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5−3 オルザベート視点
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「エアリスに付きまとっても無駄だ。彼女は君に興味はない。何より君よりも、もっと良い友人がいるからな」
「私よりも良い友人なんていないわ!」
「頭は大丈夫か? 君がエアリスの友人だったとしても、悪い友人であって、良い友人ではない事は確かだ」
「あなたなんかに、私とエアリスの絆がわかるもんですか!」
ロンバートの身体を押しのけて、私はカフェに向かって歩き出す。
けれど、中に入ろうとすると、平民の格好をした屈強な男達に行く手を阻まれて、店の中に入る事が出来ない。
「ちょっと退きなさいよ!」
「そのまま捕まえても良いんだけどね」
カイジス公爵が私に近付いてきて言うので言い返す。
「ここで、あなたに乱暴されそうになってるって叫んでもいいんですよ! エアリスはそれを聞いてどう思うかしら!? また、あなたの事を忘れてしまうかもしれませんね!」
悔しいけれど、この男のエアリスへの気持ちは認めてやってもいい。
もちろん、渡すつもりはないけど。
私が放った言葉で、大人しくなると思っていたら、実際は違った。
「トゥッチ嬢、もう状況は昔とは違うんだ。あの時は物理的な距離が君の方が近かっただけだ。今は違う。君よりも僕の距離の方が近いんだよ。それに、今のエアリスは僕の言う事を信じるに決まっている」
「そんな…、そんなのわからないじゃないですか!」
「まあ、叫んで試してみても良いけど、エアリスには会えやしないけどな」
カイジス公爵はそう言って、明らかに嘲笑した。
どうして私がこの男に馬鹿にされないといけないのよ!?
「叫ぶのは止めます。ですから、エアリスと話をさせてもらえませんか?」
下手に出て、お願いしてあげてみる。
「どうしてそんな事をさせてやらないといけないんだ?」
「あなたはエアリスと結婚なさるんですよね?」
「そうだけど?」
「披露宴での友人のスピーチはどうされるおつもりなんですか!?」
食ってかかって聞くと、カイジス公爵は軽く首を傾げた。
「どうしてそんな事を君に心配されないといけないんだ?」
「ですから言ってるじゃないですか! エアリスの一番の親友は私なんです!」
「僕にはそうは思えないし、エアリスだって君を一番の親友だなんて思っていないと思うがな」
「そんな事ありません!」
強く否定すると、カイジス公爵は冷たい笑みを浮かべて言う。
「君だって見たんだろう? エアリスにはビアラがいる。もしかすると、君は過去ではエアリスの親友だったのかもしれない。でも、今は違う。エアリスの親友はビアラなんだ」
「違う! 訂正しなさい!!」
カイジス公爵に掴みかかろうとすると、ロンバートに止められる。
「やめるんだ、オルザベート! 今度は本当に警察に捕まる事になるぞ!」
「でも!」
「オルザベート、落ち着いた方がいい。今、つかみかかったりすると、カイジス公爵の思うつぼだよ」
ティンカーにまで止められて、何とか冷静に戻れた。
我慢しなくちゃ。
本当に捕まってしまったら、またエアリスに会う日が延びてしまう。
そうよ。
彼女が店を出るまで、ここで待っていればいいんだわ。
「カイジス公爵、取り乱してしまい申し訳ございませんでした」
「わかってくれたのなら良い」
何よ。
偉そうにしちゃって。
でも、今はしょうがない。
彼のご機嫌をとっておかなくちゃ。
「あの、逃げた事は謝ります。ですけど、もう私達の事は放っておいてもらえないでしょうか」
「いいよ」
駄目元で言ってみたけれど、簡単に承諾を得られてしまい、呆気にとられてしまう。
「…いいんですか?」
「そのかわり、エアリスの前に二度と現れないでくれ」
「そんなの嫌です!」
叫んだけれど、カイジス公爵は聞こえないふりをして、店の中に入っていってしまう。
「ちょっと待って! そんなの納得いかないわ!」
叫ぼうとしたけれど、護衛らしき男達に睨まれてしまった。
でも、まあいいわ。
ここで待っていれば、いつしかエアリスは出てくるはず…。
その時に声を掛ければいい。
そう思って、私は帰ろうと促してくる、ロンバートとティンカーの言葉を無視して待ち続けた。
けれど、エアリスが出てくる事はなかった。
なぜなら、エアリス達は裏口を使って外に出てしまっていたからだった。
馬鹿にして…!
本当に許せない。
「ねぇ、ロンバート。ミゼライトを拉致してくれない?」
「わかった」
潜伏先に戻る途中、断られる事をわかっていて言ってみたら、驚く事に、ロンバートは頷いてくれたのだった。
「私よりも良い友人なんていないわ!」
「頭は大丈夫か? 君がエアリスの友人だったとしても、悪い友人であって、良い友人ではない事は確かだ」
「あなたなんかに、私とエアリスの絆がわかるもんですか!」
ロンバートの身体を押しのけて、私はカフェに向かって歩き出す。
けれど、中に入ろうとすると、平民の格好をした屈強な男達に行く手を阻まれて、店の中に入る事が出来ない。
「ちょっと退きなさいよ!」
「そのまま捕まえても良いんだけどね」
カイジス公爵が私に近付いてきて言うので言い返す。
「ここで、あなたに乱暴されそうになってるって叫んでもいいんですよ! エアリスはそれを聞いてどう思うかしら!? また、あなたの事を忘れてしまうかもしれませんね!」
悔しいけれど、この男のエアリスへの気持ちは認めてやってもいい。
もちろん、渡すつもりはないけど。
私が放った言葉で、大人しくなると思っていたら、実際は違った。
「トゥッチ嬢、もう状況は昔とは違うんだ。あの時は物理的な距離が君の方が近かっただけだ。今は違う。君よりも僕の距離の方が近いんだよ。それに、今のエアリスは僕の言う事を信じるに決まっている」
「そんな…、そんなのわからないじゃないですか!」
「まあ、叫んで試してみても良いけど、エアリスには会えやしないけどな」
カイジス公爵はそう言って、明らかに嘲笑した。
どうして私がこの男に馬鹿にされないといけないのよ!?
「叫ぶのは止めます。ですから、エアリスと話をさせてもらえませんか?」
下手に出て、お願いしてあげてみる。
「どうしてそんな事をさせてやらないといけないんだ?」
「あなたはエアリスと結婚なさるんですよね?」
「そうだけど?」
「披露宴での友人のスピーチはどうされるおつもりなんですか!?」
食ってかかって聞くと、カイジス公爵は軽く首を傾げた。
「どうしてそんな事を君に心配されないといけないんだ?」
「ですから言ってるじゃないですか! エアリスの一番の親友は私なんです!」
「僕にはそうは思えないし、エアリスだって君を一番の親友だなんて思っていないと思うがな」
「そんな事ありません!」
強く否定すると、カイジス公爵は冷たい笑みを浮かべて言う。
「君だって見たんだろう? エアリスにはビアラがいる。もしかすると、君は過去ではエアリスの親友だったのかもしれない。でも、今は違う。エアリスの親友はビアラなんだ」
「違う! 訂正しなさい!!」
カイジス公爵に掴みかかろうとすると、ロンバートに止められる。
「やめるんだ、オルザベート! 今度は本当に警察に捕まる事になるぞ!」
「でも!」
「オルザベート、落ち着いた方がいい。今、つかみかかったりすると、カイジス公爵の思うつぼだよ」
ティンカーにまで止められて、何とか冷静に戻れた。
我慢しなくちゃ。
本当に捕まってしまったら、またエアリスに会う日が延びてしまう。
そうよ。
彼女が店を出るまで、ここで待っていればいいんだわ。
「カイジス公爵、取り乱してしまい申し訳ございませんでした」
「わかってくれたのなら良い」
何よ。
偉そうにしちゃって。
でも、今はしょうがない。
彼のご機嫌をとっておかなくちゃ。
「あの、逃げた事は謝ります。ですけど、もう私達の事は放っておいてもらえないでしょうか」
「いいよ」
駄目元で言ってみたけれど、簡単に承諾を得られてしまい、呆気にとられてしまう。
「…いいんですか?」
「そのかわり、エアリスの前に二度と現れないでくれ」
「そんなの嫌です!」
叫んだけれど、カイジス公爵は聞こえないふりをして、店の中に入っていってしまう。
「ちょっと待って! そんなの納得いかないわ!」
叫ぼうとしたけれど、護衛らしき男達に睨まれてしまった。
でも、まあいいわ。
ここで待っていれば、いつしかエアリスは出てくるはず…。
その時に声を掛ければいい。
そう思って、私は帰ろうと促してくる、ロンバートとティンカーの言葉を無視して待ち続けた。
けれど、エアリスが出てくる事はなかった。
なぜなら、エアリス達は裏口を使って外に出てしまっていたからだった。
馬鹿にして…!
本当に許せない。
「ねぇ、ロンバート。ミゼライトを拉致してくれない?」
「わかった」
潜伏先に戻る途中、断られる事をわかっていて言ってみたら、驚く事に、ロンバートは頷いてくれたのだった。
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