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28 少しずつでも進みましょう
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「もちろん変な噂をたてた、あなたのご両親に対しては何も感じていないといえば嘘になりますし、どちらかというと関わり合いになりたくない、というのも事実です」
ジンさんの言葉にミランダ様の身体が一瞬だけ震えた。
それに気付いているのかいないのかわからないけれど、ジンさんは言葉を続ける。
「先日、兄からあなたとの婚約についての話がありました。あなたのご両親とも話はついていて、その際に噂についての正式な謝罪もあったそうです。それでも、あなたのご両親を僕は許せませんでした。僕のミスではじまった事とはいえ、その時期は噂を終息させるために、兄が倒れるまで追い込んだんですから」
ジンさんの話を聞いて、その事を知らなかった私とリアはラス様を睨む。
なんで、そんな無茶するんですか!
「お二人と知り合ってない頃ですよ」
ラス様はそう答えて、向こうの話を邪魔しないように、と人差し指を口に当てる。
「そんな事を思い出すと、あなたと結婚だなんてありえないと思いました」
「・・・・・・」
ミランダ様の瞳からまた大粒の涙がこぼれる。
どうしよう。
思わず、私とリアが目を合わせた時だった。
「それは過去の話で」
ジンさんはミランダ様の瞳に指を当てて、涙を拭うと続けた。
「今は兄があんな女性と婚約破棄になるきっかけを作ってくださった事に感謝していて、そして、こんな僕を慕っていてくれた事も嬉しく思います」
きゃー!
と叫び出したい気持ちをグッとこらえて、リアと私は手と手を取り合う。
「ただ、僕の事に興味を持ってくださっている方ならわかると思うのですが、僕はこういう類には縁がないもので、あなたの気持ちにこたえられるかもわからない所でして」
ジンさんのへたれ発言を聞いてしまい、今度はがっくりしてしまう。
ミランダ様はそんなジンさんをやはりわかっていたのか、涙をこぼしながらも笑顔を見せた。
「兄さん」
「俺に頼るな、って言ってるだろ」
困ったように振り向くジンさんにラス様が冷たい声を出した。
そっか。
兄弟だから敬語もないんだ。
「本人がいる前でなんなんですが、僕は兄を本当に尊敬してるんです。僕なら元婚約者だとはいえ、あんな風に言われたら傷付きますよ」
「人を鬼のように」
ラス様の呟く声が聞こえ、私達四人は声に出さずに笑う。
「だから、僕は兄の意見に従おうと思います。今はまだ申し訳ないですが、あなたに対して、その、恋愛感情的なものがなくって」
ジンさんがモゴモゴ言い始めると、ラス様は大きなため息を吐いた。
「ミランダ嬢、兄である私には弟に強制的にあなたとの婚約を認めさせる事はできます。でも、出来るならそれはしたくないんです」
ラス様は二人に近付いていきながら、言葉を続ける。
「それをすると、弟が幸せになれない可能性がありますから」
「兄さん」
「出来ればお前には好きな人と恋愛して、好きな人と結婚してほしいと思ってる」
ラス様はジンさんの肩に手を置いたあと、ミランダ様に向かって尋ねた。
「ですから、私の義理の妹になるのであれば、あなたがジンにとって、そういう存在になっていただかないと困るのですが?」
「わ、私」
ミランダ様はジン様から借りているハンカチをぎゅうっと握りしめて、顔を上げると答えた。
「ユーニさんがユウヤ殿下とラス様におっしゃったみたいに、私はジン様を幸せにできるよう頑張ります」
「ひっ!」
ミランダ様の大事なシーンなのに、私はついつい変な声を出してしまった。
「何やってんだ」
ユウヤくんから後ろから抱きしめられ、口を手でおさえられる。
だって、忘れていた事を思い出してしまったから!
幸せにする、って、私、言ってた!
「恥ずかしい」
「あ、す、すみません! そうですよね! リア様以外は知らない話を!」
ミランダ様はユウヤくん達が聞いてた事を知らないから、私の様子を見て慌てる。
「なんの話ですか?」
「さあ? ユーニさんが何かをおっしゃったんでしょうね」
不思議そうにしているジンさんに、ラス様は知らないフリをして首を傾げる。
それはそれで悲しい気持ちにもなってしまうんですが・・・・・。
「幸せにしてくれるんだよな。すげー楽しみ」
ユウヤくんが私の耳元で囁くから、恥ずかしさが勝って、ついついお腹に肘鉄を食らわせた。
「あの、えと、ですから、私、ジン様が私と一緒にいて幸せと思って下さるよう努力いたします!」
「そうですか」
ラス様は頷くと、ジンさんに向かって言う。
「とりあえず、友達から始めたらどうだ? お互いに気付くところも出てくるだろ。ミランダ嬢がお前に愛想をつかす可能性もあるし」
「そ、それは絶対にありえません!」
ハンカチを握りしめたまま、ミランダ様がラス様に訴えると、彼は優しく笑って言った。
「不出来な弟ですが、よろしくお願いします」
「こ、こちらこそ!!」
ミランダ様が大きく頭を下げた。
「えっと、これは上手くいったのかな?」
「じゃないかな」
リアに聞くと、笑顔で頷く。
「あ、えと、ハンカチは洗ってからお返ししますね」
「返さなくて結構ですよ。よろしければ差し上げます」
「え?!」
「いらなければ捨ててください」
ミランダ様の言葉に対し、なんの悪気もなく言うジンさんにラス様が口を開こうとした時、ミランダ様が斜め上の発言をした。
「いえ、大切に保管させていただきます! いただけるのなら洗いません!」
「いや、洗ってください」
ジンさんがミランダ様に真剣な表情で突っ込んだ。
お互いに冗談が言えないタイプだし、真面目カップルで上手くいってくれるといいな。
「ジンさんとミランダ様が上手くいくと、ミランダ様はラス様の義理の妹になるのかあ。それなら、ユーニの妹にもなるの?」
「え?!」
「リアちゃん」
「そんなに睨まないでよ。ラス様にだったらいいんじゃなかったの?」
リアがユウヤくんに抗議すると、
「それはそうなんだけどさ」
納得していないような声で答えて、腕の力を強めてきた。
「独占欲が強いのも困りものね。一夫多妻は許されるのに一妻多夫は許されない世の中なのね」
「うっ」
リアの言葉になぜか、ユウヤくんだけじゃなく、ユウマくんまでもダメージを受けていて笑ってしまう。
「ユーニ様が義理のお姉さまになるのでしたら、私はとっても嬉しいです。私、がんばります!」
「え? あ? いや」
ユウヤくんに後ろから抱きしめられている状態で、ラス様の話をされても、申し訳ないことこの上ないのですが。
「ミランダ嬢、別にユーニさんが私の妻になるわけでは」
「妻!」
なぜかラス様のその言葉にリアが反応した。
ラス様は眉間にシワを寄せてリアに言う。
「なんですか」
「なんか、妻って言い方やらしくないですか」
「普通に言いますよ。リアさん、またどんな小説を読んだんですか」
「官能小説です」
「また余計な知識を身につけようとしてますね。どうせならユウマから実践で習っては?」
「ラス様!!!」
リアよりもやはりラス様の方が頭の回転は上だった。
リアが顔を赤くして叫ぶと、
「教えてやろうか?」
ユウマくんが彼女を引き寄せて、顔を近付けて言った。
うわー!
け、結婚前なのにいいんですか?!
「あんたは黙ってて!」
顔を赤くしたまま、リアはユウマくんの腕を振り払うと、ミランダ様とジンさんに向かって言った。
「せっかくだし、デートの約束でもしたらどうです?」
「え?!」
ジンさんとミランダ様の声が重なる。
「そうですね。ジンの休みの日にでも行ってきてはどうです?」
ラス様はミランダ様には笑顔で言うけれど、
「レディを困らせるな。早く誘え」
ジンさんには冷たく言い放つ。
「兄さんも一緒に行って下さいよ」
「保護者同伴のデートするつもりか」
「あ、あのラス様! 私は気になりませんよ!」
「いや、ミランダ嬢、そういう問題ではなく」
困るラス様に、リアがぽんと手を打つと、私を見て言う。
「ユーニも行って、ダブルデートにしたら?」
「?!」
私とラス様は同時に声にならない声を上げた。
「オレも行く」
ユウヤくんが私の肩に顎を置いて言うので、ラス様はため息を吐いてから口を開く。
「では、ユーニさんとユウヤが付き添いに」
「兄さんが来てくださいよ!」
「ラスも来ればいいだろ。命令な」
「・・・・・わかりました」
ラス様は恨めしげにユウヤくんを見たあと、ため息を吐いてから首を縦に振った。
ジンさんの言葉にミランダ様の身体が一瞬だけ震えた。
それに気付いているのかいないのかわからないけれど、ジンさんは言葉を続ける。
「先日、兄からあなたとの婚約についての話がありました。あなたのご両親とも話はついていて、その際に噂についての正式な謝罪もあったそうです。それでも、あなたのご両親を僕は許せませんでした。僕のミスではじまった事とはいえ、その時期は噂を終息させるために、兄が倒れるまで追い込んだんですから」
ジンさんの話を聞いて、その事を知らなかった私とリアはラス様を睨む。
なんで、そんな無茶するんですか!
「お二人と知り合ってない頃ですよ」
ラス様はそう答えて、向こうの話を邪魔しないように、と人差し指を口に当てる。
「そんな事を思い出すと、あなたと結婚だなんてありえないと思いました」
「・・・・・・」
ミランダ様の瞳からまた大粒の涙がこぼれる。
どうしよう。
思わず、私とリアが目を合わせた時だった。
「それは過去の話で」
ジンさんはミランダ様の瞳に指を当てて、涙を拭うと続けた。
「今は兄があんな女性と婚約破棄になるきっかけを作ってくださった事に感謝していて、そして、こんな僕を慕っていてくれた事も嬉しく思います」
きゃー!
と叫び出したい気持ちをグッとこらえて、リアと私は手と手を取り合う。
「ただ、僕の事に興味を持ってくださっている方ならわかると思うのですが、僕はこういう類には縁がないもので、あなたの気持ちにこたえられるかもわからない所でして」
ジンさんのへたれ発言を聞いてしまい、今度はがっくりしてしまう。
ミランダ様はそんなジンさんをやはりわかっていたのか、涙をこぼしながらも笑顔を見せた。
「兄さん」
「俺に頼るな、って言ってるだろ」
困ったように振り向くジンさんにラス様が冷たい声を出した。
そっか。
兄弟だから敬語もないんだ。
「本人がいる前でなんなんですが、僕は兄を本当に尊敬してるんです。僕なら元婚約者だとはいえ、あんな風に言われたら傷付きますよ」
「人を鬼のように」
ラス様の呟く声が聞こえ、私達四人は声に出さずに笑う。
「だから、僕は兄の意見に従おうと思います。今はまだ申し訳ないですが、あなたに対して、その、恋愛感情的なものがなくって」
ジンさんがモゴモゴ言い始めると、ラス様は大きなため息を吐いた。
「ミランダ嬢、兄である私には弟に強制的にあなたとの婚約を認めさせる事はできます。でも、出来るならそれはしたくないんです」
ラス様は二人に近付いていきながら、言葉を続ける。
「それをすると、弟が幸せになれない可能性がありますから」
「兄さん」
「出来ればお前には好きな人と恋愛して、好きな人と結婚してほしいと思ってる」
ラス様はジンさんの肩に手を置いたあと、ミランダ様に向かって尋ねた。
「ですから、私の義理の妹になるのであれば、あなたがジンにとって、そういう存在になっていただかないと困るのですが?」
「わ、私」
ミランダ様はジン様から借りているハンカチをぎゅうっと握りしめて、顔を上げると答えた。
「ユーニさんがユウヤ殿下とラス様におっしゃったみたいに、私はジン様を幸せにできるよう頑張ります」
「ひっ!」
ミランダ様の大事なシーンなのに、私はついつい変な声を出してしまった。
「何やってんだ」
ユウヤくんから後ろから抱きしめられ、口を手でおさえられる。
だって、忘れていた事を思い出してしまったから!
幸せにする、って、私、言ってた!
「恥ずかしい」
「あ、す、すみません! そうですよね! リア様以外は知らない話を!」
ミランダ様はユウヤくん達が聞いてた事を知らないから、私の様子を見て慌てる。
「なんの話ですか?」
「さあ? ユーニさんが何かをおっしゃったんでしょうね」
不思議そうにしているジンさんに、ラス様は知らないフリをして首を傾げる。
それはそれで悲しい気持ちにもなってしまうんですが・・・・・。
「幸せにしてくれるんだよな。すげー楽しみ」
ユウヤくんが私の耳元で囁くから、恥ずかしさが勝って、ついついお腹に肘鉄を食らわせた。
「あの、えと、ですから、私、ジン様が私と一緒にいて幸せと思って下さるよう努力いたします!」
「そうですか」
ラス様は頷くと、ジンさんに向かって言う。
「とりあえず、友達から始めたらどうだ? お互いに気付くところも出てくるだろ。ミランダ嬢がお前に愛想をつかす可能性もあるし」
「そ、それは絶対にありえません!」
ハンカチを握りしめたまま、ミランダ様がラス様に訴えると、彼は優しく笑って言った。
「不出来な弟ですが、よろしくお願いします」
「こ、こちらこそ!!」
ミランダ様が大きく頭を下げた。
「えっと、これは上手くいったのかな?」
「じゃないかな」
リアに聞くと、笑顔で頷く。
「あ、えと、ハンカチは洗ってからお返ししますね」
「返さなくて結構ですよ。よろしければ差し上げます」
「え?!」
「いらなければ捨ててください」
ミランダ様の言葉に対し、なんの悪気もなく言うジンさんにラス様が口を開こうとした時、ミランダ様が斜め上の発言をした。
「いえ、大切に保管させていただきます! いただけるのなら洗いません!」
「いや、洗ってください」
ジンさんがミランダ様に真剣な表情で突っ込んだ。
お互いに冗談が言えないタイプだし、真面目カップルで上手くいってくれるといいな。
「ジンさんとミランダ様が上手くいくと、ミランダ様はラス様の義理の妹になるのかあ。それなら、ユーニの妹にもなるの?」
「え?!」
「リアちゃん」
「そんなに睨まないでよ。ラス様にだったらいいんじゃなかったの?」
リアがユウヤくんに抗議すると、
「それはそうなんだけどさ」
納得していないような声で答えて、腕の力を強めてきた。
「独占欲が強いのも困りものね。一夫多妻は許されるのに一妻多夫は許されない世の中なのね」
「うっ」
リアの言葉になぜか、ユウヤくんだけじゃなく、ユウマくんまでもダメージを受けていて笑ってしまう。
「ユーニ様が義理のお姉さまになるのでしたら、私はとっても嬉しいです。私、がんばります!」
「え? あ? いや」
ユウヤくんに後ろから抱きしめられている状態で、ラス様の話をされても、申し訳ないことこの上ないのですが。
「ミランダ嬢、別にユーニさんが私の妻になるわけでは」
「妻!」
なぜかラス様のその言葉にリアが反応した。
ラス様は眉間にシワを寄せてリアに言う。
「なんですか」
「なんか、妻って言い方やらしくないですか」
「普通に言いますよ。リアさん、またどんな小説を読んだんですか」
「官能小説です」
「また余計な知識を身につけようとしてますね。どうせならユウマから実践で習っては?」
「ラス様!!!」
リアよりもやはりラス様の方が頭の回転は上だった。
リアが顔を赤くして叫ぶと、
「教えてやろうか?」
ユウマくんが彼女を引き寄せて、顔を近付けて言った。
うわー!
け、結婚前なのにいいんですか?!
「あんたは黙ってて!」
顔を赤くしたまま、リアはユウマくんの腕を振り払うと、ミランダ様とジンさんに向かって言った。
「せっかくだし、デートの約束でもしたらどうです?」
「え?!」
ジンさんとミランダ様の声が重なる。
「そうですね。ジンの休みの日にでも行ってきてはどうです?」
ラス様はミランダ様には笑顔で言うけれど、
「レディを困らせるな。早く誘え」
ジンさんには冷たく言い放つ。
「兄さんも一緒に行って下さいよ」
「保護者同伴のデートするつもりか」
「あ、あのラス様! 私は気になりませんよ!」
「いや、ミランダ嬢、そういう問題ではなく」
困るラス様に、リアがぽんと手を打つと、私を見て言う。
「ユーニも行って、ダブルデートにしたら?」
「?!」
私とラス様は同時に声にならない声を上げた。
「オレも行く」
ユウヤくんが私の肩に顎を置いて言うので、ラス様はため息を吐いてから口を開く。
「では、ユーニさんとユウヤが付き添いに」
「兄さんが来てくださいよ!」
「ラスも来ればいいだろ。命令な」
「・・・・・わかりました」
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