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6 いかがでしょう
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「リファーラ、もうやめて! 私たちはあなたが婚約の破棄を認めてくれればそれでいいのよ!」
姉はさっきまでの涙をどこにやったのか、必死の形相で私に叫んだ。
いじめの話をあいまいに終わらせて、この場を乗り切るつもりでいるらしい。
そんなことができるわけがない。いや、させてなるものか。
とりあえず、初めから予定していた姉の相手をすることにした。
髪を整えて、姉に先程の答えを返す。
「条件を飲めば婚約を破棄されることは認めるとお伝えしたはずですわ。私のせいではなく、お二人が愛し合った結果だと公表してくださいませ」
「そ、そんなことをしたら……」
「妹から婚約者を奪った女性だと言われてしまう……ですか?」
微笑んで尋ねると、姉は演技を再開する。
「そんな言い方しなくてもいいじゃないの! ただ、話をしているうちに惹かれ合ってしまったの。そんなことがあってもいいでしょう? ねえ、そうですよね?」
しがみつかれたワウキロヤ様は、戸惑うような表情を浮かべた。
彼のほうが状況を理解できているのかもしれない。
もしくは、本当に私が姉をいじめていると思って、彼女のことが可哀想だと思っていたの?
ここにきて、何かおかしいと思い始めた?
そうだとすれば浅はかすぎる。
小さく息を吐くと、ワウキロヤ様はびくりと体を震わせた。
静まり返ったホール内では、衣擦れの音さえも響く。彼の中では、私のため息は余計に大きく聞こえたのでしょう。
「ワウキロヤ様にお聞きします。あなたにとって私の姉は、どのような存在なのでしょうか」
「ど、どのような女性?」
「ええ。どんな印象を受けておられるのですか?」
「それはその、……みんなが知っているように、清らかで純粋で、心の美しい女性だ」
「清らかな女性は婚約者のいる人と恋仲になるものでしょうか。浮気をするような人は穢れたものとして受け付けないと思うのですがいかがでしょう」
「リファーラ、もうやめて!」
ワウキロヤ様が動揺し、姉が私の口をふさごうと手を伸ばした時、閉じられていた複数ある扉のうちの一つが勢いよく開いた。
一斉に視線がそちらに集まり、姉も足を止めて手を下ろした。
開かれたのはちょうど、私にとっては真正面の位置にある扉で、誰が入ってきたのかすぐにわかった。
扉を開けたのは兵士だ。
促されてホールに入ってきた男性は、私を見て動きを止めた。
目が合った瞬間、すぐに誰だかわかった。
最後に会った時よりも少しだけ大人の顔つきになったリックだった。
「フレディは今まで何をしていたんだ」
クプンマ王国の国王陛下が呟くと「本当に困ったものね」と王妃陛下が呆れた声で言った。
クプンマ王国の王太子の名は、フレデリック・レモネ。
相性は一般的にはフレッドやフレディである。
この時の私は、フレデリックの愛称にリックがあると気づくことよりも、彼に再会できたという喜びに気を取られてしまっていた。
姉はさっきまでの涙をどこにやったのか、必死の形相で私に叫んだ。
いじめの話をあいまいに終わらせて、この場を乗り切るつもりでいるらしい。
そんなことができるわけがない。いや、させてなるものか。
とりあえず、初めから予定していた姉の相手をすることにした。
髪を整えて、姉に先程の答えを返す。
「条件を飲めば婚約を破棄されることは認めるとお伝えしたはずですわ。私のせいではなく、お二人が愛し合った結果だと公表してくださいませ」
「そ、そんなことをしたら……」
「妹から婚約者を奪った女性だと言われてしまう……ですか?」
微笑んで尋ねると、姉は演技を再開する。
「そんな言い方しなくてもいいじゃないの! ただ、話をしているうちに惹かれ合ってしまったの。そんなことがあってもいいでしょう? ねえ、そうですよね?」
しがみつかれたワウキロヤ様は、戸惑うような表情を浮かべた。
彼のほうが状況を理解できているのかもしれない。
もしくは、本当に私が姉をいじめていると思って、彼女のことが可哀想だと思っていたの?
ここにきて、何かおかしいと思い始めた?
そうだとすれば浅はかすぎる。
小さく息を吐くと、ワウキロヤ様はびくりと体を震わせた。
静まり返ったホール内では、衣擦れの音さえも響く。彼の中では、私のため息は余計に大きく聞こえたのでしょう。
「ワウキロヤ様にお聞きします。あなたにとって私の姉は、どのような存在なのでしょうか」
「ど、どのような女性?」
「ええ。どんな印象を受けておられるのですか?」
「それはその、……みんなが知っているように、清らかで純粋で、心の美しい女性だ」
「清らかな女性は婚約者のいる人と恋仲になるものでしょうか。浮気をするような人は穢れたものとして受け付けないと思うのですがいかがでしょう」
「リファーラ、もうやめて!」
ワウキロヤ様が動揺し、姉が私の口をふさごうと手を伸ばした時、閉じられていた複数ある扉のうちの一つが勢いよく開いた。
一斉に視線がそちらに集まり、姉も足を止めて手を下ろした。
開かれたのはちょうど、私にとっては真正面の位置にある扉で、誰が入ってきたのかすぐにわかった。
扉を開けたのは兵士だ。
促されてホールに入ってきた男性は、私を見て動きを止めた。
目が合った瞬間、すぐに誰だかわかった。
最後に会った時よりも少しだけ大人の顔つきになったリックだった。
「フレディは今まで何をしていたんだ」
クプンマ王国の国王陛下が呟くと「本当に困ったものね」と王妃陛下が呆れた声で言った。
クプンマ王国の王太子の名は、フレデリック・レモネ。
相性は一般的にはフレッドやフレディである。
この時の私は、フレデリックの愛称にリックがあると気づくことよりも、彼に再会できたという喜びに気を取られてしまっていた。
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