母さんもお前を取り返そうと必死だった! お前のせいだなんて思ってない!」
ノースは少し声を大きくして否定してくれた。
「ノースがそう言ってくれている気持ちと一緒よ。私は裏切られたとか、家族が迎えに来てくれなかっただなんて思った事なかった。もちろん、レティシア様から、私は家族に捨てられたと聞いた時は、悲しかったけど、そうじゃなかったんだって知れて嬉しいわ」
ただ、お父さんとお母さんが生きているかどうかわからない。
それはネックだけれど…。
「お兄ちゃんが生きてくれてるってわかっただけでも、すごく嬉しい」
「俺も、お前が俺の事を恨んでないって言ってくれて、すごく楽になった。ありがとう」
「こちらこそ、見つけてくれてありがとう」
抱きしめていた体をはなして、ノースの右手を取る。
「いつも、私の左手を握って帰ってたわよね」
「…そうだったけ? 覚えてねぇ」
「そうよ。右手が使えないから、文句ばかり言ってたわ」
お兄ちゃんが友達と遊びに行くといって、私の手をはなした事が寂しくて、余計に記憶に残ってるんだけど、そこまで言うと、ノースが気にしそうだから言わないでおく。
「そう言えば言ってたな。だから、お前の右手と俺の左手を繋ごうとしたら、何か立ち位置が気持ち悪いってお前が嫌がったんだ」
「そうだった? あまり覚えてないわ」
「都合の良い事しか覚えてねぇんじゃねぇの?」
「それはそうかも。あ、だけど、私の気に入ってたおもちゃを壊された事は覚えてる」
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