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28 婚約者候補②
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アフック様が大人しくなったからか、フィリップ様がわたしに尋ねてくる。
「話は終わったんですか」
「まだですけれど、切りの良いところで来ました。話し出すとしばらくは終わりそうにありませんから」
「楽しんでるなら良かったですよ」
フィリップ様は口元に笑みを浮かべたあと、アフック様に顔を向ける。
「楽しくやってるらしいから帰ったらどうだ」
「それを言い出したら、あなただって帰ったらどうなんですか」
「俺の場合は妹の付添いなんだ」
フィリップ様が答えた時、わたしは手を挙げる。
「そのことなんですけれど、フィリップ様、先程、シャーロット様にお聞きしたのですが、今日はわたしたちのお見合いらしいです」
「……お見合い?」
「ええ」
「お兄様、お父様からは了承を得ていますわ。アルミラ様とお兄様次第だとおっしゃっておられました」
シャーロット様が後ろから現れて、フィリップ様に話しかけた。
「俺なんて迷惑だろ」
「アルミラ様に判断していただこうと思ったんです。それに」
シャーロット様はアフック様を見て言葉を止めた。
オズック様よりも自分の兄のほうが良いと言いたいのでしょうけれど、失礼に当たると思って口に出せないみたいだった。
「オズック様よりもフィリップ様のほうが素敵ですものね」
わたしが代わりに言うと、アフック様は苦虫を噛み潰したような顔になった。
オズック様が悪く言われるのは嫌みたいね。
そして、フィリップ様が何か言う前に、アフック様は話し始める。
「何を言っているんですか。彼は乱暴者で有名なんですよ。先日のレストランの件でも、オズックの足を引っ掛けたのは彼です!」
オズックが女性に向かっていこうとした時に、誰かが足を引っ掛けたことは知っている。
あの時、派手にオズックがこけたものだから、そちらに気を取られて誰が引っ掛けたかを確認はしていなかった。
「フィリップ様だったんですね」
「……余計なことをして悪かった」
「いいえ。ありがとうございました」
首を横に振ると、フィリップ様だけじゃなく、アフック様も驚いた顔になった。
そして、アフック様は尋ねてくる。
「人の足を引っ掛ける男にお礼を言う必要はありますか?」
「理由がありましたでしょう。とっさに足を引っ掛けてもらわなければ、女性が危ない目に遭うところでした」
「他にやり方があるでしょう!」
「そうですわね。でも、おかげでわたしはオズック様との婚約破棄まで持っていけましたから」
微笑んで答えると、アフック様もなぜかにこりと微笑んだ。
「アルミラ嬢、そういうことですか」
「どういうことでしょう」
「あなたはフィリップ様に脅されているのですね」
「意味がわかりません」
この人は自分がどうして選ばれないのか、本当にわかっていないのね。
どうしたら、ここまで自分に対してポジティブなれるのかがわからないわ。
「話は終わったんですか」
「まだですけれど、切りの良いところで来ました。話し出すとしばらくは終わりそうにありませんから」
「楽しんでるなら良かったですよ」
フィリップ様は口元に笑みを浮かべたあと、アフック様に顔を向ける。
「楽しくやってるらしいから帰ったらどうだ」
「それを言い出したら、あなただって帰ったらどうなんですか」
「俺の場合は妹の付添いなんだ」
フィリップ様が答えた時、わたしは手を挙げる。
「そのことなんですけれど、フィリップ様、先程、シャーロット様にお聞きしたのですが、今日はわたしたちのお見合いらしいです」
「……お見合い?」
「ええ」
「お兄様、お父様からは了承を得ていますわ。アルミラ様とお兄様次第だとおっしゃっておられました」
シャーロット様が後ろから現れて、フィリップ様に話しかけた。
「俺なんて迷惑だろ」
「アルミラ様に判断していただこうと思ったんです。それに」
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オズック様よりも自分の兄のほうが良いと言いたいのでしょうけれど、失礼に当たると思って口に出せないみたいだった。
「オズック様よりもフィリップ様のほうが素敵ですものね」
わたしが代わりに言うと、アフック様は苦虫を噛み潰したような顔になった。
オズック様が悪く言われるのは嫌みたいね。
そして、フィリップ様が何か言う前に、アフック様は話し始める。
「何を言っているんですか。彼は乱暴者で有名なんですよ。先日のレストランの件でも、オズックの足を引っ掛けたのは彼です!」
オズックが女性に向かっていこうとした時に、誰かが足を引っ掛けたことは知っている。
あの時、派手にオズックがこけたものだから、そちらに気を取られて誰が引っ掛けたかを確認はしていなかった。
「フィリップ様だったんですね」
「……余計なことをして悪かった」
「いいえ。ありがとうございました」
首を横に振ると、フィリップ様だけじゃなく、アフック様も驚いた顔になった。
そして、アフック様は尋ねてくる。
「人の足を引っ掛ける男にお礼を言う必要はありますか?」
「理由がありましたでしょう。とっさに足を引っ掛けてもらわなければ、女性が危ない目に遭うところでした」
「他にやり方があるでしょう!」
「そうですわね。でも、おかげでわたしはオズック様との婚約破棄まで持っていけましたから」
微笑んで答えると、アフック様もなぜかにこりと微笑んだ。
「アルミラ嬢、そういうことですか」
「どういうことでしょう」
「あなたはフィリップ様に脅されているのですね」
「意味がわかりません」
この人は自分がどうして選ばれないのか、本当にわかっていないのね。
どうしたら、ここまで自分に対してポジティブなれるのかがわからないわ。
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