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24 あなたには負けません
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招いていただいたことに対して、お礼の挨拶を述べたあとに、何か言いたげにマーガレット様は私を見ていたけど、エアリー様が近くにいるせいか、すぐに別のテーブルに移っていった。
伯爵令嬢だから、自分よりも家柄の高い公爵家の令嬢には頭が上がらないのかもしれない。
ラス様はそれもあって、エアリー様に声をかけてくれたのかな。
「さ、お話を聞かせていただけるかしら」
「お話というのは?」
「もちろん、今、貴族の間で持ちきりの話に決まってますでしょう。父からは他言するなと言われておりますし、お友達の噂を面白おかしく話す趣味はありませんから、その点は安心なさって」
エアリー様はにっこり微笑んで、自分をはさんだ2つの椅子に片方ずつ手を置き、座るように促してきた。
「では、ラス様との婚約の噂に関しては正式ではないのね?」
諸々の事情を説明すると、エアリー様は出されていたお茶を口にしたあと、私達に尋ねてくる。
「そうなんです。正式ではないので他言しないようにとの命令だったのに、噂が回ってしまって」
「何が原因かはわかっているのでしょう?」
「それはまあ」
「困ったものね」
歯切れの悪い返事をすると、エアリー様は汲み取ってくれたのか、苦笑して言った。
しばらくは三人で他愛のない話をしていて、とても和やかに過ごしていたのだけれど、やはり物事はそんなにうまく進むはずもなく、先にバーベナ嬢からの接触を受ける。
「ラス様と婚約されたというのは本当ですか」
ふらりと近寄ってきて、私の横に立ったかと思うと、彼女は消え入りそうな声で言った。
「事実ではないですね」
人が話している最中に無理矢理割って入ってきた彼女に、少しだけ冷たい口調で答える。
アレンくんが褒美の内容を変更すれば、今の話もなくなるわけだし嘘は言ってない。
というか、こんな噂が回れば回るほど、ラス様には良くないような気もしてきた。
だけど、この人にはラス様の婚約者になってほしくない。
私も聞いた話でしかないのだけど、バーベナ様はラス様の昔からの婚約者だったことをいいことに、人によっては嫌がらせとも思えるくらいのつきまとい行為をしてきたらしい。
ラス様はうんざりしていたみたいだけど、親の決めた許嫁であったし、邪険にするわけにもいかなかったみたい。
そんな話を聞いている以上、私も彼女に対しては、ラス様の事で引くわけにはいかない気持ちにはなってるけど。
「なら、どうしてラス様とおそろいのものを?」
ん?
おそろい?
今は気が散ると駄目だからと声は発さずにいてくれてるけど、通信はオンにしているから、ラス様には聞こえているだろうし、答えを待とうかと思ったけど、
「イヤーカフの事を言ってます? それなら私もしてますし、ユウヤ殿下とユウマ殿下もされてますよ?」
意味を理解したリアが返してくれた。
「ラス様が私以外の女性と一緒のものをしているなんて許せない」
相変わらず小さな声だけれど、こちらを睨みつけてくる姿は、精神的に危ない感じがした。
バーベナ様の異様さに気付いた人が増えたのか、騒がしかったテラスが徐々に静かになっていく。
「というか、あなたにそんな事を言われる筋合いあります?」
反応に困っている私とは違い、リアのスイッチが入った。
「それは私にも言える事です。私はユーニ様とお話しています。あなたじゃありません」
「申し訳ないんですが、友人に難癖つけてくるのを黙ってみていられない主義なんです」
「リア様」
カッカしはじめたリアの手にエアリー様がそっと自分の手をのせて微笑んだあと、バーベナ様の方へ顔を向けた。
「リア様の言い方はよろしくはないけれど、彼女が気分を害する気持ちはわかります。大事なお友達ですものね。口には出さないだけで、私も同じ気持ちですもの」
エアリー様は微笑んでいるけれど、バーベナ様への威圧感がすごかった。
公爵家の娘として身についたのものなんだろうか。
なんか、カッコいい。
すると、バーベナ様が震えた声で呟いた。
「平民のくせに」
「ちょっと」
やっぱり、リアが黙っていれなくなった時だった。
「バーベナ様の言うとおりですわ。平民のくせにユウヤ殿下を私から奪おうだなんて」
違うテーブルからマーガレット嬢が参戦してきた。
それに、バーベナ様ものっかり、二人で私に向かって言い始める。
「そうですよ。私の方がラス様を愛しています」
「そうよ! あなたのユウヤ殿下への気持ちなんて、私と比べたら、足元にもおよばないわ!」
二人の言葉を聞いて、私はイヤーカフの通信を切る。
平民がなんだっての。
言葉遣いやマナーは悪いかもしれない。
けど、差別されて当たり前のような生き方してないし、何より、自分の気持ちを優先させて、好きな人に迷惑かけたいなんて思わない。
「リア」
彼女の方を見て、イヤーカフを叩く。
リアは頷いてから、イヤーカフに触れた。
それを確認してから、立ち上がって口を開く。
「口では好きなように言えますよね」
「な、失礼ではないですか!」
バーベナ嬢が食ってかかってくる。
「では、言わせていただきますけど、ユウヤ殿下とラス様をお慕いする私の気持ちが、あなた方に負けるとは思えません」
しん、と静まり返ったテラスに私の言葉だげが響く。
「私の方がユウヤ殿下とラス様が好きです」
二人に向かって言うと、マーガレット嬢が口を開いた。
「二人共だなんて!」
「強いて順番をつけるなら、ユウヤ殿下が一番です」
「そんな! ラス様がお可哀想だわ!」
叫ぶバーベナ嬢に向き直り、強い口調で答える。
「ただ、あなたに負けるような弱い気持ちではありません。それに、あなたは自分の事ばかりじゃないですか! ラス様の気持ちを考えた事あります?」
「私の事ばかり?」
「人の気持ちも考えずに、自分の気持ちばかり優先して、ラス様がどんな嫌な気持ちをされていたか、わからないのでしょう?」
「優しく微笑んでくださったし、お手紙も毎日くださったわ。贈り物だって!」
「ラス様は紳士ですから、女性への対応をおざなりにしたりしませんよ」
バーベナ様の言葉にリアがぴしゃりと答えた。
「そうですわね。先日、ラス様にお会いしましたけれど、手土産にはなりますが、私も贈り物はいただきましたわ。それにあなた、元婚約者だったのでしょう? 婚約者にはそれくらいするのが普通ではなくて?」
エアリー様が援護射撃をしてくれる。
「あなた達みたいな人に、ユウヤ殿下もラス様も渡しません! そうなるくらいなら、私が幸せにします!」
怒りに任せて言ってしまった。
場は静まり返り、マーガレット様もバーベナ様も呆然として立ち尽くしている。
「ふふっ」
固まってしまった空気をほぐすような、優しい笑い声が響く。
エアリー様だ。
「情熱的な愛の告白を聞いてしまったわね。ご本人達に聞かせられなかったのが残念だわ」
それはもう楽しそうにエアリー様は笑う。
自分の言ったことを思い返すと、恥ずかしさで身体が熱くなってきた。
私としては、本人達に聞かれてなくて良かった。
「いや、ユーニちゃんのおかげで面白いもん見れたわ」
ユウマくんの声がイヤーカフから届く。
え?
なんで?
通信を切ってたんじゃ?
リアの方を見ると笑いをこらえる顔をして、そっぽを向いた。
「リア!」
「私のせいじゃないわよ。通信が切れたからどうした、って聞かれたから、強制的につないだら? って言っただけ」
リアは私に近づいてくると、他の人に聞かれないよう、耳元で言った。
という事は全部聞かれてたの?!
「赤くなってるラスなんて初めて見た! いって! やめろ!」
「ありがとな、嬉しかった」
ラス様に殴られたのか、ユウマくんの声が途切れたあと、ユウヤくんの優しい声が聞こえて、
「うわあっ!」
顔をおおって、その場に座り込んでしまう。
「素敵でしたわ、ユーニ様!」
ミランダ様が駆け寄ってきて、私の手をつかんで続ける。
「私も勇気を出して気持ちをお伝えしなければ、と思いましたもの」
「ミランダ様……」
違うんです。
急に恥ずかしくなったんじゃなくて、本人に聞かれてたから恥ずかしいんです!
伯爵令嬢だから、自分よりも家柄の高い公爵家の令嬢には頭が上がらないのかもしれない。
ラス様はそれもあって、エアリー様に声をかけてくれたのかな。
「さ、お話を聞かせていただけるかしら」
「お話というのは?」
「もちろん、今、貴族の間で持ちきりの話に決まってますでしょう。父からは他言するなと言われておりますし、お友達の噂を面白おかしく話す趣味はありませんから、その点は安心なさって」
エアリー様はにっこり微笑んで、自分をはさんだ2つの椅子に片方ずつ手を置き、座るように促してきた。
「では、ラス様との婚約の噂に関しては正式ではないのね?」
諸々の事情を説明すると、エアリー様は出されていたお茶を口にしたあと、私達に尋ねてくる。
「そうなんです。正式ではないので他言しないようにとの命令だったのに、噂が回ってしまって」
「何が原因かはわかっているのでしょう?」
「それはまあ」
「困ったものね」
歯切れの悪い返事をすると、エアリー様は汲み取ってくれたのか、苦笑して言った。
しばらくは三人で他愛のない話をしていて、とても和やかに過ごしていたのだけれど、やはり物事はそんなにうまく進むはずもなく、先にバーベナ嬢からの接触を受ける。
「ラス様と婚約されたというのは本当ですか」
ふらりと近寄ってきて、私の横に立ったかと思うと、彼女は消え入りそうな声で言った。
「事実ではないですね」
人が話している最中に無理矢理割って入ってきた彼女に、少しだけ冷たい口調で答える。
アレンくんが褒美の内容を変更すれば、今の話もなくなるわけだし嘘は言ってない。
というか、こんな噂が回れば回るほど、ラス様には良くないような気もしてきた。
だけど、この人にはラス様の婚約者になってほしくない。
私も聞いた話でしかないのだけど、バーベナ様はラス様の昔からの婚約者だったことをいいことに、人によっては嫌がらせとも思えるくらいのつきまとい行為をしてきたらしい。
ラス様はうんざりしていたみたいだけど、親の決めた許嫁であったし、邪険にするわけにもいかなかったみたい。
そんな話を聞いている以上、私も彼女に対しては、ラス様の事で引くわけにはいかない気持ちにはなってるけど。
「なら、どうしてラス様とおそろいのものを?」
ん?
おそろい?
今は気が散ると駄目だからと声は発さずにいてくれてるけど、通信はオンにしているから、ラス様には聞こえているだろうし、答えを待とうかと思ったけど、
「イヤーカフの事を言ってます? それなら私もしてますし、ユウヤ殿下とユウマ殿下もされてますよ?」
意味を理解したリアが返してくれた。
「ラス様が私以外の女性と一緒のものをしているなんて許せない」
相変わらず小さな声だけれど、こちらを睨みつけてくる姿は、精神的に危ない感じがした。
バーベナ様の異様さに気付いた人が増えたのか、騒がしかったテラスが徐々に静かになっていく。
「というか、あなたにそんな事を言われる筋合いあります?」
反応に困っている私とは違い、リアのスイッチが入った。
「それは私にも言える事です。私はユーニ様とお話しています。あなたじゃありません」
「申し訳ないんですが、友人に難癖つけてくるのを黙ってみていられない主義なんです」
「リア様」
カッカしはじめたリアの手にエアリー様がそっと自分の手をのせて微笑んだあと、バーベナ様の方へ顔を向けた。
「リア様の言い方はよろしくはないけれど、彼女が気分を害する気持ちはわかります。大事なお友達ですものね。口には出さないだけで、私も同じ気持ちですもの」
エアリー様は微笑んでいるけれど、バーベナ様への威圧感がすごかった。
公爵家の娘として身についたのものなんだろうか。
なんか、カッコいい。
すると、バーベナ様が震えた声で呟いた。
「平民のくせに」
「ちょっと」
やっぱり、リアが黙っていれなくなった時だった。
「バーベナ様の言うとおりですわ。平民のくせにユウヤ殿下を私から奪おうだなんて」
違うテーブルからマーガレット嬢が参戦してきた。
それに、バーベナ様ものっかり、二人で私に向かって言い始める。
「そうですよ。私の方がラス様を愛しています」
「そうよ! あなたのユウヤ殿下への気持ちなんて、私と比べたら、足元にもおよばないわ!」
二人の言葉を聞いて、私はイヤーカフの通信を切る。
平民がなんだっての。
言葉遣いやマナーは悪いかもしれない。
けど、差別されて当たり前のような生き方してないし、何より、自分の気持ちを優先させて、好きな人に迷惑かけたいなんて思わない。
「リア」
彼女の方を見て、イヤーカフを叩く。
リアは頷いてから、イヤーカフに触れた。
それを確認してから、立ち上がって口を開く。
「口では好きなように言えますよね」
「な、失礼ではないですか!」
バーベナ嬢が食ってかかってくる。
「では、言わせていただきますけど、ユウヤ殿下とラス様をお慕いする私の気持ちが、あなた方に負けるとは思えません」
しん、と静まり返ったテラスに私の言葉だげが響く。
「私の方がユウヤ殿下とラス様が好きです」
二人に向かって言うと、マーガレット嬢が口を開いた。
「二人共だなんて!」
「強いて順番をつけるなら、ユウヤ殿下が一番です」
「そんな! ラス様がお可哀想だわ!」
叫ぶバーベナ嬢に向き直り、強い口調で答える。
「ただ、あなたに負けるような弱い気持ちではありません。それに、あなたは自分の事ばかりじゃないですか! ラス様の気持ちを考えた事あります?」
「私の事ばかり?」
「人の気持ちも考えずに、自分の気持ちばかり優先して、ラス様がどんな嫌な気持ちをされていたか、わからないのでしょう?」
「優しく微笑んでくださったし、お手紙も毎日くださったわ。贈り物だって!」
「ラス様は紳士ですから、女性への対応をおざなりにしたりしませんよ」
バーベナ様の言葉にリアがぴしゃりと答えた。
「そうですわね。先日、ラス様にお会いしましたけれど、手土産にはなりますが、私も贈り物はいただきましたわ。それにあなた、元婚約者だったのでしょう? 婚約者にはそれくらいするのが普通ではなくて?」
エアリー様が援護射撃をしてくれる。
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それはもう楽しそうにエアリー様は笑う。
自分の言ったことを思い返すと、恥ずかしさで身体が熱くなってきた。
私としては、本人達に聞かれてなくて良かった。
「いや、ユーニちゃんのおかげで面白いもん見れたわ」
ユウマくんの声がイヤーカフから届く。
え?
なんで?
通信を切ってたんじゃ?
リアの方を見ると笑いをこらえる顔をして、そっぽを向いた。
「リア!」
「私のせいじゃないわよ。通信が切れたからどうした、って聞かれたから、強制的につないだら? って言っただけ」
リアは私に近づいてくると、他の人に聞かれないよう、耳元で言った。
という事は全部聞かれてたの?!
「赤くなってるラスなんて初めて見た! いって! やめろ!」
「ありがとな、嬉しかった」
ラス様に殴られたのか、ユウマくんの声が途切れたあと、ユウヤくんの優しい声が聞こえて、
「うわあっ!」
顔をおおって、その場に座り込んでしまう。
「素敵でしたわ、ユーニ様!」
ミランダ様が駆け寄ってきて、私の手をつかんで続ける。
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