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6 浮気相手?
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「ラルディ様、大丈夫かしら」
ミーファが心配そうな顔でラルが出て行った方向を見て呟くので、笑顔で答える。
「ラルは強いし、魔法も使えるから大丈夫よ」
「それなら良いんだけど……。アンジェ、巻き込んでしまってごめんね」
「どうして謝るの? 私が悲しんでいた時に慰めてくれたんだから気にしないで! どうしても気になるなら、ラルが戻ってきたらお礼を言ってあげてくれる?」
「もちろん、お礼は言うけれど…。相手が誰だかわかるのかしら」
「ハック様のことは知っているから大丈夫よ。ミーファの事も知っていたし、ちゃんと確認すると思うわ」
人違いでとばっちりに合わされる人がいたら大変だもの。
「ラルディ様はアンジェに本当に優しいわね」
「……どういう事?」
「私の口からは言えないわ。アンジェは早く気付いてあげてね」
「……? ラルは知っている人には優しいと思うけど」
「そうね。今も動いてくれているしね」
ミーファはくすくす笑う。
何の事かわからないけれど、ミーファが笑ってくれて良かった。
しばらくすると、ラルの姿が見えたと思ったら、男性の首根っこをつかんで引きずりながら歩いてくるのがわかった。
「ラ、ラル!?」
思わず名前を呼ぶと、ラルは男性に話しかけ、つかんでいた手を離した。
つかまれていた男性は尻もちをついたけれど、すぐに立ち上がって、俯いた状態でラルの後に付いて歩いてくる。
「ミーファ、ラルの後ろを歩いてる人って…」
「私の婚約者…。近い内に婚約者だった、に変わると思うけど」
そう言ったミーファの目には、先程の悲しみはなく、怒りのものに変わっていた。
「どうする、こいつ?」
ラルがミーファに尋ねると、ミーファは唇をぎゅっと噛み締めたあと答える。
「私が決着をつけます。ありがとうございました、ラルディ様」
「俺は何もしてない」
ラルはしれっと答えたけれど、連れてこられた男性の顔は顔面蒼白になっているから、よほどの事をされたみたい。
ラルは詠唱が長いから嫌いだとか言いながらも、幻覚魔法も使えるから、よっぽど怖いものを見せたのかもしれないわ。
「ラル、ありがとう」
ミーファが婚約者の男性と2人で話す事になったので、見送った後にお礼を言うと、ラルは「別に」と素っ気なく答えた。
そういえば、ハック様もミーファの婚約者と一緒にいたみたいだけど、どうなったのかしら?
「怪我とかはしてないわよね?」
「するわけないだろ。相手は男2人だぞ」
「男2人だから聞いてるんじゃない! 相手が1人ならラルは絶対に負けないと思うけど…」
「相手があの野郎なんだから、負けるわけねぇだろ」
「ラル…、もしかして、ハック様にも何かしたの?」
「……してない」
間があった。
嘘がつけないんなら、素直に言えばいいのに!
「何をしたの?」
「何もしてねぇって」
「絶対に何がしてるでしょ!」
「もう相手は婚約者じゃねぇんだから、気にしなくてもいいだろ」
ラルは耳が痛い話なのか、この話題を打ち切ろうとする。
ハック様の事が気になるというよりか、ラルが何をしたのか気になるだけなんだけれど、今日はこれ以上聞かないことにしておく。
あまりしつこく聞くと怒ってしまうから。
その日は結局、ゆっくり食事をする事もなく、早めに帰ったのだけれど、別の日にミーファから聞いたところ、ハック様は噴水近くのベンチで気絶した状態で見つかったんだそう。
その際に粗相をしていらっしゃった様で、それを見た人達はかなり嫌そうな顔をしていたみたい。
婚約者以外の女性を妊娠させたという事だけでも評判が悪いのに、今回の事で、ハック様は爵位を継げなくなるのではないかと噂された。
ラルが言っていた様に、私にはもう、関係のない人。
そう考えようとしていたんだけれど、ある日、リリンラ様から手紙が届いた。
手紙にはこう書かれていた。
『ハックがどうやら浮気しているみたい。相手はあなたよね? 慰謝料を請求してやるわ!』
前に私には、浮気される方が悪いと言っていたのに、自分が浮気されたら、別の態度をとるのね?
この手紙になんと返そうかしら。
あなたが私に言っていた事が、そのまま返ってきましたね、なんて、書くわけにはいかないし…。
慰謝料に関しては、婚約破棄された時に、リリンラ様の家からもいただいたから、それで請求しようとしているのかも?
とにかく、浮気相手は私ではないという事を伝える事にした。
ミーファが心配そうな顔でラルが出て行った方向を見て呟くので、笑顔で答える。
「ラルは強いし、魔法も使えるから大丈夫よ」
「それなら良いんだけど……。アンジェ、巻き込んでしまってごめんね」
「どうして謝るの? 私が悲しんでいた時に慰めてくれたんだから気にしないで! どうしても気になるなら、ラルが戻ってきたらお礼を言ってあげてくれる?」
「もちろん、お礼は言うけれど…。相手が誰だかわかるのかしら」
「ハック様のことは知っているから大丈夫よ。ミーファの事も知っていたし、ちゃんと確認すると思うわ」
人違いでとばっちりに合わされる人がいたら大変だもの。
「ラルディ様はアンジェに本当に優しいわね」
「……どういう事?」
「私の口からは言えないわ。アンジェは早く気付いてあげてね」
「……? ラルは知っている人には優しいと思うけど」
「そうね。今も動いてくれているしね」
ミーファはくすくす笑う。
何の事かわからないけれど、ミーファが笑ってくれて良かった。
しばらくすると、ラルの姿が見えたと思ったら、男性の首根っこをつかんで引きずりながら歩いてくるのがわかった。
「ラ、ラル!?」
思わず名前を呼ぶと、ラルは男性に話しかけ、つかんでいた手を離した。
つかまれていた男性は尻もちをついたけれど、すぐに立ち上がって、俯いた状態でラルの後に付いて歩いてくる。
「ミーファ、ラルの後ろを歩いてる人って…」
「私の婚約者…。近い内に婚約者だった、に変わると思うけど」
そう言ったミーファの目には、先程の悲しみはなく、怒りのものに変わっていた。
「どうする、こいつ?」
ラルがミーファに尋ねると、ミーファは唇をぎゅっと噛み締めたあと答える。
「私が決着をつけます。ありがとうございました、ラルディ様」
「俺は何もしてない」
ラルはしれっと答えたけれど、連れてこられた男性の顔は顔面蒼白になっているから、よほどの事をされたみたい。
ラルは詠唱が長いから嫌いだとか言いながらも、幻覚魔法も使えるから、よっぽど怖いものを見せたのかもしれないわ。
「ラル、ありがとう」
ミーファが婚約者の男性と2人で話す事になったので、見送った後にお礼を言うと、ラルは「別に」と素っ気なく答えた。
そういえば、ハック様もミーファの婚約者と一緒にいたみたいだけど、どうなったのかしら?
「怪我とかはしてないわよね?」
「するわけないだろ。相手は男2人だぞ」
「男2人だから聞いてるんじゃない! 相手が1人ならラルは絶対に負けないと思うけど…」
「相手があの野郎なんだから、負けるわけねぇだろ」
「ラル…、もしかして、ハック様にも何かしたの?」
「……してない」
間があった。
嘘がつけないんなら、素直に言えばいいのに!
「何をしたの?」
「何もしてねぇって」
「絶対に何がしてるでしょ!」
「もう相手は婚約者じゃねぇんだから、気にしなくてもいいだろ」
ラルは耳が痛い話なのか、この話題を打ち切ろうとする。
ハック様の事が気になるというよりか、ラルが何をしたのか気になるだけなんだけれど、今日はこれ以上聞かないことにしておく。
あまりしつこく聞くと怒ってしまうから。
その日は結局、ゆっくり食事をする事もなく、早めに帰ったのだけれど、別の日にミーファから聞いたところ、ハック様は噴水近くのベンチで気絶した状態で見つかったんだそう。
その際に粗相をしていらっしゃった様で、それを見た人達はかなり嫌そうな顔をしていたみたい。
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ラルが言っていた様に、私にはもう、関係のない人。
そう考えようとしていたんだけれど、ある日、リリンラ様から手紙が届いた。
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『ハックがどうやら浮気しているみたい。相手はあなたよね? 慰謝料を請求してやるわ!』
前に私には、浮気される方が悪いと言っていたのに、自分が浮気されたら、別の態度をとるのね?
この手紙になんと返そうかしら。
あなたが私に言っていた事が、そのまま返ってきましたね、なんて、書くわけにはいかないし…。
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とにかく、浮気相手は私ではないという事を伝える事にした。
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