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28.5 無知な妻(ミシェル視点)
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ピーナッツアレルギーの子供にピーナッツの入ったお菓子をあげるように、お父様たちにすすめたのはわたしだった。
アレルギーっていっても大したものじゃないと思っていた。
それって病は気からと同じようなものでしょう?
だけど、シェリルさん名義で贈り付けて騒ぎになってから、命にかかわるかもしれないと噂で聞いた時は焦ったわ。
でも、周りが大げさなだけのような気もするし、騒ぎが大きくなればシェリルさんが悪者になるだけだし良いと思う。
お母様の名前でシェリルさんに助けを求めるふりをして手紙を送らせていたのもわたしだ。
シェリルさんが手紙の文字がお母様の字ではないことに気付かないのはわかっていた。
だって、お母様は自分で手紙を書かなくて、侍女に書かせていた。
今回も見知らぬ字であっても、サウニ子爵家の誰かに書いてもらったと思い込んだのでしょう。
シェリルさんからは返事はなかった。
手紙を送っていたのに、シェリルさんが何もしなかったせいで、子供は死にそうになった。
シェリルさんは本当は冷たい人間なのだと、みんなに知らしめようと思った。
それなのに実際は違った。
「シェリル様がエイト公爵家やシド公爵家に連絡して、義兄の奥様の実家に警戒するように伝えていてくれたようだよ」
夕食時、何も聞いていないのにデイクスが話しかけてきた
両親がこの家に来てから、デイクスは絶対に夕食はわたしと一緒にとるようになった。
普通なら嫌がるはずなのに、シェリルさんのあの事件から人が変わったみたいになっている。
でも、昔のオドオドしている彼よりかは良いとは思う。
そういえば、いつになったら離婚してくれるのかしら。
……と思っていたけど、今、離婚されては困るわね。
今のままでは行くところがなくなってしまうもの。
お兄様は完全にわたしたちとは関わらないようにしてるから行くあてがない。
「……それがどうかしたの? それはシェリルさんが自分はやってないと見せかけてるだけでしょう」
「本当にそう思うのかい」
「……それはそうでしょう」
「なら、どうして彼女の名前で送ったんだろうか」
「……え?」
「別に他の人の名前を使えば良かったんじゃないかな。この感じだと、誰かがシェリル様に罪をかぶせようとしているみたいだと、周りは噂してるよ」
デイクスはそう言うと、まだ食事の途中なのに席を立つ。
「君を見ていると食欲がなくなるね」
「なんですって!?」
「悪かったよ。それは君も同じだよね」
デイクスは失笑してから、ダイニングルームを出ていく。
何だか嫌な予感がした。
でも、すぐにそんな気持ちを吹き飛ばす。
嫌な予感とか思うほうが駄目なのよ。
何があってもなんとかしてみせるわ。
前向きなことを考えなくちゃ。
まずは、離婚したいのにできなくなったこの状況をどうにかしたい。
ああ、その前にシェリルさんとフェリックス様と話をしなくちゃ。
二人はどんな話をしようとするのかしら。
フェリックス様はまだ、わたしのことを浮気女だと思っているのかしら。
わたしはこんなにも一途なのに……。
※
ミシェルはアレルギーに対して間違った認識を持っています!
アナフィラキシーは本当に命にかかわります!
アレルギーっていっても大したものじゃないと思っていた。
それって病は気からと同じようなものでしょう?
だけど、シェリルさん名義で贈り付けて騒ぎになってから、命にかかわるかもしれないと噂で聞いた時は焦ったわ。
でも、周りが大げさなだけのような気もするし、騒ぎが大きくなればシェリルさんが悪者になるだけだし良いと思う。
お母様の名前でシェリルさんに助けを求めるふりをして手紙を送らせていたのもわたしだ。
シェリルさんが手紙の文字がお母様の字ではないことに気付かないのはわかっていた。
だって、お母様は自分で手紙を書かなくて、侍女に書かせていた。
今回も見知らぬ字であっても、サウニ子爵家の誰かに書いてもらったと思い込んだのでしょう。
シェリルさんからは返事はなかった。
手紙を送っていたのに、シェリルさんが何もしなかったせいで、子供は死にそうになった。
シェリルさんは本当は冷たい人間なのだと、みんなに知らしめようと思った。
それなのに実際は違った。
「シェリル様がエイト公爵家やシド公爵家に連絡して、義兄の奥様の実家に警戒するように伝えていてくれたようだよ」
夕食時、何も聞いていないのにデイクスが話しかけてきた
両親がこの家に来てから、デイクスは絶対に夕食はわたしと一緒にとるようになった。
普通なら嫌がるはずなのに、シェリルさんのあの事件から人が変わったみたいになっている。
でも、昔のオドオドしている彼よりかは良いとは思う。
そういえば、いつになったら離婚してくれるのかしら。
……と思っていたけど、今、離婚されては困るわね。
今のままでは行くところがなくなってしまうもの。
お兄様は完全にわたしたちとは関わらないようにしてるから行くあてがない。
「……それがどうかしたの? それはシェリルさんが自分はやってないと見せかけてるだけでしょう」
「本当にそう思うのかい」
「……それはそうでしょう」
「なら、どうして彼女の名前で送ったんだろうか」
「……え?」
「別に他の人の名前を使えば良かったんじゃないかな。この感じだと、誰かがシェリル様に罪をかぶせようとしているみたいだと、周りは噂してるよ」
デイクスはそう言うと、まだ食事の途中なのに席を立つ。
「君を見ていると食欲がなくなるね」
「なんですって!?」
「悪かったよ。それは君も同じだよね」
デイクスは失笑してから、ダイニングルームを出ていく。
何だか嫌な予感がした。
でも、すぐにそんな気持ちを吹き飛ばす。
嫌な予感とか思うほうが駄目なのよ。
何があってもなんとかしてみせるわ。
前向きなことを考えなくちゃ。
まずは、離婚したいのにできなくなったこの状況をどうにかしたい。
ああ、その前にシェリルさんとフェリックス様と話をしなくちゃ。
二人はどんな話をしようとするのかしら。
フェリックス様はまだ、わたしのことを浮気女だと思っているのかしら。
わたしはこんなにも一途なのに……。
※
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