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最終話
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国花の事をお姉様に発表してから5日が経ちました。
家族で集まった次の日には大々的に発表をし、国民の皆様にも知れ渡る事になり、やはり、長女ではなく次女に出た事に驚きの声が上がった様でした。
あの日から、お姉様は、また引きこもり生活を始める様になりました。
なぜなら、お姉様にちやほやしていた人達が、国花が私に出たとわかると、お姉様から離れていったからです。
私の侍女からお姉様の侍女達に探りを入れてもらいましたが「あんなワガママな王女に仕えたくない。リサ殿下に仕えたい」だなんて事を言い出している人が多いらしく、それが無理だとわかった侍女が、一人、また一人と辞めていってしまっているようです。
皆、冷たいものですね。
何らかの見返りを求める事が悪いことだとはいいませんが、お姉様にだって少しは良いところがあるでしょうに、そこを見てくれる侍女がいないのは悲しいものです。
そんな動きにさすがに気が付いたお姉様も、自分の行動が悪かったのかもしれないと、少し反省の色を見せ始めているようで、私に対しても「言いすぎてしまった」と後悔している、とお母様から言われましたが、本人から、直接、謝ってもらえたわけでもありませんし、こちらから歩み寄る事はしないでおく事にしました。
オッサムは何かと仕事の用事を作っては、私の執務室にやって来て、ご機嫌取りに忙しいです。
花束を持ってきたり、お菓子を持ってきたり。
公爵家のお金を使っているから気にしないでくれなんて、わざわざ言ってきていますが、私には必要ありませんので、全て持って帰るようにお願いしているにも関わらず、何かをプレゼントしようとしてきます。
もしかしたら、以前、お姉様はこのやり方をされて、オッサムが私に優しくしようとしていた事を許したのかもしれません。
私なら絶対に許しませんけどね!
どんなに欲しいものをもらっても許す気にはなれません。
もちろん、ミスなどでお詫びとして持ってくる方もいらっしゃいますが、その方に関しては、しっかり反省していらっしゃる色が見えますので気になりません。
オッサムに関しては、口と物だけで、態度からは全く反省の色が見えないので腹が立ちます。
たまに、私と婚約破棄してしまった事を後悔していると、酔っ払った時に叫んでいるという事を、オッサムの側近から聞きましたが、こちらとしては、ざまぁみろ、といった感じです。
って、王女がざまぁみろ、なんて言ってはいけませんね。
今の発言に関しては反省します。
そして、一番、私が納得いかないのが、お母様の行動です。
あれだけ、お姉様を可愛がっていたお母様が、私の事ばかりかまうようになったんです。
ひどい時には、幼い頃にしてあげられなかったから、と言って一緒に眠ろうとまで言ってこられましたが、それに関しては、私だけでなく、クレイも「二人の時間を邪魔しないで下さい」と言って断ってくれました。
考えてみたら、二人きりになる時って、寝室以外では中々ないですから。
お母様は「リサが女王になるとは思っていなかった。だからあなたに仲を取り持ってほしい」とお父様にお願いされたそうですが「女王になったからという理由で仲直りしたいだなんて、娘に対しての言葉じゃない」と一喝されていたと、お父様の側近から教えてもらいました。
今回の件で、さすがのお父様も、お母様に呆れているみたいです。
お母様は、私に国花が出て、やっと冷たくしていた事を本当に後悔しているようですが、自分の立場が悪くなる事を恐れての様な気もします。
お姉様派閥がなくなった様にお母様にこびへつらっていた人達も減りましたから。
それにしても、これからはやる事が一杯です。
今は、まだお父様が頑張って下さっているので良いですが、いつか私も同じ様に働かねばなりません。
お世継ぎ問題に関しては、私の年齢もありますし、しばらくはうるさく言われないと思うのですが、ここ最近、クレイが早めに寝室に来てくれる様になったので、もしかして…?
か、考えるだけで恥ずかしいです!
「何を考えてるんだ?」
思っていた事が顔に出たのでしょうか。
ベッドに寝そべり、私の横で、本を読んでいたクレイが聞いてきます。
「な、何でもありません」
「顔が赤いけど」
「ふ、普通です」
「ふーん」
クレイがにやりと笑って、なぜか本を閉じました。
「もしかして、こういう事を考えてた?」
そう言ってクレイが優しくキスをしてくれました。
「そ、そうかもしれません」
頷くと、クレイは笑って、またキスをしてくれた後に言います。
「もう少し先に進もうか?」
「うわわわ」
変な声を出した私を見て、クレイは吹き出したあと、ぎゅうっと抱きしめてくれます。
「嘘だよ。ちゃんと待つから」
「私も、頑張ります」
いつまでも甘えてばかりではいけません。
私も少しずつ、前に進んでいかなければ。
それはもちろん、女王としてもそうですが、女性としても。
クレイを一度、抱きしめ返してから、顔を上げると、彼が不思議そうに見下ろしてきたので、彼の顔を両手で引き寄せて、初めて、私からキスをしたのでした。
「あなた方には後悔してもらいます!」完
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!
少しでも楽しんでもらえていましたら嬉しいです。
感想ですが、日にちがたちましたら、こっそり受付を開始する予定ですが、その前に誤字脱字など、連絡事項がございましたら、最新の近況ボードのコメントで教えていただけますと有り難いです。
完結と同時に新作も投稿しておりますので、興味ありましたら足を運んでいただけますと嬉しいです。
ありがとうございました。
家族で集まった次の日には大々的に発表をし、国民の皆様にも知れ渡る事になり、やはり、長女ではなく次女に出た事に驚きの声が上がった様でした。
あの日から、お姉様は、また引きこもり生活を始める様になりました。
なぜなら、お姉様にちやほやしていた人達が、国花が私に出たとわかると、お姉様から離れていったからです。
私の侍女からお姉様の侍女達に探りを入れてもらいましたが「あんなワガママな王女に仕えたくない。リサ殿下に仕えたい」だなんて事を言い出している人が多いらしく、それが無理だとわかった侍女が、一人、また一人と辞めていってしまっているようです。
皆、冷たいものですね。
何らかの見返りを求める事が悪いことだとはいいませんが、お姉様にだって少しは良いところがあるでしょうに、そこを見てくれる侍女がいないのは悲しいものです。
そんな動きにさすがに気が付いたお姉様も、自分の行動が悪かったのかもしれないと、少し反省の色を見せ始めているようで、私に対しても「言いすぎてしまった」と後悔している、とお母様から言われましたが、本人から、直接、謝ってもらえたわけでもありませんし、こちらから歩み寄る事はしないでおく事にしました。
オッサムは何かと仕事の用事を作っては、私の執務室にやって来て、ご機嫌取りに忙しいです。
花束を持ってきたり、お菓子を持ってきたり。
公爵家のお金を使っているから気にしないでくれなんて、わざわざ言ってきていますが、私には必要ありませんので、全て持って帰るようにお願いしているにも関わらず、何かをプレゼントしようとしてきます。
もしかしたら、以前、お姉様はこのやり方をされて、オッサムが私に優しくしようとしていた事を許したのかもしれません。
私なら絶対に許しませんけどね!
どんなに欲しいものをもらっても許す気にはなれません。
もちろん、ミスなどでお詫びとして持ってくる方もいらっしゃいますが、その方に関しては、しっかり反省していらっしゃる色が見えますので気になりません。
オッサムに関しては、口と物だけで、態度からは全く反省の色が見えないので腹が立ちます。
たまに、私と婚約破棄してしまった事を後悔していると、酔っ払った時に叫んでいるという事を、オッサムの側近から聞きましたが、こちらとしては、ざまぁみろ、といった感じです。
って、王女がざまぁみろ、なんて言ってはいけませんね。
今の発言に関しては反省します。
そして、一番、私が納得いかないのが、お母様の行動です。
あれだけ、お姉様を可愛がっていたお母様が、私の事ばかりかまうようになったんです。
ひどい時には、幼い頃にしてあげられなかったから、と言って一緒に眠ろうとまで言ってこられましたが、それに関しては、私だけでなく、クレイも「二人の時間を邪魔しないで下さい」と言って断ってくれました。
考えてみたら、二人きりになる時って、寝室以外では中々ないですから。
お母様は「リサが女王になるとは思っていなかった。だからあなたに仲を取り持ってほしい」とお父様にお願いされたそうですが「女王になったからという理由で仲直りしたいだなんて、娘に対しての言葉じゃない」と一喝されていたと、お父様の側近から教えてもらいました。
今回の件で、さすがのお父様も、お母様に呆れているみたいです。
お母様は、私に国花が出て、やっと冷たくしていた事を本当に後悔しているようですが、自分の立場が悪くなる事を恐れての様な気もします。
お姉様派閥がなくなった様にお母様にこびへつらっていた人達も減りましたから。
それにしても、これからはやる事が一杯です。
今は、まだお父様が頑張って下さっているので良いですが、いつか私も同じ様に働かねばなりません。
お世継ぎ問題に関しては、私の年齢もありますし、しばらくはうるさく言われないと思うのですが、ここ最近、クレイが早めに寝室に来てくれる様になったので、もしかして…?
か、考えるだけで恥ずかしいです!
「何を考えてるんだ?」
思っていた事が顔に出たのでしょうか。
ベッドに寝そべり、私の横で、本を読んでいたクレイが聞いてきます。
「な、何でもありません」
「顔が赤いけど」
「ふ、普通です」
「ふーん」
クレイがにやりと笑って、なぜか本を閉じました。
「もしかして、こういう事を考えてた?」
そう言ってクレイが優しくキスをしてくれました。
「そ、そうかもしれません」
頷くと、クレイは笑って、またキスをしてくれた後に言います。
「もう少し先に進もうか?」
「うわわわ」
変な声を出した私を見て、クレイは吹き出したあと、ぎゅうっと抱きしめてくれます。
「嘘だよ。ちゃんと待つから」
「私も、頑張ります」
いつまでも甘えてばかりではいけません。
私も少しずつ、前に進んでいかなければ。
それはもちろん、女王としてもそうですが、女性としても。
クレイを一度、抱きしめ返してから、顔を上げると、彼が不思議そうに見下ろしてきたので、彼の顔を両手で引き寄せて、初めて、私からキスをしたのでした。
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