必要ないものは「いりません」と言うことにしました

１１ 必要ないもの ② （自分の利益しか考えていない両親②）両親side

　リアンナの両親は、リアンナから手紙が返ってきたとわかった時は、それはもう喜んだ。

　しかし、手紙の内容を読んでいくうちに表情は一変し、終いにはリアンナの父、ドントは手紙を破り捨ててしまった。

「くそっ！　親を何だと思っているんだ！　どうして、こんな親不孝な娘になったんだ！？　神様はどうして、こんな薄情な奴に聖なる力を与えたんだ！　絶対に間違っている！」

　ミドレス王国は神への信仰に関しては自由だ。
　他国にはミドレス王国とは別の神もいるため、そちらを信仰している人間もいる。

　ミドレス王国の国教は、リアンナに聖なる力を与えた神である。　
　そのため、無宗教に近い二人ではあったが、神を侮辱する発言をしたドントをリアンナの母であるフーカが止める。

「ちょっと、やめてちょうだい！　罰が当たったらどうするの！」
「何も悪いことをしていないんだから、罰が当たるわけないだろう」

　ハッハッハッと大きなお腹の肉を揺らせてドントが笑う。

「あなた、また、太ったんじゃないの？」
「何を言ってるんだ。これでも痩せたほうだ！　リアンナが仕送りを止めたせいでな！」

　リアンナには弟や妹にお金がかかるからといって仕送りをさせていたが、実際は自分たちの欲しいものにお金を使っていた。

「それにしても宰相というのは馬鹿なもんだな。リアンナを追い出すまでずっと、俺たちに金を払っていたんだから」

　ドントはソファの背もたれに身体を預けて話を続ける。

「普通は調べるだろうよ。本当に子供に金なんて使ってないってことくらいな！」
「その点については同意するけど、止められてしまったらどうしようもないじゃないの！」
「手紙は焼いてしまえ。証拠がなくなるからな。そして、また手紙を送って、それでも駄目なら脅せば良い」
「脅す？」

　フーカが聞き返すと、ドントはにやりと笑う。

「そうだ。お前の両親がこんな人間だと世間にバラしても良いのかってな」
「まあ、悪い人ね！　でも、リアンナが悪いんだもの。それくらいしてもいいかもしれないわ」

　ドントの隣に座り、フーカが笑った時だった。

「「お父様、お母様！」」

　リアンナの弟と妹が二人のいた談話室に入ってきて叫ぶ。

「燃えてます！」
「何がだ？」

　ドントの問いに７歳の長男は笑顔で答える。

「厨房が燃えてるんです」
「ごめんなさい、お父様、お母様。お腹が減ったから、何か作ろうと思ったら、服に火がついちゃって、脱いで放り投げたらカーテンに火がまわったの！」

　長男のあとに、９歳の次女がそう言って頭を下げた。
　ドントは声を荒らげる。

「なんてことをしてるんだ！」
「ごめんなさい！」
「とにかく見に行ってみましょう」

　リアンナからの仕送りがなくなってからは、料理人を雇うどころか、使用人の一人も雇えなくなっていた。

　焦ったドントたちが厨房に近づいた時には、もう時すでに遅しだった。

　驚くほどに火の回りが早く、厨房だけでなく、その近くにあった小部屋までもが燃えていた。
　そして、木造建築の屋敷を、火はこれでもかというスピードでのみ込んでいく。

「最悪だ！」

　ドントは頭を抱えて絶叫した。



　
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いつもお読みいただき、ありがとうございます！
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とっても素敵な挿絵もありますので、ご興味ありましたら、手にとってやっていただけますと幸いです。
そして、その記念？に「大切な人を思い出せない日々は終わりにします」という、本編のその後のお話の連載をはじめました。
本作を完結させるまでは、上記のお話は一日一話更新になります。
ご興味ありましたら、読んでいただけますと嬉しいです！（前作はレンタルになっているので見れないため、未読でもわかるような話におります）

「必要ない～」につきましても引き続き、よろしくお願いいたします。