26 / 31
25 強硬手段
しおりを挟む
お母様とは久しぶりに話をするということもあって、気がついた時には夜になっていた。
そのため、昨日はあまり、動くことができなかった。
でも、ワイアットには積極的に動いていくという連絡を入れておいた。
だから、朝にはワイアットから城内を歩き回っても良いという許可をもらえた。
国王陛下からはゼント様が何か良くないことをした場合、私が自由に罰則を決めても良いとの許可もおり、書状ももらうことができた。
陛下の許可があれば、ある意味怖いものなしだわ。
自分の命が危なくならない程度に、挑発していきましょう。
事前にワイアットから、泳がせている毒見役の人間が誰かを聞いていたのと、今日はその彼女が当番の日らしいので、まずは、その女性に接触することにした。
「ごきげんよう」
「こ、こんにちは」
王城に向かい、料理を運んでいるメイドに声をかけると、予想外だったのか、びくりと身体を震わせて挨拶を返してきた。
「その料理はどちらに運ぶの?」
「こ、これは、国王陛下のお部屋に運ぶものです」
「毒見は終わっているの?」
「まだでございます」
「いつ、毒見をするの?」
メイドは矢継ぎ早に質問する私に怯えながらも、答えを返してくれる。
「陛下の寝室の近くに毒見役の控室がございます。そこで確認することになっています」
「教えてくれてありがとう。様子を見てみたいから一緒に行っても良いかしら?」
「もちろんでございます」
怯えているメイドには少し気の毒だけれど、彼女に何かするつもりはないので、少しの間、我慢してもらいましょう。
メイナーと一緒に毒見役が待っているという部屋に行き、扉が開いた時に見えた表情は余裕げに見えた。
でも、私の姿を確認した途端、毒見役の表情が強張った。
「ごきげんよう」
「ごきげんよう……」
テーブルと椅子しかない部屋には、メイド服姿の毒見役しかおらず、毒見役は座っていた椅子から立ち上がってカーテシーをする。
そして、ちらりと料理を運んできたメイドに視線を送った。
どういう状況か説明しろと言いたいみたいね。
でも、それを聞きたいのは彼女も一緒だと思うわ。
だから、私が口を開く。
「毒見役って大変なお仕事よね。私の家にもいるから、毎回、何もないことを祈っているわ。……と、ごめんなさいね。どんな方が陛下の毒見をしているのか気になってしまったの」
「あ……いえ、陛下の命をお守りできる光栄なお仕事だと思っております。ですが、ソフィア様に見ていただくようなものでもございません」
茶色の髪をシニヨンにした毒見役の中年の女性は、苦笑して首を横に振った。
「迷惑かしら」
「そのようなわけではございません」
「……なら、見てみたいわ。じっくり見たことがないから」
微笑んで言うと、毒見役は怯えたような表情になった。
「……毒見って、時間がかかるのよね? 陛下に先にご挨拶に行ってもいいかしら?」
「最近は、側近の方の食事も用意されていまして、そちらの毒見もしております。ですので、少し、お時間をいただきたいのですが……」
ワイアットに聞いたところによると、側近用として用意させている食事には毒らしきものは入っておらず、問題の毒見役が担当の日には、他の毒見役に毒見をさせてから、陛下にお出ししているそうだ。
「わかったわ。では、先に陛下にご挨拶に行かせてもらうわね」
本来なら朝食の時間に陛下の所に行くだなんて、約束をしていない限り、失礼なことだ。
毒見役はそれを不思議に思うよりも、自分の悪事がバレないようにすることだけで頭がいっぱいのようだった。
私の言葉を聞いた毒見役は、どこかホッとしたような顔をして頷く。
「よろしくお願いいたします」
何がよろしくなのかはわからないけれど、毒見役の女性の言葉に頷いてから、私はメイドと一緒に部屋を出る。
メイドはなぜ私がこんな時間にやって来たのか、どこか気になる様子だったけれど、さすがに理由を聞いてくることもなく、その場を立ち去った。
さあ、毒見役の彼女はどうするかしら?
私なら、不審に思って毒を入れることを今日はやめるかもしれない。
けれど、毎日必ず毒を入れるようにと命令されていたらどうかしら。
陛下に用意された食事を、他の人間が横取りするなんて馬鹿な真似をするとは思わないでしょう。
なら、毒を入れても、今までのようにバレることはないと思うかもしれない。
彼女がそう賢くない人間であることを祈りながら、陛下の部屋へ向かう。
すると、事前に話をしていたからか、ワイアットが出迎えてくれた。
「どうします? 陛下に会いたいですか?」
「……今はやめておくわ。さすがにこんな時間に謁見を求めるのは失礼だもの。お体に負担をかけたくないしね」
「今日は陛下の身体の調子も良さそうですし、陛下はあなたに会いたいと言っておられますよ」
「そんなことを聞いてしまったら、ご挨拶しないわけにはいかないわね。でも、やることを終えてからにさせてもらうわ」
「本当に実行するつもりですか?」
ワイアットが苦虫を噛み潰したような顔をして聞いてくるので、苦笑して頷く。
「後手後手になるのは、もう嫌なの。危険を冒してでもやらないといけない時はあるでしょう?」
「かといって、あなたがそれをする必要はないじゃないですか」
「私のような人間がすることによって、大事に出来るのよ」
「危険ですよ」
「何を言ってるの。あなたもやったことじゃないの」
「……それは私が陛下の側近だからですよ」
陛下の寝室は今いる部屋の奥にある扉の向こうだ。
だから、陛下には小声で話す私たちの会話は聞こえていない。
毒見役が同じ部屋にいるけれど、彼女には簡単な説明をしていたので聞かれてもかまわない。
「少しでも早く、ケイティたちを捕まえたいのよ。これ以上、犠牲者は出したくないから」
「その気持ちはわかりますが……」
そんな話をしていると、部屋の扉が叩かれた。
ワイアットが扉を開けると、さっきの毒見役の女性が二人分の食事をのせたワゴンを押して中に入ってくると、説明を始める。
「こちらが陛下へのお食事になります。そして、こちらは側近の方のものになります」
一番上の段にのせられているのは、陛下がそうたくさん食べられないからか、全体的に量の少ないもので、その下の段には、同じメニューではあるけれど、陛下のものよりも量の多い皿が置かれていた。
「ありがとう」
ワイアットが礼を言うと、毒見役は部屋を出ていこうとした。
そんな彼女に聞こえるように、私は口を開く。
「ねえ、ワイアット、私、お腹が減っているの。陛下は今日は朝食はいらないと言っておられたので、私がいただいてもいいかしら?」
そんなことを陛下は言っておられないし、そんな無礼なことをするだなんて普通はありえない。
けれど、毒見役の女性は、まんまと引っかかってくれた。
「い、いけません!」
「……何がいけないの?」
「あ……、あの、そ、それは……、その陛下へのお食事でございますので」
「それはそうね。でも、陛下に許可をもらっているの」
「で、でしたら、新しいお食事をお持ちします!」
「食べきれないから食べてくれと言われているのよ。この料理の一部はどうせ捨てられてしまうの。それなら、私が食べたほうが良いじゃない? 毒見も終わっていることだし安全だしね」
そこでわざと言葉を区切り、笑顔を作って尋ねる。
「私が食べると困ることでもあるのかしら?」
「い、いいえ」
毒見役は俯き、震える声で答えた。
「では、いただくことにするわね」
「待って下さい。僕が先にいただきます」
スプーンを手に取ろうとした私より先にワイアットが奪うようにスプーンを取った。
そして、スープをすくい、あっという間に口に入れてしまった。
「ワイアット!」
「……っ!!」
驚いて叫ぶ私と、声にならない声を上げる毒見役の女性。
ワイアットはスープを飲み込まずに、自分の持っていたハンカチに吐き出すと、毒見役の女性に向かって言う。
「……あなたは本当に毒見をしたんですか?」
「は……、はい」
毒見役の女性の身体が震え始める。
「おかしいとは思わなかったんですか?」
「………」
ワイアットの質問に、毒見役の女性は俯いたまま、答えることが出来ない。
「味がおかしいです。毒が入っている入っていない以前に、こんな味がするものだろうかとは思わなかったんですか」
「そ、それは……っ!」
泣き出しそうな顔で何か言おうとした毒見役に、私が厳しい口調で尋ねる。
「まさか、あなたは陛下に味のおかしい料理を食べさせようとしていたの?」
「違います! 違うんです!」
何が違うのかはわからないけれど、私たちが黙って彼女を冷ややかな目で見ると、彼女は勝手に真相を話し始めた。
そのため、昨日はあまり、動くことができなかった。
でも、ワイアットには積極的に動いていくという連絡を入れておいた。
だから、朝にはワイアットから城内を歩き回っても良いという許可をもらえた。
国王陛下からはゼント様が何か良くないことをした場合、私が自由に罰則を決めても良いとの許可もおり、書状ももらうことができた。
陛下の許可があれば、ある意味怖いものなしだわ。
自分の命が危なくならない程度に、挑発していきましょう。
事前にワイアットから、泳がせている毒見役の人間が誰かを聞いていたのと、今日はその彼女が当番の日らしいので、まずは、その女性に接触することにした。
「ごきげんよう」
「こ、こんにちは」
王城に向かい、料理を運んでいるメイドに声をかけると、予想外だったのか、びくりと身体を震わせて挨拶を返してきた。
「その料理はどちらに運ぶの?」
「こ、これは、国王陛下のお部屋に運ぶものです」
「毒見は終わっているの?」
「まだでございます」
「いつ、毒見をするの?」
メイドは矢継ぎ早に質問する私に怯えながらも、答えを返してくれる。
「陛下の寝室の近くに毒見役の控室がございます。そこで確認することになっています」
「教えてくれてありがとう。様子を見てみたいから一緒に行っても良いかしら?」
「もちろんでございます」
怯えているメイドには少し気の毒だけれど、彼女に何かするつもりはないので、少しの間、我慢してもらいましょう。
メイナーと一緒に毒見役が待っているという部屋に行き、扉が開いた時に見えた表情は余裕げに見えた。
でも、私の姿を確認した途端、毒見役の表情が強張った。
「ごきげんよう」
「ごきげんよう……」
テーブルと椅子しかない部屋には、メイド服姿の毒見役しかおらず、毒見役は座っていた椅子から立ち上がってカーテシーをする。
そして、ちらりと料理を運んできたメイドに視線を送った。
どういう状況か説明しろと言いたいみたいね。
でも、それを聞きたいのは彼女も一緒だと思うわ。
だから、私が口を開く。
「毒見役って大変なお仕事よね。私の家にもいるから、毎回、何もないことを祈っているわ。……と、ごめんなさいね。どんな方が陛下の毒見をしているのか気になってしまったの」
「あ……いえ、陛下の命をお守りできる光栄なお仕事だと思っております。ですが、ソフィア様に見ていただくようなものでもございません」
茶色の髪をシニヨンにした毒見役の中年の女性は、苦笑して首を横に振った。
「迷惑かしら」
「そのようなわけではございません」
「……なら、見てみたいわ。じっくり見たことがないから」
微笑んで言うと、毒見役は怯えたような表情になった。
「……毒見って、時間がかかるのよね? 陛下に先にご挨拶に行ってもいいかしら?」
「最近は、側近の方の食事も用意されていまして、そちらの毒見もしております。ですので、少し、お時間をいただきたいのですが……」
ワイアットに聞いたところによると、側近用として用意させている食事には毒らしきものは入っておらず、問題の毒見役が担当の日には、他の毒見役に毒見をさせてから、陛下にお出ししているそうだ。
「わかったわ。では、先に陛下にご挨拶に行かせてもらうわね」
本来なら朝食の時間に陛下の所に行くだなんて、約束をしていない限り、失礼なことだ。
毒見役はそれを不思議に思うよりも、自分の悪事がバレないようにすることだけで頭がいっぱいのようだった。
私の言葉を聞いた毒見役は、どこかホッとしたような顔をして頷く。
「よろしくお願いいたします」
何がよろしくなのかはわからないけれど、毒見役の女性の言葉に頷いてから、私はメイドと一緒に部屋を出る。
メイドはなぜ私がこんな時間にやって来たのか、どこか気になる様子だったけれど、さすがに理由を聞いてくることもなく、その場を立ち去った。
さあ、毒見役の彼女はどうするかしら?
私なら、不審に思って毒を入れることを今日はやめるかもしれない。
けれど、毎日必ず毒を入れるようにと命令されていたらどうかしら。
陛下に用意された食事を、他の人間が横取りするなんて馬鹿な真似をするとは思わないでしょう。
なら、毒を入れても、今までのようにバレることはないと思うかもしれない。
彼女がそう賢くない人間であることを祈りながら、陛下の部屋へ向かう。
すると、事前に話をしていたからか、ワイアットが出迎えてくれた。
「どうします? 陛下に会いたいですか?」
「……今はやめておくわ。さすがにこんな時間に謁見を求めるのは失礼だもの。お体に負担をかけたくないしね」
「今日は陛下の身体の調子も良さそうですし、陛下はあなたに会いたいと言っておられますよ」
「そんなことを聞いてしまったら、ご挨拶しないわけにはいかないわね。でも、やることを終えてからにさせてもらうわ」
「本当に実行するつもりですか?」
ワイアットが苦虫を噛み潰したような顔をして聞いてくるので、苦笑して頷く。
「後手後手になるのは、もう嫌なの。危険を冒してでもやらないといけない時はあるでしょう?」
「かといって、あなたがそれをする必要はないじゃないですか」
「私のような人間がすることによって、大事に出来るのよ」
「危険ですよ」
「何を言ってるの。あなたもやったことじゃないの」
「……それは私が陛下の側近だからですよ」
陛下の寝室は今いる部屋の奥にある扉の向こうだ。
だから、陛下には小声で話す私たちの会話は聞こえていない。
毒見役が同じ部屋にいるけれど、彼女には簡単な説明をしていたので聞かれてもかまわない。
「少しでも早く、ケイティたちを捕まえたいのよ。これ以上、犠牲者は出したくないから」
「その気持ちはわかりますが……」
そんな話をしていると、部屋の扉が叩かれた。
ワイアットが扉を開けると、さっきの毒見役の女性が二人分の食事をのせたワゴンを押して中に入ってくると、説明を始める。
「こちらが陛下へのお食事になります。そして、こちらは側近の方のものになります」
一番上の段にのせられているのは、陛下がそうたくさん食べられないからか、全体的に量の少ないもので、その下の段には、同じメニューではあるけれど、陛下のものよりも量の多い皿が置かれていた。
「ありがとう」
ワイアットが礼を言うと、毒見役は部屋を出ていこうとした。
そんな彼女に聞こえるように、私は口を開く。
「ねえ、ワイアット、私、お腹が減っているの。陛下は今日は朝食はいらないと言っておられたので、私がいただいてもいいかしら?」
そんなことを陛下は言っておられないし、そんな無礼なことをするだなんて普通はありえない。
けれど、毒見役の女性は、まんまと引っかかってくれた。
「い、いけません!」
「……何がいけないの?」
「あ……、あの、そ、それは……、その陛下へのお食事でございますので」
「それはそうね。でも、陛下に許可をもらっているの」
「で、でしたら、新しいお食事をお持ちします!」
「食べきれないから食べてくれと言われているのよ。この料理の一部はどうせ捨てられてしまうの。それなら、私が食べたほうが良いじゃない? 毒見も終わっていることだし安全だしね」
そこでわざと言葉を区切り、笑顔を作って尋ねる。
「私が食べると困ることでもあるのかしら?」
「い、いいえ」
毒見役は俯き、震える声で答えた。
「では、いただくことにするわね」
「待って下さい。僕が先にいただきます」
スプーンを手に取ろうとした私より先にワイアットが奪うようにスプーンを取った。
そして、スープをすくい、あっという間に口に入れてしまった。
「ワイアット!」
「……っ!!」
驚いて叫ぶ私と、声にならない声を上げる毒見役の女性。
ワイアットはスープを飲み込まずに、自分の持っていたハンカチに吐き出すと、毒見役の女性に向かって言う。
「……あなたは本当に毒見をしたんですか?」
「は……、はい」
毒見役の女性の身体が震え始める。
「おかしいとは思わなかったんですか?」
「………」
ワイアットの質問に、毒見役の女性は俯いたまま、答えることが出来ない。
「味がおかしいです。毒が入っている入っていない以前に、こんな味がするものだろうかとは思わなかったんですか」
「そ、それは……っ!」
泣き出しそうな顔で何か言おうとした毒見役に、私が厳しい口調で尋ねる。
「まさか、あなたは陛下に味のおかしい料理を食べさせようとしていたの?」
「違います! 違うんです!」
何が違うのかはわからないけれど、私たちが黙って彼女を冷ややかな目で見ると、彼女は勝手に真相を話し始めた。
889
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる